シルバニアファミリーを趣味として楽しむ大人の「シル活」。Instagramで「#シル活」と検索すると10万件を超える投稿がヒットするなど、今や大人の趣味活動のひとつとして広く認知されつつあります。
とはいえ、「シル活」と一言に言ってもその内容は実にさまざま。お気に入りの赤ちゃん人形をカバンに入れて持ち歩く人、綺麗な景色を背景に人形の写真を撮る人、家に自分だけのシルバニアワールドを築いている人。子ども向け玩具という枠を越えて、大人も夢中にさせるシルバニアファミリーの魅力とはどんなところにあるのでしょうか? シル活を楽しむ人々に話を聞きました。
シルバニアの人形たちが可愛くて美味しそうな食べ物に!?
まずは、自分のお気に入りの人形たちに、あんな服やこんな服を着せてみたい……でも小さな衣装を作るのは難しそうだと思っている方のために、とってもユニークな衣装を自作するひよこさんにお話を聞きました。
シルバニア公式アンバサダーのひよこさん(@h1natan0h1y0k0)は、食べ物をモチーフにした衣装や着ぐるみを自作し、人形たちに着せたユニークな写真を数多くSNSに投稿しています。その作品は、ただ食べ物の服を着せるのではなく、人形たちの表情を活かしたシュールなものや、日常のワンシーンに溶け込むような親しみを感じられるものなど、ひよこさんならではの唯一無二の作品と言えるものばかり。そんなひよこさんが衣装づくりにはまったきっかけは、小さい頃、洋裁のお仕事をしていたおばあさんと一緒に洋服やスリッパを作ったことなのだそうです。
可愛くユニークな衣装のアイデアの根源を聞いてみると、「SNSで見た食べ物の写真や、スーパーのお惣菜コーナーを見て、『これは作れそう!』想像してみて『可愛い!』と思えたら、すぐにスマホにメモしています」とのこと。なんと、なるべく本物に近づけるべく、作る前に一度その食べ物を買って観察して写真を撮ってそれを見ながら作ることも多いそうです。一つ一つの作品にこだわりが詰まっているんですね。
最後に、シルバニアの衣装づくりに興味がある方に向けて、「まずは簡単なものから始めてみると良いと思います! 私も最初は簡単に作れそうな円柱や三角柱の形をしたものを探して作りました。丸、三角、四角を組み合わせて作れそうなものを探したり、縫うのが難しい方は接着剤や接着テープを使うのもオススメです! 作っているうちにどんどんステップアップしていけると思うので、ハンドメイドを楽しむことが一番だと思います」とアドバイスをいただきました。
DIYで自分だけのシルバニア世界を
続いては、精巧なミニチュアやドールハウスを自作しているシルバニアファミリー公式アンバサダーのkaori3desuyoさん(@kaori3desuyo)。建物や家具を自作できれば、自分だけの理想のシルバニアの世界が一気に広がりますよね。
kaori3desuyoさんがシルバニアファミリーを好きになったきっかけは娘さんのお誕生日に「森のお医者さん」をプレゼントしたことだそう。大人になってからシルバニアの魅力にはまったひとりなのです。
粘土で食べ物や食器、家具などを作ると娘さんが喜んでくれるためどんどん作るうちに、オリジナルの部屋や建物も作るようになり、「それらのオリジナルのハウスを娘の幼稚園の作品展に展示したところ、たくさんの子どもたちが目をキラキラと輝かせて見てくれました。自分の作品を見てたくさんの人がよろこんでくれる。それがとてもうれしくて作品作りをはじめました」とのこと。それにしても、kaori3desuyoさんの作品を見ると、今や粘土から始まったとは思えないほどの精巧さと完成度の高さに驚かされます。
「どんどんアイデアはわいてきます! 」と話すkaori3desuyoさんは、素敵なカフェで家具やファブリックなどを見ると、「ここにシルバニアを置くとどんな感じかな? どういうシーンが似合うかな? 」とイメージを膨らませているのだとか。人形たちがそこで生活しているようなリアル感を出すため、背景や小物のサイズをシルバニアに合わせて調整しながら作っています。
はじめの一歩は粘土から始まったkaori3desuyoさんのミニチュアづくり。まずは100円ショップなど身近なところで手に入る材料で作ることも、オススメなのだそう。「既存の家具や建物を自分好みにリペイントするのもおすすめ! 手軽に自分好みのオリジナルシルバニアの世界ができます」と話してくださいました。
日常のあるあるをコマ撮りで再現
作る、飾る以外のシルバニアファミリーの楽しみ方と言えば、「撮る」。シルバニアファミリー公式アンバサダーのメープルネコ先生(@mini_nekosensei)さんは、メープルネコのお父さんの人形を使ったコマ撮り作品をSNSに投稿しています。
メープルネコ先生が誕生したきっかけは、「お人形遊びを通じて子どもたちの社会性も身につけられたらいいな…という想いがあり、シルバニア世界の自分自身の分身として、メープルネコのお父さん“ネコ先生”を登場させた」ことなのだとか。
その後、コロナ禍で活動が制限されてストレスがたまっていた子どもたちを見て、「リアルでなくても社会とつながっていける」「毎日続けることはとても大切=継続は力なり」を伝えたくて、自分を実験台に見立てて2022年4月9日、「ネコ先生の毎日投稿」を始めたのだそうです。
メープルネコ先生さんの投稿は、日常のあるあるをコマ撮り撮影したものが多く、共感しながらクスッと笑えるのが魅力。そのアイデアについて聞いてみると、「日常の面白かったことやイライラしたことでもネタになりそうなものはすかさずスマホのメモアプリに書き溜めています」とメープルネコ先生さん。日常の中で起こる感情の起伏はネタの宝庫で、常にセンサーを働かせているそうです。
コマ撮りというと、アニメーション作品でも用いられる高度な撮影技術ですが、メープルネコ先生さんはPCでの動画編集は一切行わず、撮影時にさまざまな工夫をしています。たとえば、こちらのトイレットペーパーが飛んで行ってしまう場面は、粘着剤で直接貼り付けて浮いているように見せているとのこと。意外とアナログな方法で撮影されていたんですね。
フォロワーの9割が海外からと、世界中でファンがいるメープルネコ先生さん。「自分の作品はほんの5秒~8秒程度の短いものです。見て下さる方に“ほんわか”“優しい気持ち”“共感できる笑い”を届けたいと思います。世界の方々から評価されると『この感情は世界共通なんだ』と気づくこともあります。今後も世界中にシルバニアの可愛さと優しい気持ちを発信して楽しんでもらえるように頑張りたいと思います」と話してくださいました。
自分のための自分だけの世界を楽しむ
今回お話を聞いた3名だけでも、シルバニアファミリーの楽しみ方は人それぞれ。しかしそこに共通しているのは、シルバニアの中に自分の世界を持っていること。自分だけの世界で癒される、大人の「シル活」。これからもその広がりに注目です。