SNS全盛時代にありながら、意外と見えない周りのお財布事情。この連載では、お金の学校ファイナンシャルアカデミーが、典型的な家計簿パターンを紹介しながら、明日から実践できる家計改善のコツを具体的に伝授します。連載第4回では「愛とお金は別モノ!? 年の差婚カップルのリアルな家計簿」にメスを入れます。
14歳の年の差カップル「愛さえあれば、お金は大丈夫……?」
東京都にお住まいのDさん(36歳)は、半年前に14歳年上のご主人とめでたくゴールイン。今は二人の共通の趣味であるダイビングを楽しみながら暮らしていますが、「この先どうなるのだろう?」という漠然とした不安がある、というのが今回の相談内容です。
子どもはタイミングがあえばほしいけれど、今授かったとしても成人を迎えるころにご主人は70歳に。そんな状態で育てられるのかも気になるのだとか。Dさんの家計の状況は次の通りです。
給与
妻 25万円/月(手取り)
夫 40万円/月(手取り)ボーナス
夫 120万円(手取り)貯蓄
500万円
現実から目をそらすな!「ライフプラン表」は不可欠
独身時代から、あればあるだけ使ってしまう「散財型」だったというDさんとご主人。結婚を機にお財布を一つにして、Dさんの会社で月々10万円の財形貯蓄を始めたことは良かったと思います。散財タイプの人にとって、簡単に引き出せない財形貯蓄制度はうってつけですね。
住まいは、結婚と同時に都内のマンションを購入。住宅ローンと管理費・修繕積立金で、月々の支払額は15万円です。独身時代に貯めてきた預貯金1,000万円を頭金に使って、4,000万円の借入れをし、1%の変動金利で30年ローンを組みました。
住宅ローンについては、二人の今の年収であれば、問題なく返済できそうだと考え借入れをしたとのことですが、冷静になってローン完済時の年齢を計算したところ、ショックを受けているDさん。完済時、ご主人はなんと80歳。バリバリ働いているとは到底思えず、年金から住宅ローンを返すべきなのか、答えがわからず困り果てている状況です。
最近では、芸能人でなくとも、珍しくなくなった年の差婚カップル。盲点は、つい自分の年齢で将来について考えてしまうこと。配偶者や子どもはもちろん、配偶者の親の年齢まで意識した「ライフプラン表」作りが、資金計画を立てるためには欠かせません。
Dさんの場合、自分が46歳のときに、ご主人は60歳、義理のご両親は89歳になられるとのこと。そうなると、おひとりさまを謳歌するお友達とは全く違うお金や家族の問題に遭遇することが十分考えられるのです。まずは把握をすること。そこからです。
先に定年を迎える夫、そのとき妻はどうする?
C住宅ローンは「60歳までに返済できること」が重要です。Dさんのご主人は60歳定年、その時点で退職金が2,000万円支給され、65歳まで継続雇用で働く予定とのこと。しかしたいていの場合は60歳以降の年収は下がることが多く、ローン完済は、60歳目標にしておいたほうが安心です。
ご主人が60歳時点での住宅ローン残高は、約2,500万円。そうなると、退職金を使って繰り上げ返済をしてもまだ500万円ほど不足することになります。つまりこの不足分についても、現役のうちに返済目途を立てておく必要があると言えるでしょう。ご主人が60歳になるまで、残された年数は10年。月々5万円は貯めたいところです。
Dさんは結婚もしたので、今後、仕事のペースダウンを考えていたようですが、ご主人が年金暮らしとなる65歳時点で、Dさんはまだ51歳。公的年金だけでは夫婦二人の生活費は十分に確保できません。それどころか、今後お子さんを持つことになれば、高校、大学と教育費も必要となってきます。特別な理由がないのであれば、できる限り今の仕事を続けておいたほうが良いと言えるでしょう。
また家計簿を見る限り、「家計サイズ」を意識していないことがよくわかります。二人暮らしにしては食費や雑費が高く、状況を聞いてみると、コンビニや高級スーパーなど、割高な商品をちょこちょこ買ってしまうことが習慣になっているそう。こうした無意識で行っている行動習慣を見直し、適切な家計サイズに戻すだけで、節約は比較的簡単にできるのではないでしょうか。
またご主人はライフプラン表を作ったことで、二人の老後を改めて考えたようで、たばこをやめることを決意されたそうです。お小遣いも節約でき、健康にもなるのでこれは一石二鳥ですね。いつまでも元気に趣味のダイビングを二人で楽しむためにも、現状を冷静に見つめることが大切です。
ファイナンシャルアカデミー
お金の教養を身につけるための「総合マネースクール」。2002年の創立以来、東京校・ニューヨーク校・オンライン校を通じて19年間で累計61万人以上が、貯蓄や家計管理といった生活に身近なお金から、資産運用、キャリア形成、人生と社会を豊かにするお金の使い方までを学んでいる。人生と切っても切れないお金の知識が丸ごと学べる『お金の教養スクール』では、WEBで受講できる無料体験セミナーも実施している。