先日ある結婚情報誌の編集長と久々に対談する機会がありました。最新の結婚式のトレンドやら、長続きする夫婦などについて、話題はつきなかったのですが、その中で感動した話をひとつ書いてみようと思います。

互いの「好きなところ」が冷蔵庫のドアに

同誌の編集部員がある夫婦のお宅訪問にいったら、冷蔵庫のドアのところにメモが二枚。それにはお互いの「好きなところ」がたくさん書いてありました。毎日一個見つけて、毎日書くのを習慣にしているそうです。

「なんていい話なんだ!」と感動しました。

今時の夫婦には強制力がなくなっています。女性が離婚したら暮らしていけないような時代ではないし、男性だって、いつまで稼げるかわからない。リストラも倒産もあります。3組に一組が離婚する時代です。

一緒にいる理由を毎日見つけていかなくてはいけない…それが今の夫婦なのだと思います。

私はそれを結婚後の婚活「結婚維持活動」、略して"維持活"と呼んでいます。その"維持活"の良い例が冷蔵庫の前に張ってある二枚の紙なんですね。

「毎日ときめきを見つける」のが『結婚維持活動="維持活"』

同誌編集長も「ときめきはスキルです。私は毎日夫にときめくようにしています。無理矢理にでも(笑)」というのです。

それを聞いて感動しました。「ときめきはスキル」という言葉、速攻、メモにとりました。

「ありがとう」「ごめんなさい」を言う。相手をほめる。記念日を大事にする。これは結婚維持活動の基本ですが、「毎日ときめきを見つける」というのも、ナイスアイディア。

友人のワーキングマザーは、夫が突然仕事を辞め、学校に行くことになったので、4年間夫を養ったそうです。夫が"専業主夫"状態で、突然友人が一家の"大黒柱"になることになったとか。でもその間も、彼がモチベーションを失わないように毎日「好きよ」と言う、それから、言われて自分が嫌な言葉は絶対に言わないように、心がけたといいます。

自分が言われて嫌なこと、つまり一家の大黒柱の立場にある人が言いそうな言葉です。

疲れて帰ってきたら、「飯、風呂、寝る」の三語ですませたいときもある。でもやらない。時には「誰が養ってると思ってるんだ!」とキレたいときもある。でもやらない。それは、妻たちが「言われたら一番嫌な言葉」だからです。

見事作戦は成功し、夫は4年で復職。今は夫婦共働きのダブルインカムです。

夫婦は運命共同体であり、一緒に小さな会社を営むビジネスパートナーのようなものでもあります。今のような厳しい時代、その小さな会社をちゃんと運営していくのは、会議や対話による改善努力がなくては難しい。そして、仕事でもお金のためだけではモチベーションがあがらないように、お金や安定のためだけに一緒にいるのではなくて、「トキメキ」も不可欠。

「結婚」という花に、水をやり続けることが大切

編集長によれば、結婚式のトレンドも、「二人の決断を大勢の人に確認してもらう」場へと変化しているそうです。

この人と結婚することが正解なのだろうか? そもそも結婚したほうがいいのだろうか?

今は誰も教えてくれません。結婚には間違いも正解もありません。正解は結婚してから二人で作っていくものなんだと思います。

誰かが「この人と結婚しなさい」と押し付けたり、「結婚しないといけない」とは誰も言ってくれない時代。

水をやらない植物にいつまでもきれいに咲けといっても、それは無理。結婚が当たり前ではない時代だからこそ、結婚という花に水をやり続けることが大切だと思う人が増えている。そんな気がします。

著者プロフィール : 白河桃子(しらかわとうこ)

少子化ジャーナリスト、作家。一般社団法人「オサン・デ・ファム」アンバサダーとして、「女の子を幸せにする心とカラダの授業」プロデュース、「全国結婚支援セミナー」主宰。大妻女子大学就業力GP「ライフコース講座」講師および企画。山田昌弘中央大学教授とともに、2008年度流行語大賞にノミネートされた「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著『婚活時代』(ディスカバー21)がある。近著は、国立成育医療センター母性医療診療部不妊治療科医長、齊藤英和先生との共著で『妊活バイブル』(講談社)、『女子と就活 20代からの就・妊・婚講座』(中公新書ラクレ)。