こんにちは。住宅デザイナーのタブチキヨシです。前回は「本当に『家族が仲良く暮らせる間取り』」についてのアイディアを紹介しましたが、今回は「最高のリビング」について書いてみたいと思います。リビングの「配置」「大きさ」「リビングカウンター」の3つの視点からまとめてみました。

「最高のリビング」の条件とは(画像はイメージ)

リビングの配置

そもそもリビングとは、具体的に何をする場所なのでしょうか? テレビを見る・本を読む・音楽を聴く・うたた寝をする・お菓子を食べる・家族で会話をする……。1つひとつ挙げればキリがないですね。キッチンでは「料理を作る」という目的となる行為がありますが、リビングはそのように決まった行為をする場ではありません。強いて言うなら、家族が集まり、落ち着いた時間を過ごす場所であると考えられるでしょう。

では、そのためにリビングはどこに配置するべきなのか? このとき、2つの考え方が可能です。1つは、家の中心にリビングを配置する、という考え方。「リビング→玄関」「リビング→キッチン」「リビング→ダイニング」「リビング→階段」と、リビングが基点になる動線を作り、リビングを中心に住まい全体を設計する発想です。

そしてもう1つは、動線的に隔離された場所にリビングを配置する、という考え方。リビングを動線の最後の場所として、人の行き来を少なくすることで、静かな時間を過ごせるようにするというわけです。

リビングが中心にある家の間取り例(赤い矢印は動線の模式図)

リビングが隔離された場所にある家の間取り例(赤い矢印がリビングに向かう動線、青い矢印がそれ以外の動線の模式図)

どちらを採用するかは、その家に住む家族のライフスタイルによって意見が分かれるところでしょう。しかしここで重要なのは、中心的な配置にするのか、隔離された配置にするのかをしっかり考え、あいまいなリビングにしないことです。リビングの位置づけをはっきりと決めることで、テレビの配置や庭とのつながり、2階に上がる階段の配置なども決めやすくなります。

リビングの大きさ

次に、リビングの大きさについて考えてみましょう。リビングは広いほどいい……という考え方には賛否両論あります。売り手からすると、リビングが広い家は売りやすいかもしれません。ただ、売りやすい家がハッピーかというと、そうでもないのが現実です。

例えば、夫婦が料理好きで子どもにも料理を教えたい、という家庭であれば、キッチンとダイニングを優先して広くした方がいいですよね。ダイニングで話す時間が多い家族は意外に多いものです。リビングもダイニングもキッチンも全て広い方が当然いいのですが、延べ床面積が増えると住宅の金額も上がってしまいます。

また、広い空間でも、収納が少なければ散らかりやすくなります。8帖(じょう)・収納無しのリビングよりも、7帖+収納1帖のリビングの方が、モノが少なく広々とした空間になる事は多々あります。加えて、広いと解放感がある一方でさみしさも印象付ける空間にもなりやすく、狭いと暖かみを感じるほっこりとした空間になりやすいのも事実。予算が限られていることが多い家選びですから、生活において何を優先するかを家族で話し合う事が大事です。

8帖・収納無し(画像左)よりも、7帖+収納1帖のリビング(画像右)の方が広く見えることも

リビングカウンター

最後に、「リビングカウンター」を紹介。「リビングカウンター」とは、文字通りリビングにあるカウンターテーブルです。カウンターの長さは間取りによっていろいろですが、1m~4m程度になることが多いのではないでしょうか。

「リビングカウンター」で空間をすっきりと

カウンターの下には、引き出しを設置すると便利です。引き出しに置くのは、パソコンやプリンター、ハガキ、文房具、常備薬、勉強道具、化粧道具、携帯電話の充電器などなど……。冒頭にも記載しましたが、リビングは、家族がさまざまなことを行う部屋です。そのため、必然的にリビングで使う日常の道具も多くなります。リビングカウンターが1枚あるだけで、そこにこまごまとした物を収納し、集約できるようになるのです。

また、カウンターではなく、おしゃれなチェストを置くことにも同様の利点があります。リビングにこのような空間があると全体がすっきりとするため、細かい内容ではありますが、大切に考えるべきです。

以上、3点から「最高のリビング」について考えてみました。リビングは、その家で過ごす時間を良くも悪くも左右する場所。家族でしっかり話し合い、納得できる空間にしたいですね。

著者プロフィール: タブチキヨシ

日本中にハッピーな家をたくさん建てる事を夢見る住宅のプロ。
Instagramでは2万3,000人(2016年3月時点)のフォロワーがいるカリスマ住宅デザイナー。
attract style・house stageの代表取締役を務めながら可愛すぎずカッコよすぎないデザインを追求し、ワクワクキャーな家を提供している。
インテリアショップ「THE WOW」も経営し、家具販売も手掛けている。
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