子どもが中学生になったときに、まず悩んだのがお小遣いの金額でした。部活動が始まったり、新しい交友関係が始まったりして、小学校とは環境が大きく変わったからです。限られたお小遣いでやりくりすることを学んでほしいという気持ちはありますが、お小遣いが足りなくて友達と遊べないという状況にもなってほしくありません。今回は、中学生になった子どものお小遣いの悩みに直面したときに、どのように対処したのかをご紹介します。

我が家のお小遣いの決め方・使い方

我が家の子どものお小遣いの金額は、小学生は月に学年×100円です。例えば、小学校6年生の場合は、6×100で600円です。小学生のうちは、普段遊ぶ場所は小学校の校庭や近くの公園で、水筒を持参していたので、お小遣いについて悩むことはありませんでした。

長女が中学生になり、最初のお小遣いを渡すとき、金額について少し悩みました。長女の中学校は給食がないため、お昼ご飯や飲み物は各家庭で用意が必要ですが、学校でお弁当などを注文することもでき、学校内にある自動販売機で飲み物を購入することも可能です。

小学校と中学校との環境の違いに戸惑いましたが、我が家は毎日お弁当と水筒を持参しているため、とくにお金の面で変わることはありません。また、部活に入部したので放課後に友達と遊ぶ時間もなく、週末に遊ぶほど仲の良い友達もまだいなかったため、お小遣いの使い道も変わっていませんでした。ただ、水筒だけで飲み物が足りなかったときに、自動販売機で飲み物を買いたいという長女の希望を加味して、お小遣いの金額は月に1,000円にしました。

仲良しグループでお出かけすることに

入学後しばらくはその金額で問題なく過ごしていましたが、夏休みに入って、とても悩むきっかけがありました。部活で仲良くなったグループで、お洒落なお店が多く入っているショッピングセンターで遊ぶことになったのです。そこで長女が漏らした不安が、友達とのお小遣いの金額と使い方の違いでした。

そのグループの中で長女が一番仲良しの友達は、お小遣いを月に8,000円もらっていて、頻繁にショッピングを楽しんでいるそうです。ほかの友達とはまだ仲良くなって日が浅く、お小遣いの金額の話はしていなくて、どのような使い方をしているかわかりません。長女は、一緒に遊ぶみんながたくさん買い物をするのに、自分は買わないという状況になったら、場の雰囲気を悪くしないか不安だと言いました。

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    自分だけ買い物ができないと楽しい雰囲気を壊してしまうのでは……と心配に

考え方の順守と少しの配慮

私は、引っ込み思案な性格の長女が、努力して作った友達との初めてのお出かけイベントなので、不安な気持ちがない状態で送り出してあげたいと思いました。仲良しの友達とお小遣いの金額を合わせることが解決策の一つかもしれませんが、私は、お小遣いをやりくりして欲しい物が買えていて、子ども自らお金の大切さを感じられている、現在の我が家の状況が良いと思っています。私のお小遣いに対する考え方を説明すると、お小遣いの金額に対しては改めて納得しましたが、不安はやはり消えないようです。

そこで、長女に仲良しグループの学校での過ごし方について聞いてみました。すると、「学校でおしゃべりをするとき、みんなそれぞれの考えを尊重するところが心地よいと感じている」という話が出てきました。さらに話を聞いていると、長女が「学校の自動販売機で仲良しグループの誰かがジュースを買うときに、私はそのときの気分でジュースを買うか買わないか決めるけど、一緒に買わなかったからって誰も責めないことを思い出した。だから、ショッピングセンターでも今まで通りで大丈夫だと思う」と言い、笑顔になりました。

結局長女は、今まで貯めていたお小遣いで当日を過ごすと言いましたが、ショッピングセンター内のレストランで食事をすると、1カ月分のお小遣いがなくなってしまうことが予想できます。なので、夏休みという特別な期間のイベントに限ると約束して、食事代は補助することにしました。

子ども同士で決めた今後

イベント当日、長女たちは、ショッピングよりもみんなで過ごすことを楽しんだそうです。みんなで合わせてお金を使ったのは、ゲームセンターで一緒に写真を撮ったときのみで、撮った写真を嬉しそうに見せてくれました。また、昼食はショッピングセンターを出て、近くのファーストフード店に入り、ショッピングセンターよりもお手頃な価格で食べたそうです。

このイベント自体はとても楽しめたようでしたが、今後もショッピングセンターで一日過ごすような遊び方が基本になると、お小遣いを逼迫する可能性があります。そこで、長女にお金を使わない遊び方について、みんなで考えることを促したところ、友達も同じようなことを考えていたようで、今後は昼食を済ませてから、公園や誰かの自宅で遊ぼうという話になりました。

子どものお小遣いの金額を考えるとき、平均額や周りの友達のもらっている金額が気になることがあると思います。私も参考にはしましたが、お小遣いの使い道や生活環境などで、各家庭それぞれだと実感しました。

親がお小遣いの金額を決めた明確な理由を持っておくことが、親も子どもも周りに流されないポイントだと思います。また、お小遣いに対する悩みは、今回の友達付き合いのように金額以外の理由がある場合があります。金額をいくらにするかだけを考えるのではなく、子どもの話をよく聞いてみることもおすすめします。

筆者プロフィール: 半沢まりこ

オフィスシンシア代表
貯金ゼロ・パート収入のみで離婚し、お金の知識の重要性を痛感する。ファイナンシャルプランナーの勉強をした結果、生活の質を変えずに離婚前よりも貯金できるようになる。現在は、離婚前後の女性のお金と心の専門家として、講座や個別相談をはじめ、シングルマザー向けのコーチングでも活動中。自身のホームページ
AFP/GCS認定コーチ/マイライフエフピー認定ライター

イラスト=オオノマサフミ