「目にも頬にも塗り塗りしてるソレが気になって話が入ってこないんですけど!」
なんて、ストーリーよりも存在感ばりばりのアイテムに気を取られてしまうことはありませんか? 例えば、『ユミたちの細胞』でユミが顔中に塗り塗りしてたスティック。気になって調べたところ、韓国コスメブランド「KAHI」のマルチバームで、目元から首までハリ・ツヤ不足のところに塗ると自然なツヤが出るんだそうです。「あら、良さげ。ちょっと欲しいなぁ」と思ったら、はい、チョロい。あれはもちろん、それが目的の広告なわけです。ユミを演じているキム・ゴウンさんは、「KAHI」の広告モデルを務めています。
これは、出演者が広告モデルだからという遊び心ではなく。韓国では、映画やドラマの中に商品や店舗などを登場させるPPL広告(プロダクトプレースメント)が認められているのです。韓国でドラマを放送するときには、日本のようにストーリーの間にCMが入ることはありません。ドラマや番組の前後にのみCMを入れるよう決められているのです。とはいえ、韓国の放送局にとっても広告費は大きな収入源。そこで、番組内で広告効果を生むPPL広告が認められるようになったそうです。
だから、『愛の不時着』のセリたちはフライドチキンのチェーン店によく行くし、『麗<レイ>〜花萌ゆる8人の皇子たち〜』では高麗時代なのにマスクパックが出てくるし、コーヒーやペットボトルのロゴがバッチリ見えるように飲んでいるシーンも多くのドラマで見かけます。以前紹介した『SKYキャッスル』の顔パック型の高麗人参エキスもPPL。あのドラマがきっかけで、イェソが飲んでいた子ども向けの高麗人参エキスがよく売れたそうです。化粧品やバッグなども売り切れになるほど人気が出ることがあるので、効果はバツグンなんですね。
PPL広告の商品があまりにも存在感出しすぎて問題になることもあるようですが、面白い展開を生むこともあります。『みんなキムチ』というドラマで、主人公の母親が男性をキムチでビンタするというシーンがありました。何を言っているのか分からないと思いますが、袋からカットされていない長いキムチを取り出し、バチーンっとビンタするのです。
キムチでビンタ。飛び散る赤唐辛子。衝撃的だし面白すぎる。これが実は、あるキムチブランドのPPLだったのですが、最初は誰も広告だとは気づかず、映像としてのインパクトで話題となりました。そしてその後、海苔巻きビンタやわかめビンタなど、いろんなドラマで多くの面白ビンタが生み出されました。もはや何が主役か分からなくなるくらいの思いきりは、さすが韓国エンタメだなと感心してしまいます。
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