連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。


2015年度の賃上げは、月+7,500円

連合が2015年3月20日に公表した集計結果(第1回回答集計)によると、2015年度の賃上げ額は昨年比月額+7,497円(平均賃金方式の798組合)、賃上げ率は+2.43%だとのことです。いよいよわが国の経済に本格的な回復の兆しがあらわれ、企業業績の向上とともに、サラリーマンの賃金も上昇するようになってきたのかもしれません。

手取り収入が増えると、これまでじっとガマンして買い控えていたものが欲しくなります。「賃上げによって個人消費が活発になり、その結果企業業績が上がり、さらに賃上げが行われる」…この循環を作って日本の経済を成長の軌道に乗せることが政府の狙いでもあります。

ただ、収入がアップした分は、すべて消費に振り向けるのではなく、自分の将来に備えた財産形成にも役立てたいものです。

ネット証券を使って、少額ずつ積立投資をする!

特に独身の若いサラリーマンの方々は、この機に資産運用にデビューしてみてはいかがでしょうか。

家族がいない独身の方は余裕資金が生まれやすいはず。また、若い方は運用期間を長くたっぷりとることができます。ゆとりのお金で長期間運用することができれば、想定外の元本割れをしてしまったとしても一喜一憂せずに落ち着いていられます。

少額ずつコツコツと時間をかけて資産運用をするには、定期的に定額で投資信託を購入する積立投信が適しています。

多くの金融機関が積立投信に対応していますが、なかでもネット証券は、投資信託の品揃えの多さと、申込手数料の低さに定評があります。

おもなネット証券会社が取り扱っている投資信託

(各社のHPより筆者が作成:2015年3月)

上の表の「取り扱い投資信託」のすべてが積立投信の対象ではありませんが、これだけあれば、自分が積み立て購入したい投資信託が見つかるはずです。

「ノーロード」とは、投資信託を購入するときの手数料が無料のものです。これらを購入すると低コストで運用することが可能です。

「最低積立金額」は、毎月購入する投信の最低額のこと。500円や1,000円から購入できるので、怖くない程度の少額で、試しに資産運用をしてみることもできます。

資産運用をするなら、NISA口座を開設しよう!

資産運用をするために証券会社に口座を開設するなら、併せて「NISA口座」も開設したいものです。

「NISA口座」とは、1年間の投資資金100万円分までの株や投資信託の値上がり益や配当金(分配金)が非課税になる特別な口座で、2016年からは、非課税投資枠が20万円拡大して120万円になる予定。

NISA口座以外で資産運用をした場合、運用益には約20%の税金がかかりますが、この口座の中だと非課税になるため、とても効率的な運用ができます。

購入する商品は「バランス型」投資信託にしよう!

開設した口座の中で毎月購入する投資信託は、1本の投資信託の中に株式や債券など複数の資産が組み合わされている「バランス型投資信託」がおすすめです。というのも、収益を上げる確率を高める資産運用の鉄則は、値動きの異なる資産を複数組み合わせて分散投資をし、リスク(資産額のぶれ)を抑えながら運用することだからです。

「バランス型投資信託」を購入すれば、1本の投資信託だけで手軽に分散投資をすることができます。一方、1種類の資産しか投資対象にしていない投資信託を購入する場合、分散投資をするためには、複数の投資信託を自分で組み合わせなければなりません。

ゆとりのお金があるなら、資産運用をしてお金にも働いてもらってはどうでしょう。

若い時から資産運用をして、自分の財産が時系列でどのような増減をするのかを観察すると、世界や日本の経済の動きと自分の財産を結びつけて考えることができます。また、運用経験を積み重ねることで、「リスク」に強くなれるはずです。

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。(株)ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

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