2020年11月、国土交通省がタクシーの新たな運賃・料金サービスである「一括定額運賃」の制度について、申請受付を始めました。これはいわゆる回数券や定期券のことで、タクシーに導入されるのは初めてのことです。

現在、実際にタクシーの回数券や定期券が使える場所はあるのか、申請や認可の現状について、国土交通省に話を聞きました。

  • タクシーに回数券・定期券の制度が導入! いつからどこで利用できる?

「一括定額運賃」とは?

一括定額運賃とは、タクシーの複数回の利用料金を一括して支払う制度のことで、いわゆるタクシーの回数券、定期券のことです。利用できる区域や、利用回数などの条件の中で、一定期間、定額でタクシーが乗り放題になる運賃サービスのことを指します。

近年、タクシー利用を取り巻く環境が変化したことなどを受けて、今回初めてタクシーに回数券や定期券の制度が整備されました。たとえば、運転免許を返納した高齢者の通院や、子どもの通塾などでの利用が想定されています。地域によって異なる移動のニーズに対して、地域の足として、タクシーのサービスを使ってもらうことが狙いです。

現在、回数券が使えるタクシー会社はあるの?

現在、「一括定額運賃」の導入がどれくらい進んでいるのか、国土交通省自動車局旅客課に話を聞きました。

――現在、「一括定額運賃」の導入はどれくらい進んでいますか?

これまで、水戸市の5社が認可されており、都内の1社から申請がありました。この制度をタクシーの事業社が導入する場合は、区域や利用回数を決めていただき、国土交通省に申請してもらいます。こちらが認可すれば、事業社が制度を導入できるようになるもので、具体的なサービス内容については、事業社ごとに決めてもらうことになります。

――回数券については、どういった形を想定していますか?

事業社ごとに事情はさまざまなので、こちらとしては、どのような形でもいいと考えています。紙にスタンプを押すアナログな方法もありますし、スマートフォンのアプリを使う方法もあると思います。

国として、特に「こうしなさい」という制限はつけていませんが、現在のところは、紙での導入を検討している会社が多いようです。

――実際に何割くらい安くなるのでしょうか?

割引率については、目安は定めていません。各タクシー会社が、それぞれの経営状況の中で、利用料金を設定されると思います。ただ、いずれにせよ一括精算することによって、料金が割安になることが期待できます。

――どういった利用を想定していますか?

地域によって、さまざまだと思います。現在、申請いただいている都内のタクシー会社は、ビジネス利用向けに、六本木と羽田空港を結ぶタクシー回数券の販売を予定しています。さらに、1日~3日程度の「乗り放題券」として、観光客向けに売り出すこともできるでしょう。

一方で、地方のタクシー会社では、通院や買い物での高齢者向けの利用を想定して、回数券を設定しています。各タクシー業者が、地域の実情に合わせた利用を想定して、制度を活用していただけると考えています。

新型コロナ感染を懸念する客からの需要増

コロナ禍において、タクシー業界にもさまざまな変化が訪れました。中には、観光客の減少や外出自粛の影響で、営業がままならなくなり、廃業に追い込まれたタクシー事業社もあります。

こうした厳しい状況の中、現場では「コロナへの感染予防のために、病院と自宅との往復を高頻度で利用しているお客さんがいるため、回数券を検討したい」という声が出ていました。こうした意見も、制度の導入を強く後押ししたそうです。

国土交通省では、「タクシー利用の需要が落ち込んでいる今だからこそ、少しでも事業を開拓してさらに伸ばしていこうと、『一括定額運賃』の導入を検討している事業社が複数あります。新しくタクシーの需要を喚起していければ」と話しています。

ここ数年の間、スマートフォンの配車アプリの整備や、 需要の増減に応じて迎車料金を変動させる「変動迎車料金」の導入など、革新的な取り組みが続くタクシー業界。今後も注目して見守りつつ、タクシーの回数券が全国の事業社で使える日を待ちたいと思います。