「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第166回のテーマは「親離れ子離れの第一歩練習中」です。
第154回「ドラえもんは理想の大人像? 」で、「のび太のママは叱るばかりでサポートを全然しない。子どもにとっての理想の大人はドラえもんではないか」という話を書きました。
そんなわけで、子どもの困りごとに寄り添って、解決策を提案してくれるドラえもんみたいな大人でありたいと思う私は、「子どもができないことはサポートする」というのを信条に子育てしています。
しかし、最近の息子はなんだか「親に問題丸投げ」の傾向が出てきました。それはそれで困ります。小学生ともなれば、「できないこと」だけでなく「できるけどやりたくないこと」が出てきます。
「使ったものを片付ける」「自分で使うものを自分で用意する」とかは、幼児ではできないこともあるのでサポートはします。でも小学生になった今なら、確実にできます。幼児期から練習もしてきたはず……。なのにそういうことも「お母さんやって~」と言いがち。
むしろ幼児期は、「できるよ! 」と誇らしげだったのに、当たり前にできるようになった今は、「めんどくさい」という態度……。「自分でやりなさい! 」と口うるさく言うようになり、これがまた疲れます。でも、子どもがやりたがらない理由が「できない」なのか「やらない」なのか。この辺の見極めって、本当は難しいですよね。
私はかなり用意周到なタイプです。「子どもをサポートしたい」という気持ちもありますが、同時に子どもが家にいて大人しくなにかをしていてほしい、とも思っています。そういう時になにも解決策がないと私自身が困ってしまうので、それを避けるために「子どもが喜ぶなにか」を常に用意しているのも事実。
読みたがっていた本を買っておいたり、図書館で本を借りておいたり、好きそうなワークやペーパークラフトを買っておいたり。なので息子が「つまんない~」と言うと「じゃあこれをやりなさい」と、出してしまいます。四次元ポケットはありませんが、ネット通販を駆使する“さるエモン”。
子どもに対して、なんでも先回りして問題解決すると、実は親もすごく快適なんですよね。でもそれをやり過ぎると、親に依存しまくりで、自立心が全然ない子どもになってしまう……!
なので、これは成長してきた息子にとっては必ずしもいい環境じゃないよなあ……と思うようになりました。家の中で退屈なら、自分で考えられる年頃です。家には図鑑や辞典などもあるし、決して「なにもないつまらない家」ではないはず。でも本人が興味を持たなければ、なにも面白いことはない……。
基本的に息子が「つまらない」と言い出すのは、デジタルデバイスが使えないときです。我が家は第150回「デジタルデバイスのチケット制」でも書いたように、デジタルデバイスの使用をチケット制にしました。使用ルールを設定しないと、タブレットでひたすらYouTubeのゲーム攻略動画を見て、ゲームをするというサイクルをやってしまいます。
また、デジタルデバイス以外の体験もしてもらうために、デジタルデバイスを使える「20分チケット」の上限を平日2枚・休日5枚に設定し、ワークや読書などデジタルデバイス以外の体験をするとチケットを稼げる、という運用をしています。
チケット制にしてから「本当に見たいもの、やりたいこと」を優先順位をつけてやるようになり、ダラダラとよくわからない動画を見たりすることがなくなったので、よかったな~と思っています。
しかし、最初はスムーズにワークを終わらせるなど「チケット稼ぎ」を楽しんでいた息子ですが、最近はチケット稼ぎが苦痛になってきたようです。このデジタルデバイスチケット制の発案をしたのが私なので、チケット管理の8割くらいを私がしています。……これがまた、めんどうくさいんですよねえ。デジタルデバイスを、「子どもにバランス良く使わせる」のは本当に骨が折れます。
「デジタルデバイス一切禁止」か「デジタルデバイスに子守を丸投げ」のどちらかにしてしまうのが、親としては一番楽……と何度も思うのですが、最近の我が家のルールランキング1位に上昇している、「何事も練習が必要」という方針に従い、「バランス良くデジタルデバイスを使う」練習をさせています。
そこで、「デジタルデバイスが使えないときの時間の使い方」という問題がでてきました。私が用意周到に色々とやりすぎるせいで、息子が「お母さんになんか言うと解決してくれる」という思考になり、パートナーから「なんでも用意しすぎるからだよ」と指摘されてしまいました。
私としては解決の手本を見せて、将来的には自分で解決してもらいたいと思っています。しかし同時に、「お母さんにやってもらえばいい」という経験値も積ませてしまっているんですよね。
育児というのは過保護でもダメだし、突き放し過ぎて信頼関係が築けないのもダメです。本当に困ったときに、「助けて」と親に言えるような関係性を築かないと子どもを守れない。かといって、なんでもかんでも親が先回りしてばかりいると、子どもは自分で自分を守る術を学べません。
結局、子どもに練習させているようで、親も子どもとの距離感の練習をしているんですよね。正解がどこなのか、本当に正解なんかあるのかと日々悩みつつ、失敗したら反省して修正して……とやっていくしかない。そんなわけで、結局親も子も練習の日々なのでした。
新刊『骨髄ドナーやりました!』
(少年画報社刊/1,045円)
初代骨髄バンクアンバサダーの俳優・木下ほうかさんも「『ちょっと人の命を助けて来るから!』。こんなカッコいいことを言い放つお母さん。私はこんな最強マンガを待っていました」と絶賛する書籍が発売!! 日本骨髄バンク完全監修の爆笑必至の骨髄ドナー体験マンガです!
夫婦揃って献血が好きで、骨髄ドナーに登録しているさるころとノダD。2人は事実婚・共働きで息子を育てています。夫のノダDは今までに3回骨髄ドナーにマッチングをしていて、3回目で骨髄提供をしました。そんなある日、骨髄バンクから届いた書類をよく見ると、なんと今度は妻のさるころが骨髄ドナーにマッチングしたお知らせでした……! 非血縁ドナーのマッチング確率は数百~数万分の1とも言われており、骨髄ドナーは登録してもマッチングするとは限りません。そんな中、なんと夫婦で2年連続ドナーを体験。そんな激レアなn=2のリアルガチな体験談をあますことなくお届けします! 詳しくはコチラ
著書『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』
(幻冬舎/1,100円)
全編書き下ろしエッセイマンガ!
バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉めごとあるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。くわしくはコチラ
著者プロフィール:水谷さるころ
女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。