子どもが自宅で遊んでいたら、おもちゃをぶつけて家具や家電を壊してしまった。お子さんのいらっしゃるご家庭では、このような経験が一度はあるのではないでしょうか。家具や家電は比較的高価なため、買い替えや修理をすると、痛い出費になりますよね。そのような偶然の事故による損害は、火災保険で補償される場合があります。今回は、子育て世帯は特にチェックしておきたい、火災保険の補償内容や特約について解説します。

  • 子どもの突発的ないたずらで壊れたものにも火災保険は使える?

    子どもの突発的ないたずらで壊れたものにも火災保険は使える?

■火災保険の補償内容は?

火災保険とは、火災のほか、落雷や爆発・破裂、水災、雪災、水濡れ、盗難などの事故による損害を補償してくれる保険です。「建物」と「家財(家具や家電、衣服など日常生活を送るのに必要な動産)」が補償の対象となり、「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財の両方」など、補償の対象ごとに分けて契約をします。

一方、家財が火災などの被害を受けた時、その損害を補償してくれる「家財保険」という保険もあります。家財保険は、独立した保険商品ではなく、「家財への補償に特化した火災保険」です。たとえば、賃貸物件に住むなど、家財のみを補償の対象にしておけばいい場合は、この家財保険を契約します。

このように、火災保険は火災や災害などによる建物や家財の損害を補償してくれる保険ですが、「火災などが起きなければ、めったに使うことはない」というイメージがあるかもしれません。しかし、実は、火災保険の「破損・汚損」という補償を付けておくと、日常生活のちょっとした事故にも備えられる、利用機会の多い保険となるのです。

火災保険には、「不測かつ突発的な事故(破損・汚損)」という補償内容が含まれています。これは、事前に予測して防ぐことができず、突発的な事故によって建物や家財を壊したり汚してしまったりした場合に、補償が受けられるというものです。たとえば、子どもが遊んでいて、以下のような事故を起こしてしまった場合に当てはまります。

<建物>

・子どもが室内でボール遊びをしていて、窓ガラスを割ってしまった
・子どもがカーテンにぶら下がり、重みでカーテンレールが曲がった
・子どもが室内の壁に落書きをしてしまった(補償の適用は落書きの程度にもよる)

<家財>

・子どもがおもちゃを投げてテレビの液晶が壊れた
・子どもがおもちゃを入れて温めてしまい、電子レンジが故障した

また、子どもだけでなく、大人が誤って偶発的に壊したり傷つけてしまったりした場合も、同様に対象となります。

・模様替え中、家具を壁にぶつけて穴をあけてしまった(建物)
・よろけて食器棚にぶつかり、食器が落ちて割れてしまった(家財)
・掃除機をテーブルにぶつけ、上に置いてあったデジタルカメラを落として壊してしまった(家財)

ただし、補償の対象(保険の対象)としているもののみ補償されます。たとえば、家財の契約をしていなければ、誤って家電などを壊してしまっても、補償を受けることはできません。また、火災保険の「破損・汚損」で補償されるのは、「不測かつ突発的な事故」に限られます。そのため、故意に破損・汚損させた場合は、補償の対象とはなりません。さらに、下記のようなケースも補償の対象外となりますので、気を付けましょう。

・「ソファーにジュースをこぼして汚した」など、外観のみの損傷
・家具や家電を外に持ち出して使い、壊してしまった
・メガネやスマートフォンなど、免責項目に含まれているものの故障

なお、火災保険の「破損・汚損」は、修理などで何度利用しても、保険料が上がることはありません。上手に使いこなせば、日常生活の様々な事故に役立ちそうですね。

■子育て中は「個人賠償責任危険補償特約」も視野に

また、火災保険では、「個人賠償責任危険補償特約」という特約を付帯することができます。個人賠償責任危険補償特約とは、日常生活で起きた偶然の事故や、住まいの所有、管理または使用に起因する偶然の事故により、被保険者本人またはその家族が損害賠償責任を負った場合、支払限度額を上限に、その賠償費用について保険金が支払われるというものです。子どもが引き起こした損害にも対応できるため、子育て中は加入しておくと安心です。

たとえば、

・子どもが外でキャッチボールをしていたら、他人の家の窓ガラスを割ってしまった
・友人宅で子どもが物を投げ、テレビに当たり壊してしまった

など、子どもによる建物や家財の損壊のほか、

・水漏れを起こしマンション階下の住人の家財を破損させた
・ベランダから誤って物を落とし、通行人がケガを負い治療費を支払うことになった

などのケースにも適用されます。このように、個人賠償責任危険補償特約は、自分の不注意や事故により、相手に損害を与えた場合に弁償金や賠償額を補償するものですが、住まいに関係しない日常生活における事故にも適用されます。そのため、たとえば、自転車事故なども補償の対象となります。自転車事故は、時として相手に重度の障害を与えてしまうこともあり、結果として、高額な損害賠償請求を受ける恐れもあります。

また、現在では、多くの自治体で自転車保険への加入が義務付けられています。火災保険の個人賠償責任危険補償特約を付帯しておけば、万が一、自転車で人身事故を起こしてしまった時の賠償責任に対して、補償を確保することができるのです。

ちなみに、個人賠償責任危険補償特約は、自動車保険や自転車保険にも付帯される特約ですので、「知らないうちに加入していた」という人も少なくありません。複数加入していても保険金は重複して受け取れませんので、すでに加入していないか確認してから、付帯を検討してみましょう。

■火災保険で日常生活の事故にも備えよう

日常生活では、ちょっとした事故が起こることがありますが、特に、子どもは予想外の行動を取ることが多く、ヒヤッとさせられる場面が多いものです。子どもが生まれたら、火災保険の「破損・汚損」の契約をしておくと、いざという時に安心です。ライフスタイルに合わせて火災保険の補償内容や特約を見直し、リスクに備えておきましょう。