次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた?」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載では、ビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第12回は、ビジネス接待やこれからの歓送迎会シーズンの乾杯の場でも活躍しそうな「日本酒のawa酒」。
「日本酒のawa酒」って何?
ワインには高級シャンパンとスパークリングがあるように、日本酒の中にもスパークリングの泡タイプがある。中でもシャンパンのように「2次発酵から発生する炭酸ガスを有する日本酒の泡酒」を「awa酒」と呼び、最近人気が高まっている。
2016年に設立された一般社団法人awa酒協会によると、awa酒とは以下の条件を全て満たしている日本酒とされている。
・米、米こうじ及び水のみを使用し、日本酒であること
・国産米を100%使用し、かつ農産物検査法により3等以上に格付けされた米を原料とするものであること
・醸造中の自然発酵による炭酸ガスのみを保有していること(瓶内発酵やタンク内発酵)
・外観は視覚的に透明であり、抜栓後容器に注いだ時に一筋泡を生じること
・アルコール分は、10度以上であること
・ガス圧は20度で3.5バール(0.35メガパスカル)以上であること
・常温で3カ月以上、香味、品質が安定していること。また火入れ殺菌を行うこと。炭酸ガスは、配管及び容器内のガス置換の目的で使用するものを除く
例えば、微発泡のどぶろくなどは、透明でない・ガス圧が足りないなどの理由で泡酒タイプの日本酒であっても、「awa酒」ではないのだ。シャンパンのようにグラスに注いだ時に、透明に輝き、一筋の気泡が美しく沸き立っていく――そんな特別なスパークリング日本酒のことだ。
「日本酒のawa酒」はどこで飲める?
上記の条件をクリアして認定されたawa酒は、現在18種類。同協会の加盟蔵は永井酒造、南部美人、人気酒造、天山酒造など全国各地の15蔵で、そのうちawa酒として認定された製品を有しているのは12蔵(3蔵は2019年の認定に向けて準備中、2019年1月時点)。今後さらに種類が増える予定だ。
日本酒専門店などでもこれらのawa酒が置いてあれば飲めるが、確実に手に入れたい方は、awa酒専門の通販サイトでチェックしてみよう。
「日本酒のawa酒」を飲んでみた
新年会のホームパーティーで、さっそく日本酒awa酒で乾杯してみた。今回は「SAKE COMPETITION」で2017年から2年連続で発泡清酒部門1位を獲得している南部美人の「あわさけスパークリング」で乾杯! シャンパングラスに注ぐと、シュワシュワと心地よい音とともに、美しい泡が沸き上がる。シャンパングラスに注いでもまったく違和感はなく、香りも良く、友人との乾杯もかなり盛り上がった。
その日の料理は野菜やフルーツ、生ハムなどを使った一般的な洋風前菜を用意していたが、日本酒のawa酒はどの素材ともスッと馴染んで、いいペアリングが楽しめた。日本酒はどんな料理にも合わせやすく、ワインよりも懐深いのは魅力であった。
実際、パーティーの後半はワインで楽しむ人もいれば、純米酒で楽しむ人も。シャンパンで乾杯すると、その後は日本酒にはなりにくく、どうしてもワインと決まってしまいがちだが、日本酒awa酒で乾杯するとワイン派も日本酒派も、それぞれどちらでも楽しめる、というのが魅力の一つかもしれない。
「海外の和食店に訪れた時、シャンパンで乾杯をしてがっかりしたことがあります」と話すのは、2018年awa酒認定式のお披露目会に駆けつけた政治家の小泉進次郎氏。「日本酒は日本の國酒。日本でも、海外でも、和食をいただくのならawa酒で乾杯しましょうよ!」と呼びかけていた。
世界的な和食人気の中、国内はもちろん、世界中の和食店でも、「awa酒で乾杯!」の動きは高まっているようだ。「世界中の乾杯をawa酒で!」と活動している蔵元や酒関係者も増えている。
外国人ビジネスパートナーとの食事会や、海外からのお客様の接待などがあれば、今後はシャンパンではなく、日本人として日本酒のawa酒での乾杯を提案してみてはいかがだろうか。相手に日本文化を伝えながら、酒話でまた会話も弾むかもしれない。