著名投資家のウォーレン・バフェット氏は「自分がよく知っているものに投資せよ」と言います。その通りではありますが、投資初心者がこうした秘訣を耳にすると、「日本企業ならいざ知らず、海外企業なんてチンプンカンプン?」となりがちです。結果として、投資信託を選ぶときの選択肢が日本株式ファンドに偏ること(専門用語では、ホームカントリーバイアスと言います)が往々にしてあります。

  • 投資信託を学ぶ/海外株式に投資するファンドを考える

これはこれでちょっと残念に思います。なぜなら、たいていの人は「海外企業なんてチンプンカンプン」ではないからです。例えば、先進国株式に投資するファンドの組入企業を、具体的に確認してみるといいと思います。

■先進国株式に投資するファンド(※1)の組入上位銘柄
組入企業名(構成比)
1位 アップル (4.1%)
2位 マイクロソフト (3.7%)
3位 アマゾン (2.9%)
4位 フェイスブック(1.4%)
5位 アルファベット(クラスC) (1.1%)
6位 アルファベット(クラスA) (1.1%)
7位 S&P500(先物) (1.0%)
8位 ジョンソン&ジョンソン (1.0%)
9位 ネスレ (0.9%)
10位 ビザ (0.8%)

どうでしょうか? 「海外企業の株式」と聞くと少し構えてしまいがちですが、実際は、普段皆さんが商品やサービスを利用していて、よく知っている企業ばかりなのです(ちなみに、アルファベットはグーグルの親会社です)。こんな風に具体的な投資先をイメージできれば、海外株式に投資するファンドも選択肢に入ってくるのではないでしょうか。

「先進国って言うけど、アメリカの企業(太字で明記の企業)ばかりですね?」、おっしゃる通りです。先進国の中でもアメリカは圧倒的な経済規模を誇るので、この手のファンドだと7割くらいはアメリカの企業になります。実はある意味、新興国株式に投資するファンドも事情は同じです。

■新興国株式に投資するファンド(※2)の組入上位銘柄
組入企業名(構成比)
1位 台湾セミコンダクター (5.5%)
2位 中国建設銀行 (3.7%)
3位 アリババグループ (2.7%)
4位 MSCIエマージング(先物)(2.6%)
5位 FTSEエマージング(ETF) (2.5%)
6位 中国工商銀行 (2.4%)
7位 テンセント (1.9%)
8位 チャイナ・モバイル (1.8%)
9位 ガスプロム (1.7%)
10位 ヴァーレ (1.5%)

今でも中国を新興国と呼ぶかどうかは別にして、新興国ファンドで最も多い投資先は中国企業になるのです(太字で明記の企業)。これは今やアメリカと中国が2大経済大国になっている、という裏返しでもあります。そして、海外株式に投資するファンドを購入すると、その値動きは両国の経済動向に影響を受けますので、否が応でも、日頃のニュースが気になり出します。今までとは違って、国内外の経済・政治動向に対するアンテナや感度が高くなるのです。これも投資を経験することのメリットですね。もちろん、これは海外株式に限ってのことではなく、日本株式も含めて、投資をはじめた人が分け隔てなく享受できるメリット。ぜひ、投資初心者の皆さんには、こんな経験を積んで欲しいですね。

※1 「DCダイワ外国株式インデックス」の交付目論見書を基に作成
※2 「iFreeダイワ新興国株式インデックス」の月次レポートを基に作成(なお、記載の銘柄は海外株式ファンドを説明するための例示であり、投資推奨を目的としたものではございません)