「見晴らしよくて広いベランダもあって、家賃安いオクタッパン、いいなぁ」

韓ドラには高台にある建物の屋上の家に住んでいる主人公がよく登場します。朝鮮時代から現代にタイムスリップしてきたプリンスが登場するファンタジーラブロマンス『屋根部屋のプリンス』のタイトルにもなっているように、“屋根部屋“と日本で訳されるあの場所。韓国ではオクタッパンと呼ばれ、家賃が安いことから低所得者が住む場所になっているようです。

  • イラスト/みつほし

低所得者の住居といえば、映画『パラサイト 半地下の家族』で半地下の家が有名になりました。あの半地下の家は、朝鮮戦争が続く韓国において、防空壕として1970年代に作られ始めたものなのだそう。その後ソウルの住宅不足にともない住宅としても使用されはじめたものの、その不便さは映画で観たとおり。2022年の集中豪雨による浸水で実際に被害者が出てしまったことから、今後は段階的に物件として使用できなくなるようです。

一方でオクタッパンは、高い場所だからこその見晴らしの良さが“上昇”のイメージに合うのか、『愛と、利と』の地方から出てきて警察官を目指していたチョン・ジョンヒョンなど、ドラマでは夢見る若者のスタート地点として描かれることが定番となっています。『スタートアップ:夢の扉』で起業を夢見るナム・ジュヒョクたちの事務所も、最初はオクタッパンでしたね。

家自体はせまくても、高台にあって夜景がきれいで、ピョンサンと呼ばれる日本の縁台のような場所でごはんを食べたり、おしゃべりをしたりと恵まれた環境に見えます。話は少しずれますが、庭や屋上にあるピョンサンは使い勝手がよくて韓国文化の中でも憧れるもののひとつです。あれが置けるベランダがほしい。ビール飲んだり寝っ転がって昼寝したい。

ドラマで見ている限り素敵な場所に思えるオクタッパンがなぜ家賃が安いのかというと、まず立地があります。あれほど見晴らしのいい高台まで、急な坂道を歩いて登っていかなくてはいけないのです。富裕層が住んでいる高台とは違って、車が通れるような大きな道ではないので、小道や階段をひたすら歩いて登っているシーンをよく見ますよね。夜は暗くて怖そうです。

もうひとつ。オクタッパンは屋上に簡易的に建てられた建物なので、夏は暑く冬は寒いという欠点があります。韓国の夏は蒸し暑く、冬は氷点下になる寒さなのに……。これは致命的な欠点といえます。それでも1度でいいから味わっていたいオクタッパン生活。Airbnbで出してるところないかなぁ。

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