普段の生活から、旅行先での移動手段など、さまざまな場面で役立つタクシー。便利な移動手段だけではなく、ほっこりと心温まる場面に出会える場所でもあります。

この連載では、タクシーに乗った時の「ほっこりした」読者の体験談をマンガで紹介。タクシーにまつわる何気ない日常のエピソードをお届けします。

タクシーの車内に広がるリンゴの香りと、運転手との交流

寒さが身に染みるある日、私は一台のタクシーを拾いました。座席に深く腰を下ろした瞬間、ふわりと甘い香りが鼻をくすぐります。見回すと、ダッシュボードの片隅に真っ赤なリンゴが一つ、ちょこんと置かれていました。

「運転手さん、このリンゴは?」

気になって尋ねると、運転手はバックミラー越しに微笑みながら説明してくれました。

「ああ、それは芳香剤代わりに置いているんですよ。私の地元の名産で、香りもいいし、お客さんとの話のきっかけにもなるんです」

なるほど、と感心する私。確かに、この甘く爽やかな香りはどこか懐かしく、心を落ち着かせます。

リラックスする私に、「よかったら、どうぞ」と運転手が手渡してくれました。思わず受け取り、手のひらでころがすと、ひんやりとした感触が心地よい。

「リンゴを芳香剤代わりにするなんて、面白いですね」

「そうでしょう? お客さんもよく話しかけてくれるし、地元のことを知ってもらえる。何より、香りが車内を和やかにしてくれるんですよ」

タクシーが目的地に着き、運転手に礼を言って降りると、リンゴの香りがまだ指先に残っています。その香りとともに、心まで温かくなる時間でした。

調査時期: 2024年6月14~15日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 300人
調査方法: インターネットログイン式アンケート