魚豊(うおと)氏原作の漫画『チ。 -地球の運動について-』は、神による天動説が常識となっている中世ヨーロッパで、命を懸けて地動説を継承しようとする人々の、美しくも残酷な運命が描かれています。
セリフの一つひとつに重みがある作品で、言葉の美しさに思わず感動する名言や心に深く刺さる名セリフが多いことも魅力です。
-
出典:amazon
そこで、今回はマイナビニュース会員の男女300名を対象に漫画『チ。 -地球の運動について-』に登場する名言についてアンケートを実施。特に印象に残った名言・名セリフをランキング形式で紹介します。
『チ。 -地球の運動について-』の名言ランキング
マイナビニュース会員に『チ。 -地球の運動について-』の名言についてアンケートを実施したところ、以下のようなランキング結果になりました。
1位「不正解は無意味を意味しない」【フベルト】(9.9%)
2位「迷って。きっと迷いの中に倫理がある」【ヨレンタ】(8.7%)
2位「『考えろ』。その為に文字を学べ。本を読め。『物知りになる為』じゃないぞ。『考える為』だ」【ドゥルーヴ】(8.7%)
4位「この世で最も肝心な選択とは何を諦めるかだ」【ノヴァク】(8.1%)
5位「…でも、信念を忘れたら、人は迷う」【ドゥラカ】(6.4%)
6位「人は悲劇を肥やしに、時に新たな希望を生み出す」【異端者】(5.8%)
7位「この世は、最低と言うには魅力的すぎる」【ヨレンタ】(4.7%)
7位「なんというか夢っていうのがあると、とりあえず一週間くらいは悲劇に耐えられる気がします」【オクジー】(4.7%)
9位「才能も発展も人生も、いざって時に退いたら終わりだ」【ヨレンタ】(4.1%)
9位「そっそんなもの…それは…………それは…真理だ」【ピャスト伯】(4.1%)
11位「多分 感動は寿命の長さより大切なものだと思う ――だからこの場は、僕の命にかえてでも、この感動を生き残らす」【ラファウ】(3.5%)
11位「だが、怖くない人生などその本質を欠く」【フベルト】(3.5%)
11位「一生快適な自己否定に留まるか、全てを捨てて自己肯定に賭けて出るか、どちらを選ぶも自由だ」【異端者】(3.5%)
14位「つまり俺は、ちょっと前までは早く地球(ここ)を出て天国へ行きたかったけど、今はこの地球(かんどう)を守る為に地獄へ行ける」【オクジー】(2.9%)
14位「つまり権威の中で生じる思考停止は、何も宗教だけじゃなく学問って物の中でも起こるんじゃないですか?」【ドゥラカ】(2.9%)
14位「あぁ。それは―――古代の哲学者曰く、知的探究の原始にある驚異。簡単に言い換えると、この世の美しさに痺れる肉体のこと、そして、それに近付きたいと願う精神のこと。つまり―――『?』と、感じること」【ラファウ】(2.9%)
17位「美しいと、思ってしまうッ!!」【ラファウ】(2.3%)
18位「そういう他者が引き起こす捩れが、現状を前に向かわせる希望なのかもしれない」【オクジー】(1.2%)
18位「そうやって苦しみを味わった知性は、いずれ十分迷うことのできる知性になる。暴走した文明に歯止めをかけて、異常な技術も乗りこなせる知性になる」【ドゥラカ】(1.2%)
20位「文字になった思考はこの世に残って、ずっと未来の誰かを動かすことだってある。そんなの…まるで、奇蹟じゃないですか」【ヨレンタ】(0.6%)
『チ。 -地球の運動について-』の名ゼリフ一覧
ここからはランクインした名言や名セリフを詳しく説明していきます。
「不正解は無意味を意味しない」
「自分の信じた道が間違いだったらどうするのか」と問いただすラファウへ、フベルトが返した言葉です。命を懸けてまで地動説を唱えるフベルトを見て、理解に苦しむラファウ。しかし、フベルトにより地動説に惹かれたラファウは、その後全く同じセリフを口にしていました。
失敗を恐れて何もしないことこそが無意味で、それ以外はどんな結果であれ行動を起こした時点で大きな意味を持ちます。結果にとらわれずに生きていきましょう。
【このセリフを選んだ理由】
・「物語の核心となる名言だと思ったから」(48歳男性)
・「試行錯誤の繰り返しが大事だという事実がわかる言葉だと思うから」(48歳男性)
・「人は生きてゆくうえで不正解を積み重ねることもあるが、その中から正解に近づけることがある」(46歳男性)
・「初めて聞いたときにすごく腑に落ちた。世間一般的には不正解に価値はないが、この世の中には不正解を積み重ねてできる『正解』もあるし、正解・不正解は人によって違うから、深い言葉だなと思った」(42歳女性)
・「失敗も将来の役に立つと感じて勇気づけられる」(43歳男性)
「迷って。きっと迷いの中に倫理がある」
-
出典:amazon
金を稼ぐことを信念とするドゥラカに対して、信念に潜む危うさを伝えようとするヨレンタの名言です。信念に従って真っすぐ生きることは人を強く成長させますが、思考をやめていい理由にはなりません。
「本当にこれでいいのか」「正しい道なのか」と迷うことの大切さを、ヨレンタは伝えたかったのでしょう。盲信せず、迷いの中から本当の正しさを見極められる人間になりたいものです。
【このセリフを選んだ理由】
・「共感できるし、迷うことは悪くないと思うから」(40歳男性)
・「納得感があるセリフなので」(43歳女性)
・「信念や信仰を考える深いシーンでした」(43歳男性)
・「なんとなく短いセリフの中に深みを感じた」(32歳女性)
「『考えろ』。その為に文字を学べ。本を読め。『物知りになる為』じゃないぞ。『考える為』だ」
父を亡くしてふさぎこむ幼いドゥラカに対して叔父のドゥルーヴは、悩みを解決するための3つの魔法の中のひとつとして、この言葉を送りました。ただの情報を「使える知識」に変える過程に、知性は生まれるとドゥルーヴは話します。
この名言は、私たち現代人にも深く刺さる言葉といえるでしょう。あふれるほどの情報に囲まれて生きる私たちには、論理的思考力が求められています。考えるための知性は、信念と正しく向き合うためにも必要な力です。
【このセリフを選んだ理由】
・「自分の仕事の中にも活かせられると思うから」(44歳男性)
・「この言葉に共感できたから」(38歳男性)
・「まさしくその通りだと思うから。現在は思考停止というか浅慮の人が多すぎる」(48歳男性)
「この世で最も肝心な選択とは何を諦めるかだ」
-
出典:amazon
異端審問官のノヴァクが、裁判前のラファウに改心を宣言するよう助言した際に登場した名言です。ノヴァクは拷問から逃れる道を示しましたが、ラファウは地動説の美しさには抗えませんでした。
自分にとっていいことだけを選択し続けられれば楽ですが、何かを諦めなくてはならないときもあります。「天文を諦めろ」と言うノヴァクに対して、自分が生きることを諦める代わりに感動を生き残らせる選択をしたラファウ。地動説の重みを感じられる名シーンです。
【このセリフを選んだ理由】
・「困難な場面にぶつかったとき、ことによっては何かを放棄したり諦めたりするのも一つの選択肢と思う。何でもかんでもやるのがいいこととも思わない、逃げも道の一つであるし悪いことじゃない。こういうセリフというのは意外に少ないと思う」(37歳男性)
・「何か得るために何かを排除することが必要なこともあるので」(44歳男性)
・「真理を突いた言葉だと思います」(38歳男性)
・「なるほどと思ったセリフ。何を取るかじゃなくて何を諦めるかは深くてそうだと思う」(48歳男性)
「…でも、信念を忘れたら、人は迷う」
-
出典:amazon
2位にランクインしたヨレンタの名言を引き出したセリフです。信念に囚われすぎるのは危険だと話すヨレンタに対して、ドゥラカはこの名言をぶつけました。無意識的に拠り所を求める成長途中のドゥラカと、周囲に惑わされず正しい道を選択できるようになったヨレンタが対照的なシーンです。
信じるものがあると人は強くなれますが、それが必ずしも正しい道とは限りません。絶対的なものはないというスタンスで、俯瞰できる力を身につけたいですね。
【このセリフを選んだ理由】
・「信念という言葉がちょっと心にグサッときました。自分の信念は何かなと考えさせられました」(43歳女性)
・「実生活で実感を伴う重みのある言葉だから」(43歳男性)
・「信念が大事だということを教えてくれるからです」(45歳男性)
「人は悲劇を肥やしに、時に新たな希望を生み出す」
オクジーとグラスに移送される異端者の名言です。この異端者はほかにも、「絶望から目を逸らすために、あるかも分からぬ天国に逃げてるだけ」「その場しのぎの慰めなんか、現実を変えやしない」など、ハッとすることを次々とオクジーたちにぶつけていました。
異端者は、希望を生み出せるのは苦悩や挫折、絶望だとも言います。どんな過ちも苦しみも糧になると思えると、もう少し頑張ってみようという気持ちになれますね。
【このセリフを選んだ理由】
・「プラス思考で前向きになれる」(45歳女性)
・「実生活でもありえる内容だから」(36歳男性)
・「悲劇も肥やしにできたらいいと思ったから」(46歳女性)
「この世は、最低と言うには魅力的すぎる」
これまでの常識をひっくり返す地動説に迫り、不安になるオクジーに対して、ヨレンタはこの名言を伝えています。救いのない世界から天国へ行くことを使命だと教えられてきたヨレンタですが、地獄のような世界にも魅力を感じていました。
14歳で世界の美しさに目を向けられる聡明さに驚かされるワンシーンですが、それと同じくらい言葉の美しさに引き込まれる名言です。ヨレンタは間違いなく本作の名言製造機と言えるでしょう。
【このセリフを選んだ理由】
・「悲観的な中ににじむ人間臭さが最高の名言」(41歳男性)
・「ヨレンタさんらしい素晴らしいセリフだと感じた」(31歳男性)
・「何だかわからないけれど泣けてくる言葉だから」(40歳女性)
「なんというか夢っていうのがあると、とりあえず一週間くらいは悲劇に耐えられる気がします」
-
出典:amazon
地動説の完成後、パデーニとヨレンタとともに今後の動向を語り合うシーンでのオクジーの名言です。以前は、夢を持つことのよさを理解できなかったオクジーですが、地動説に関わり、大学へ行きたいという夢を持つようになりました。
大きな夢や、立派な夢を持つ必要はありません。ささやかな夢に生きる力を与えられ、その連続で生きていくことはとても素敵で人間らしい。背伸びせず、控えめな言い回しがオクジーらしい名言です。
【このセリフを選んだ理由】
・「いつも心に閉まっておきたいよいセリフだと思います」(45歳男性)
・「普段の生活の中で感じることのできるセリフだから」(30歳男性)
「才能も発展も人生も、いざって時に退いたら終わりだ」
父のノヴァクに、職場で目立つことは何もするなと言われた際、ヨレンタはこの名言を口にします。平穏のためなら、ノヴァクの言う通りおとなしくしているべきです。しかし、ヨレンタの学者としてのプライドがそれを許しませんでした。
とはいえ、ヨレンタはまだ14歳の少女。実際はたった一人で立ち向かうことができず、退いて悔しい思いをしています。常に自己主張を貫けるわけではありませんが、このマインドは忘れずいつも持っていたいですね。
【このセリフを選んだ理由】
・「自分の人生を振り返っても、そう思えるからです」(45歳男性)
・「かっこよすぎるわ。なにこの名言」(38歳男性)
「そっそんなもの…それは…………それは…真理だ」
恩師の想いも引き継いだピャスト伯の研究が、間違っていると示されたシーンで登場した名言です。地動説を認めたくないピャスト伯ですが、パデーニに現実を突きつけられ、このセリフを呟きます。
真理とは、時代や立場、個人の主観に左右されない、確実な根拠により真実と認められることを指します。長年の研究が否定され崩れ落ちるピャスト伯は見ていられないほどでしたが、本物の学者だからこそこの言葉を口にできたのでしょう。
【このセリフを選んだ理由】
・「今の自分と同じ意見です」(48歳男性)
『チ。 -地球の運動について-』の名言一覧【キャラクター別】
今回ランクインしたセリフ以外にも、『チ。 -地球の運動について-』には多くの名言が登場します。ここではキャラごとの名セリフをまとめたので、あなたの「推しキャラ」の名言を探す際に役立ててみてください。
ラファウ
- 「多分 感動は寿命の長さより大切なものだと思う ――だからこの場は、僕の命にかえてでも、この感動を生き残らす」
- 「あぁ。それは―――古代の哲学者曰く、知的探究の原始にある驚異。簡単に言い換えると、この世の美しさに痺れる肉体のこと、そして、それに近付きたいと願う精神のこと。つまり―――『?』と、感じること」
- 「美しいと、思ってしまうッ!!」
オクジー
- 「なんというか夢っていうのがあると、とりあえず一週間くらいは悲劇に耐えられる気がします」
- 「つまり俺は、ちょっと前までは早く地球(ここ)を出て天国へ行きたかったけど、今はこの地球(かんどう)を守る為に地獄へ行ける」
- 「そういう他者が引き起こす捩れが、現状を前に向かわせる希望なのかもしれない」
ヨレンタ
- 「迷って。きっと迷いの中に倫理がある」
- 「この世は、最低と言うには魅力的すぎる」
- 「才能も発展も人生も、いざって時に退いたら終わりだ」
- 「文字になった思考はこの世に残って、ずっと未来の誰かを動かすことだってある。そんなの…まるで、奇蹟じゃないですか」
ドゥラカ
- 「…でも、信念を忘れたら、人は迷う」
- 「つまり権威の中で生じる思考停止は、何も宗教だけじゃなく学問って物の中でも起こるんじゃないですか?」
- 「そうやって苦しみを味わった知性は、いずれ十分迷うことのできる知性になる。暴走した文明に歯止めをかけて、異常な技術も乗りこなせる知性になる」
ノヴァク
- 「この世で最も肝心な選択とは何を諦めるかだ」
フベルト
- 「不正解は無意味を意味しない」
- 「だが、怖くない人生などその本質を欠く」
ドゥルーヴ
- 「『考えろ』。その為に文字を学べ。本を読め。『物知りになる為』じゃないぞ。『考える為』だ」
異端者
- 「人は悲劇を肥やしに、時に新たな希望を生み出す」
- 「一生快適な自己否定に留まるか、全てを捨てて自己肯定に賭けて出るか、どちらを選ぶも自由だ」
ピャスト伯
- 「そっそんなもの…それは…………それは…真理だ」
漫画・アニメ『チ。 -地球の運動について-』とは
-
出典:amazon
漫画『チ。 -地球の運動について-』は、魚豊氏が『ビッグコミックスピリッツ(小学館)』で2020年から2022年まで連載していた作品です。
舞台は、地動説の提唱は神への反逆と考えられ、拷問や死罪を免れない15世紀のヨーロッパ。題材は、青年漫画としては珍しい「地動説」。命を懸け、次の世代に託しながら、地動説を研究し続けた学者たちの姿が描かれています。
大きな時代の流れが描かれているため、物語の進行に伴い主人公が変わることも特徴的な作品です。タイトルの「チ」は、大地の「地」、衝突により流れる「血」、そして知性の「知」と3つの意図が込められています。
『チ。 -地球の運動について-』の名言や名セリフをランキング形式で紹介しました
漫画『チ。 -地球の運動について-』には、生きるうえで忘れてはいけない考え方に関する名セリフや、心に深く刺さる名言が数多く登場しています。
結果や信念に囚われすぎてはいけない、思考を止めてはいけない。どれもとても大切なことですが、教えてくれる人はなかなかいません。
生きることに疲れたとき、誰かに活をを入れてほしいときは漫画『チ。 -地球の運動について-』の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。
調査時期: 2025年6月10日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男女合計300人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
※記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビに還元されることがあります