「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第105回のテーマは「子どもに何かを強制するのは無益だと思ってます」です。
我が子は今習い事を2つやっています。ピアノと英会話です。ピアノは今年から始めました。英会話は3歳からやっています。とはいえ、どちらも親の希望ではないのです。どっちも本人がやりたいと言うのでやっています。
「3歳児が英語をやりたいと言うのか?」という話なんですが……猛烈な英語ブームがあったのです。英語という概念を知った3歳児の息子には「これは英語でなんて言うの?」という幼児特有の「『どうして?』ブーム」の英語版がありました……。
最初は答えられていた我々親なのですが、だんだん「そんなの英語でなんて言うんだ!?」ということになり、困りに困った結果、幼児対応してくれる英会話の先生に自宅に来てもらうことにしました。
幼児の求める英語の難易度というと「吹き戻し笛の英語」とかです。そもそも「吹き戻し」って言われてすぐになんのことだかわかりますか? 吹くと「ピロピロ」っと音と共に伸びて、息を止めるとクルクルと元に戻る笛です。縁日とかで買う、紙でできた笛です。あれ「吹き戻し」っていうんですよ!
で! 「これは英語でなんて言うの?」と言われたら親は泣きたいですね。イギリス出身の英語の先生によると「Party horn」だそうです……。と、そんなわけで我が家は「息子の意志」優先で習い事をしています。
親はサポートはしますが、無理強いはしないようにしています。英会話もピアノも横でつねに一緒に見ていて「これは困ってるな」とか「これはサポートしたほうがいいな」ということはやります。どうしてもピアノでできなかったところは「あれ、もうちょっと練習しておけば?」と言ったり、英語で何度も出てくる言葉なのに全然思い出せない言葉は、お風呂で何度も復習したり。
でも、とにかく「やりなさい!」とは言わない。というのが私の中の鉄則なのです。なにせ私の習い事の思い出が全然良い思い出ではないから……。どうして昭和の子育てって「ちゃんとやりなさい!!」だったんでしょうね。いや、今もそういう人はいるかもしれませんが……。
私はピアノを習っていました。「自分でやりたいと言ったでしょ」と言われて辞めたくても辞めさせてもらえなかった思い出……。きっかけは、2人の姉が共にピアノを習っていて、ピアノを弾いてるところを見ていたら、母親に「あんたもやりたい?」と聞かれたんですよね。「7歳と5歳年上の姉のやっていることと、同じことをさせてもらえるんだ!」と思って「私もやりたい!」と言ったのですが、まあ……なんていうか、親の策略にはめられたような気がします。
最初は「キラキラ星」とかで、知ってる曲を練習していてとっても楽しかったのですが、バイエルになってからはひたすら苦痛……。ブルグミューラーの頃には、ただただ地獄でした……(※バイエルとブルグミューラーは基本のビアノ教材の名前です)。
我が家は中学受験をさせられる家だったので、姉たちはみな受験期にピアノをやめており……。私もとにかく「はやく小6になって、受験でピアノを辞めたい!!」としか思ってませんでした。
それくらいイヤだったのですが、とにかく昭和スタイルの我が家では「自分からやりたいって言ったんでしょう」と延々と言われ続け、無理矢理ピアノの前に座らされイヤイヤ練習させられていました。
するとなんということでしょう。ピアノの前に座るだけで肩に強烈な痛みが走るようになったのです!!
親は全然信じてくれませんでした。だって、ピアノの練習してないときは痛くないから。つまり「ピアノの練習をしたくないために嘘をついてる」って思われてました。でも本当に痛くなったんですよね。……これ、今回のマンガを描くにあたり克明にその頃の記憶をたどっていましたら、痛みも思い出したんですよ……! こ、怖い……! 心因性の痛み……!!!
ちなみに中学受験も全然したくなかった(本当に行きたい学校を受験させてもらえなかったため)ので、受験は全滅しました! 晴れて地元の中学生になり、ピアノからも解放されてのびのび暮らしていたころ……。学校にものすごくピアノが上手で、なんでも弾けちゃう子がいたんですよね。邦楽のポップソングの譜面とかを持っていて、歌謡曲の伴奏ができる子がいたのです。それを見て「えええ! こんなに好きな曲とか弾いていいの!? それだったらやりたかったなあ」と思ったのです。
その経験から「楽しい」と「やりたい」が無いことを子どもにやらせても絶対ムダ! お金も時間も労力も全部ムダ!と思っていて、私は「絶対子どもに何かを無理強いしない!」と心に決めているのです。
楽しかったり「こうなりたい」が子どもの中にあったりすれば、子どもは自分でやりたがるのです。だから、子どもの「楽しい」と「やりたい」をいかに潰さないかが親の役目なんじゃないかなと思っています。
私は大人になってから空手を始めて、楽しくてハマってあっという間に黒帯を取り、今も続けて18年です。誰かにやれと言われたって絶対やらないですが、自分がやりたいことは続けられるんですよね。
ちなみに親の希望としては、息子に空手をやってほしいことこのうえないのですが……赤ちゃんのころから息子を練習に連れて行ってもまるで興味無し……。極たま~~~に付き合ってマネしてくれますが、基本的には興味がありません……。うう……親がやってれば子どももやるってわけじゃないのです……。
新刊『骨髄ドナーやりました!』
![]() |
(少年画報社刊/税別950円)
初代骨髄バンクアンバサダーの俳優・木下ほうかさんも「『ちょっと人の命を助けて来るから!』。こんなカッコいいことを言い放つお母さん。私はこんな最強マンガを待っていました」と絶賛する書籍が発売!! 日本骨髄バンク完全監修の爆笑必至の骨髄ドナー体験マンガです!
夫婦揃って献血が好きで、骨髄ドナーに登録しているさるころとノダD。2人は事実婚・共働きで息子を育てています。夫のノダDは今までに3回骨髄ドナーにマッチングをしていて、3回目で骨髄提供をしました。そんなある日、骨髄バンクから届いた書類をよく見ると、なんと今度は妻のさるころが骨髄ドナーにマッチングしたお知らせでした……! 非血縁ドナーのマッチング確率は数百~数万分の1とも言われており、骨髄ドナーは登録してもマッチングするとは限りません。そんな中、なんと夫婦で2年連続ドナーを体験。そんな激レアなn=2のリアルガチな体験談をあますことなくお届けします! 詳しくはコチラ
著書『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』
![]() |
(幻冬舎/税込1,100円)
全編書き下ろしエッセイマンガ!
バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉めごとあるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。くわしくはコチラ