「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第208回のテーマは「子どもの『見ないで』は守るタイプ」です。

これまでのお話はこちら

小学校入学したくらいから「僕だけしか見られない自由帳がほしい」と息子が言い出しました。「いいよ」と与えていたのですが、息子にとって「自分以外の人が見ないノート」の存在が出てきたのは、成長の証だなあと思っています。

最近、部屋に落ちていた紙を拾ったら漫画が描いてあったのですが「これなあに? 」と聞いたところ、「見ちゃダメ!!! 」と怒られました。すごく小さい字で文字がかいてあったので、全然内容は読んでいないまま本人に渡しました。

その経緯を知らないパートナーは「漫画だ~」と喜んで写真に撮って、「息子の漫画読んだ? 」と私に見せてくれようとした時に発覚し、「それは見ちゃダメなの! 」とすごく息子に怒られていました。お父さんよりもお母さんに読まれたくないらしいので、見ないようにしました。

私はこういうときに「見ちゃダメ」と言われると、本当に見ないタイプです。世の中「見ることを禁じられると、見てしまう」というパターンから始まるホラーや物語はよくありますが、私は「見ないでくれ! 」と言われたら「そうか、見られたくないんだな」と思ってそのままなので、そのパターンの物語は始まらないな……とよく思っています。

本人が見られたくないと思うのだったら、それには理由があるはずなのでそれをそのまま尊重したいなと思っているからです。子どもが隠し事をしていて、後から大変なことが発覚するというリスクもないわけではないですが、ノートの中身は心のプライベート空間なので、なるべく立ち入りたくないという気持ちがあります。

自分が子どもだったら、親がなんでも見たがるような人だと安心できないと思うからです。私の親はあまりそういったものは見ないタイプでしたが、姉達はわりと見たがって、見たものを親に「こんなことを書いてた」と言われたことがあります。それがとにかく嫌だったんですよね……。

「心理的安全性」という言葉がありますが、家の中で自分の心の中身を覗かれるかもしれないと思うのは、結構なストレスがかかります。私は息子が「お母さんは見ないでって言ったら見ないし、勝手に見たりもしない」という信頼を得たいし、子どもには安心して過ごしてほしいと思っています。

あと私自身、隠し事をしたり嘘をついたりするのは面倒だし、ストレスを感じるタイプです。なので、見たのに「見てないよ」とか、見てしまって言いたいことがあったりした場合に「言わない」ようにするのが面倒……という理由もあって「見ない」ようにしています。

ちなみに、前に本人が描いたマンガを見たときに、ついつい「コマ割りしないの? 」などと、余計なことを言ってしまったんですよね……。よかれと思って言ってしまうのですが、本人はもっと自由に楽しくやりたいんだと思います。「見られたくない」理由にそういうところは多分にあると思うと、自分の子どもとの接し方に反省するべきところがあるな、とも思います。

最近は、宿題も見せてくれないことが増えてきました。学校の先生には見せてもいいのに、親はダメなの!? と思うのですが、とりあえずそれなりにきちんと宿題はやっているようなので、そこも見ないようにしています。

先日、本人に「見ないで! 」と言われた宿題が、授業参観のときに「よくできた宿題」としてたまたまみんなが見られるコーナーに置いてあったのですが、「これは見ていいの? 」と聞くと「他のお父さんお母さんも見てるし、見てもいいよ」と言われました。

その宿題を見てみると……なんでこれがダメなんだろう? という内容でした。本人は親に「もっとこうしたら」と言われると思ったのか。「親に見られて恥ずかしい」というのは、本人的に「ちゃんとやっていない」とか何か後ろめたい気持ちがあるわけではないのかもしれません。本人しかわからない理由があったとしても、それは尊重しつつ「見られたくない」の理由は理解できるようにはなりたいなと思いました。

まだ小学2年生なので、「親に見られたくない」ことの中に、親が知っておくべきことがあるとは思わないのですが、この先大きくなると人間関係のトラブルやネガティブなことを「親に知られたくない」と隠すことも出てくると思います。

そういうときには息子の様子を見て、トラブルがありそうなら開示してもらえるようにしたりはしていきたい。それでも本人が必死に隠していることを勝手に見るのではなく、本人から言ってもらえるような関係性を築けたらいいなと思っています。

『その下ごしらえ、ホントに必要? 段取り少なく美味しくできる、家庭料理の新常識レシピ』

(幻冬舎刊/1,650円)
水谷さるころのパートナー・ノダDこと野田真外が、女子栄養大学名誉教授・松本仲子氏に「本当はやらなくていいこと」を省いて美味しい料理を作るコツを教えてもらうレシピ本です。イラストとマンガは水谷さるころが担当。1月13日発売。くわしくはコチラ

著書『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』

(幻冬舎/1,100円)
全編書き下ろしエッセイマンガ!
バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉めごとあるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。くわしくはコチラ

著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。