「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第191回のテーマは「たまにはお互いの好きなところを言おう」です。

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我が家は保育園の頃から、子どもの行事や保護者会などに夫婦揃って参加しています。

どちらも子どものことが知りたいので、参加権を争うくらいなら一緒に行こうと話し合って、そうしています。はじめは「ママ友があまりできない」などのデメリットがありましたがそれも乗り越えつつ、子どもの情報を共有しやすいなどのメリットがあり、子どもが小学生になってからも保護者会に夫婦で揃って参加しています。

そんな我々なので、「いつも仲良しですね」と言われることがあります。たしかに、ふたりとも在宅なので同じ家で仕事をしていますが、お互いが仕事部屋があるので、そんなにずっと一緒というわけではないです。でも、ほぼ毎日3食一緒に食べている夫婦というのは、お勤めの人だったらそんなに多くないですよね。実際会話も多いですし、仲良し夫婦ではあると思います。

それもこれも、お互いの離婚経験から「二度と離婚したくない」という共通の目標があるからかもしれません。どうやったら仲が悪くなり、どうやったら信頼関係が損なわれるのかを我々は知っているのです……!

結婚式が「仲良し」のピークで、後は下がるばかり……というような結婚生活。これは共同生活の中で信頼関係が損なわれるとそうなってしまうんですよね。そうならないように日々検証し、実践するということを10年続けています。結婚後の信頼関係が深まれば、結婚当初よりもさらに仲良しになれるはず! と思っているのですが、今のところ離婚の危機も多少はありつつも、結婚した10年前よりも信頼関係は深まっていると思えています。

声に出してお互いをリスペクトする、というのはわりとよくやっています。こちらがお願いしたことをやってくれたら感謝を伝えたり、改善されたことがあれば褒めたりします。基本的にダメ出しのコミュニケーションはしない、要望を伝えて、きちんとお願いする。それが叶えられたらきちんと評価を口に出して伝える。というポジティブなコミュニケーションを取るように心がけています。

そして、たまに具体的に「お互いのどんなところが好きか」みたいな話をします。私はかなりはっきり物事を言うタイプ。そして「問題提起」をしたら「理想の解決」まで言うようにしています。

これにははっきりしすぎなところがあり、議論や言語化があまり得意でない人相手だと、私の意見が強すぎてしまうときがあるのです。今までの経験だと「正論はキライだ」と否定されたり、言い返さずに黙り込まれたり……。私が話し合いで解決したいという気持ちが強すぎるのかなと悩んだこともありました。

しかし我がパートナーは、私と同じくらい議論が強いのです。そしてその私の「論の強さ」が好きだと言ってくれます。

感情面の言語化という意味では私のほうがかなり強いのですが、パートナーは基本的に「言語化」と「議論」のほうが理解しやすいタイプ。なので「正論がキライ」みたいな根本からの否定はなく、いつも私の言うことを理解してくれているな……と思えます。

パートナーはこれまで、女性に対して議論が強すぎると「モラハラ・ロジハラ」になりかねず、言い過ぎたつもりはないのに相手がひどく傷つくということがわりとあったようです。つまり……相手を論破しちゃうんですね。今のところ、我々はお互いが、「論で納得させられたほうがいい」タイプなので、非常にいいバランスとなっています。お互い、本当にここはよかったなと思うところです。

信頼関係が深まっているのは、お互いの努力の賜物。であるのと同時に「やっぱり相性はある」とも思うのです。「いろいろ努力はしても、相手との相性が悪ければ努力も実らない」ということもあるということを知っています。ハマっていないパーツに負荷をかけるようなもので、ハマっていないのに無理に動かそうとすれば壊れます。

その場合は「諦める」というのも一つの選択だし、それが愛情だったりすることもあるのだと思います。だから「何がなんでも離婚しない」「絶対に話し合いで解決する」というのも危険なだとも思っています。我々は、お互いがまた同じ過ちを犯さないようにしつつも、相手を変えたからこそなんとかうまくできているというのも事実です。なので「二度と離婚したくない」という強い気持ちはありつつも、離婚しないことが正しいわけではないとも思います。

「信頼関係を深める努力」「相性」はどっちも大事だと思うのです。お互いのどういうところが好きかというのは、相性を確かめあって、信頼関係を深めるという意味ではたまにメンテナンス的に行うのに、大事だなと思っています。

昨今、外見をとやかく言うのはよくないという社会になってきていていますが、パートナーは外見にほとんど興味がないので、それは私的にはよかったな……と思います。ちなみに私は外見的な好みとしては「メガネをかけている男性」が好きなのですが、メガネは痩せても太っても、年をとっても変わらないので、よかったな……と思っています。

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バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉めごとあるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。くわしくはコチラ

著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。