街を走っているクルマを見ていると、履いているタイヤの幅(太さ)は千差万別です。どちらかというとスポーツカータイプは太いタイヤを履いていて、見た目としてはそちらの方がカッコいいのですが、タイヤの幅で走りにどんな影響が出るのでしょうか? モータージャーナリストの内田俊一さんに聞きました。
太いとカッコいいけど、走りに影響は?
タイヤは路面とクルマをつなぐ唯一のもの。しかも、はがき一枚程度の広さなのだから、どれだけ大切かはお分かりいただいているだろう。前々回はタイヤのサイドウォールに書かれている記号を読み解き、前回はタイヤの扁平率を変えるとどうなるのかというお話だった。さて今回は、タイヤの幅がテーマだ。
サイドウォールに書かれている「215/50R17」などの記号は、頭の3桁の数字がタイヤの幅を表している。このタイヤであれば、幅は215mmだ。タイヤの幅はほぼ5mm程度で細かく設定されていて、それぞれのクルマにあったタイヤ幅を選ぶことができる。
では、この幅を広げるとどうなるか。まず、見た目はかなり格好よくなるだろう。カーデザイナーが描くスケッチはタイヤが大きく、フェンダーとの隙間が少ないものがほとんど。これは、タイヤが地面をしっかりと捉えている感じや、スタンスのよさを見せる効果があるからだ。
タイヤ幅が広いと当然、路面との接地面が増えるので、コーナリング時の安定性やブレーキを掛けた時の止まりやすさが向上する。レーシングカーなどを見れば一目瞭然で、市販車よりもはるかに幅の広いタイヤを履いている。
その一方で、一般車の場合は転がる際の抵抗が増え、タイヤの重さも増加することから、燃費が悪化したり、乗り心地に悪影響を与えたりするので、一概に太くすればよいというものでもない。さらに付け加えると、フェンダーよりタイヤがはみ出した場合は保安基準に抵触し、車検に通らないこともあるので注意が必要だ。
もうひとついえば、通常、タイヤの幅を広くする場合はインチアップ(ホイールの外径を大きくすること)を行うことが多いが、その場合はできるだけ、タイヤの外径を変えないようにすることも大切だ。理由は、速度計に誤差が生じる可能性があるからだ。これを防止するには、扁平率を低くするなどいくつかの対応策がある。
いずれにせよ、タイヤを選ぶ際は、そのクルマにあったサイズをしっかりと見極めたい。そのうえで、いまのタイヤよりも乗り心地を重視したいのか、よりスポーティーに走りたいのか、あるいは、どういったところを走ることが多いのかなど、使用シーンをよく吟味してみれば、クルマと自分にあったタイヤを見つけることができるだろう。