「毎日のように怒ってしまう」「言うことを聞いてくれなくて困る」「夫(妻)と育児方針がかみ合わない」……などなど、育児に悩みは尽きません。特に、毎日忙しく過ごしている共働き夫婦なら尚更でしょう。

ここでは、育児中のマイナビニュース会員に"育児の悩み"についてアンケートを実施。寄せられたお悩みに対して"どのようにすべきか"を、NHKの育児番組でキャスターを務めた経験を持ち、現在は育児のセミナー講師や書籍執筆なども行っている天野ひかりさんに、アドバイスしてもらいます。

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  • 将来の夢がない子どもへの対処法


年が明けて、今年はどんな年にしたいかと、お正月に1年の目標などを掲げるご家族も多いかもしれません。子どもたちの冬休みの宿題には将来の夢を書くというものもあるようです。

今回は、「子どもに目標や夢を聞いても、『特にない』『わかんない』と言われ心配です」というお悩みに、親子コミュニケーションアドバイザーがお答えします。

子どもに夢や目標がなくても焦らない

新年の始まりに、親が意気込んで子どもに今年の目標を立てさせたいと思っても、子どもは特に考えてない様子で、がっかりすることってありますよね。「目標もないなんて、覇気のないやつだ」なんて心配になるかもしれません。

しかし、焦る必要はないと思います。目標や将来の夢は、生活の中でゆっくり芽生えていくもの。新年だからって、ポンっと出てくるわけではありません。勝手に聞いて、勝手に落ち込まないことが大切です。

とはいえ、将来の夢や目標が明確であればあるほど、強い子になるのも事実。何かひとつがうまくいかなくても、それを失敗と思わず、努力して乗り越えていけるからです。

子どもが自分の夢や目標も見つけるために大切なことを3つご紹介します。

1.日頃から得意なことを言葉にする

1つ目は、親が日頃から子どもが将来の夢に興味を持てるような言葉をかけることです。

「いとこや赤ちゃんのお世話がとても上手ね。面倒見のいいお姉さんだわ」「ピアノも歌も上手! みんなの前で臆さずに堂々としてすごいね」「かるたをしてる時の記憶力がすごいね。勝てないわ」など、お正月がチャンスになり、お子さんの新しい力を発見できるかもしれません。

見守るだけではく、言葉にして子どもに伝えられるといいですね。子ども自身が、「あ、これ得意かも!」「あ、これはもっとやりたいな」と感じられるような言葉かけを日常生活の中で積み重ねていけば、少しずつ自分のしたいこと、好きなこと、得意なことが自覚できるようになっていきます。

2.親が先に夢や目標を立てて発表する

2つ目は子どもに言わせる前に、まずは親が目標を発表することです。その際、できるだけ具体的に伝えましょう。

「健康な1年でありますように」だけでなく、「健康な1年を送るために、毎日手洗いやうがいを忘れず、間食はしません」といったように、自分がすべきことを宣言した方がいいですね。不可能なことではなく、できそうな範囲のことにしましょう。

また「定年後にお店を出すために、今年は1か月に1つ新規メニューを考案します」など、子どもにもわかりやすく、協力してもらえそうなことだといいですね。

パパママが楽しそうに夢や目標を話す姿を見て、子どももワクワクして手伝いたくなるかもしれません。間食しそうになったら注意をしてくれたり、新規メニューの試食をして感想などをくれれば、夢の実現も達成できそうですね。

3.仕事の話など世の中のことをたくさん話す

最後に、子どもが将来の夢や目標を語れるために、世の中に色々な職業や生き方があることを話して聴かせることが大切です。

まずは、お父さんお母さんの仕事の話をしましょう。子どもはとても興味を持っています。活躍した話をどんどんしてあげ、「お父さんすごい仕事してるんだな」「お母さんかっこいいな」と、子どもが働くことの意義を感じられるといいですね。将来の夢が膨らみます。

もちろん失敗談も、子どもは真剣に聞きます。子どもの吸収力はすごいので、一緒に泣いて一緒に立ち直る道も見せられるといいですね。

子どもの夢を応援しよう

こういった繰り返しが、子どもも自分の夢を言葉にできるようにさせます。そして子どもが夢を語ったら、ぜひ「いいね! きっと叶えられるよ」と、応援する言葉をかけましょう。

子どもは勇気を振り絞って言葉にしたのに、否定されると言わなくなってしまいます。たとえ親が望まないことを言葉にしたとしても受け止めるようにしましょう。

本当に子どもがやる気ならやり遂げると思いますし、途中で面倒くさくなったら、違う夢に向かいます。何も親が正論を言って辞めさせなくても、子どもが自分で才能や努力の大変さなどに気づいて新しい夢に向かう方が、結果子ども自身の力となります。

そして、親に否定されたから夢を叶えられなかったと人のせいにしなくなることも大切です。自分で自分の人生を決めて生きていける子どもに育てたいですね。