「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第126回のテーマは「子どもの好きなものはコントロールできる? 」です。

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子どもの好きなものは、親がコントロールできると思いますか? 私は、ある程度影響があるのは当然だけど、コントロールはできないと思っています。

うちの息子は私の好きなモノを好む傾向があります。でも、息子の一番好きな星野源さんは、両親共にとくにファンというわけではなく、家で曲が流れる環境でもなく……本人がYouTubeでPVを見てどハマリしたのです。

昭和や平成初期の子はともかく、イマドキの子どもは早いうちから自分でタブレット操作をして自分の好むものを見られるんですよね。なので、昔は「親の好むもの=子どもが見られるもの」だったと思うのですが、現代においては必ずしもそうではないなと感じています。

私が子育てをしていて一番面白いなと思ったのは、どんなに小さいときからでも本人の好みというものがあるんだ、ということでした。息子が親のスマホを使い始めたのは1歳からでしたが、YouTubeが見られるようになると「自分で選べるもの」の幅が広がります。もちろん何を見ているかは親も把握して、コンテンツに問題がなければそのまま見せます。そして、気が付いたら本人がお気に入りのアニメの動画を見つけたり、星野源さんにハマったりしました。

私は息子を産んだときから、「この子はどんなものが好きになるんだろう」と楽しみにしていました。きっと、私が好きでもない特撮を見たり、電車を見るのに付き合ったりするんだろうな~とワクワクしていました。が、おしゃべりができるようになって、本人の意志がよりハッキリとわかるようになると、息子は電車などは「たしなむ程度」で、特撮も「嫌いじゃないけど別に見なくていい」という感じ。恐竜も、虫も、嫌いじゃないけど夢中になるほどではなく……。

そして、狂ったように星野源のPVをリビングで見るのに付き合わされる……ということになりました。よく知らなかったので星野源さんの魅力がわからなかった我々夫婦も、だんだんと「この人はすごいな……」と星野源さんの良さに気が付くようになり、今ではすっかりファンです。

こういうのは、特撮とかでやるハズだったのでは……と思います。仮面ライダーとか電車とか、子どもが好きだから付き合ってるうちに、親のほうがファンに……ってよく聞くのですが、我が家の場合は星野源さんでした。私としては、「どうしてこうなったんだ!? 」という気持ちです。私は鉄道博物館とか行ったり、ヒーローショー行ったりする気満々だったんですけども……。

まあ別に子どもが好きならいいやと、頑張って母は星野源さんの東京ドームのチケットを取りました。星野源さんは子どもの入場OKなのが嬉しかったです。なお、星野源さんのファンは幅広く、若い男女、中年夫婦、年配男性の1人客から子連れの親子客までたくさんいました。

一方お父さんは特撮好きなので、子どもと日曜日の朝は特撮を見る気満々でした。実際、お兄ちゃんのときも毎週特撮を親子で楽しみにしていて、お兄ちゃんは成人した今も特撮好きのままです。親も好きで、子どもも好きになるということはありますよね。しかし、同じ男児だからといって同じように見せても、同じようには育たないというのが、子育てなんじゃないかなあと思うのです。

だから、実感としては「子どもってそんな簡単にコントロールできるものではない」と思っています。関係ないけど、特撮好きのお兄ちゃんも星野源さんが好きです。っていうかもはや星野源さんがただスゴイんじゃないかって気がしてきました……。

また、息子は私の趣味である古墳も好きです。私的には息子が古墳を好きになってくれたおかげで、家族で古墳巡りができるようになってとっても嬉しいのですが、「息子を古墳好きにしてやろう」と思って育てたわけではありません。まあ、リビングにたくさんの古墳グッズと古墳の本があって、絶対に影響はしているのですが……。

私は元からマニア気質がなく、古墳は「墳丘を見られればそれでいい」という感じだったのに比べ、息子はかなり早い段階で「博物館にも行きたい」と言いだし、詳しく埋葬品などを見始め、私よりもコアな古墳好きになっていました。そして、私もその影響で博物館をたくさん見た結果……それまでは墳丘にしか興味がなかったのに、埴輪、勾玉、その他の埋葬品などにも詳しくなりました。逆に息子に影響されています。

パートナーは、息子が私の好きなものばかり影響を受けているのが悔しいらしく、自分の趣味であるダムの本をリビングに置いて読むようにすすめ、そして一緒にダム巡りをしました。行ってみたら、息子もダムの良さがわかったようです。ちなみに私も初めてちゃんとダムに行ってみたら「ダムかっこいい! 」と思うようになったので、親子でなくても、「これはこのように素敵だよ」と教えてくれる人が近くにいれば影響を受けるものなんじゃないかなあと思います。

ただ、近くでやってるのを見てるからといって、必ずしも興味を持ってをやってくれるかと言えば、また違います。我が家は夫婦揃って空手をやっていて、息子は赤ちゃんのころから週末昼間の稽古に連れて行かれているのですが、まーったく興味を持ってくれません。無理にやらせても嫌いになるだけだと思うので無理強いはせず、たまに「やらない? 」と聞いては「やらない」と言われ続けていました。

しかしなんと、今年に入って突然「やろうかな」と言い出したのです。空手そのものに興味を持ったというよりは、週に一度、夜に母が空手の稽古にでかけてしまうのに「自分もやればついて行ける」ということがわかったから……ということのようです。夜の稽古は帰りが遅くなるので、こちらとしては無理に連れて行くつもりはなかったのですが、空手をやってくれるならという感じで連れて行っています。

本人は、教えればそれなりにやれて覚えるのも楽しいようですが、「空手が好き! 」というわけではなさそう。親と一緒に夜のお出かけができる、というほうが楽しそうです。大きくなってくると、「好きだからやりたい」以外の動機もあるんだなあと思ったりしました。

子どもは簡単に影響されることもあれば、まったくされないこともある。子どもが好きになった影響で親が好きになるものもたくさんある。我が家は、息子と私の趣味が比較的似てるので今のところ平和なだけかもしれないなあと思います。そのうち私が理解できないものを好きになっても、極力理解できるようには努力はするし、私が理解できなくても、そのまま突き進んでくれたらいいなと思っています。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。