「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第23回のテーマは「カレンダーに入力するのは鉄のオキテ」です。

  • 夫婦のルール作りにおける鉄則とは?

人の能力って、本当に人によって違いますよね。

うちの場合、記憶力にものすごく差があります。うちのパートナーは、勉強して得た知識は覚えているのですが、体験したことはどんどん忘れます。私はいつどこで何をしたかをすごく覚えていて、勉強した知識は必要がなければすぐ忘れます。

この2つのタイプが一緒に生活していると、「この前こう言った」というのがものすごく食い違います。「いつ、誰とどこに行くからね」などと会話したのに、まるで何もなかったかのように忘れられます。忘れたと認識してくれればまだいいのですが、大体の場合「さるころがそんな話をしていない!! 」と主張されます。

この「言った」「言わない」の水掛け論、本当にムダです……。こちらにある記憶が相手にないと、「時空の歪み? 」「宇宙人に記憶でも消されたの? 」などと思っちゃうんですが、そこにまつわる会話の内容をしつこくしつこく「この時このように、友達の○○ちゃんがこう言ったから、こういう流れでこういう会が行われる説明もしたんだけど」と説明していくと、「ああ、なんかそんな話してたかも……」みたいにはなります。

ただ、ここで「ほれみろ! 言ったじゃん!」などと、己の正しさを主張したところで、やはりムダです。「話しても忘れちゃうって、どうして? どうしたら覚えていてくれるの?」と思ったこともあるのですが、何をどう説明したところでパートナーは「自分に関係ない話は、聞いても忘れる」ということがわかったので、諦めました。

「私は言った」という正しさを主張したところで、相手の記憶力の前には意味をなさない……と理解したのです。自分が覚えてるタイプだからって、それをゴリ押ししても相手は覚えてはくれません。

なので、予定は共有しているグーグルカレンダーに書き込むことにしています。ここに書き込むのは我が家の鉄の掟です。

別にグーグルカレンダーじゃなくてもいいのですが、共通のところに書き込むのは証拠になりますし、なによりわかりやすく、親切でもあります。先日共働きのご家庭に遊びに行ったところ、ダイニングに巨大なホワイトボード式の予定表(会社とか学校の職員室とかにありそうなやつ)がありました。

そこに、家族全員分の一カ月の予定が書き込めるようになっていて、「おおお……!」と感動しました。それぞれの家庭に情報共有の手段があるんだな~と染みいりました。というか、会社や学校の職員室に共通の予定表が必要なのは、見ないと忘れるからですよね。家庭にも当然のようにあってしかるべきだな、と改めて思い直して「なんで忘れちゃうの」などと憤っていた自分を反省しました。

ちなみに我が家では共有しているグーグルカレンダーは、夫婦各々の仕事の予定(主に外出する予定)、子どもの行事(保育園行事や予防接種など)、空手予定など、種類ごとに色わけされています。

うちは夫婦で同じ空手の道場に通っているので、空手の予定も共有しています。平日は稽古が夜なので、行くのは夫婦代わりばんこですが、週末の予定の場合は家族行事です。旅行やレジャーは、企画した人がカレンダーに書き込みます。

で……私がこの予定表への書き込みを、ものすごく忘れるタイプなんですよね……。

パートナーが「言われたことを忘れる」タイプだとすると、私は書き込むとかそういう「マメな行動を忘れる」タイプです。というか、わりと書かなくても覚えてるせいなのかもしれないんですが、すごく忘れがち。

そうなると、今までは私が「言ったのに、なんで覚えてないの!」とか言ってたくせに、今度は「カレンダーに書く」というタスクを忘れることを怒られるという……。ううう。

夫婦は別々の人間で、得意不得意が違うので「2人で守れるルール」を作っていくしかないんだなあと思います。カレンダーに書き込むというのは、どう考えても効率的なルールなので、私はがんばって、忘れないようにカレンダーを書き込むように心がけています。

著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。