大御所の笑福亭鶴瓶、女性コンビのオセロなど、人気お笑いタレントが所属する大阪の名門、松竹芸能。その松竹芸能が誇る"期待の新星"が、オジンオズボーンだ。篠宮のパワフルな動きと高松の的確な突っ込み。スピード感と切れのある漫才で『爆笑オンエアバトル』(NHK総合)第10回大会のファイナルに進出するなど、ここのところ急激に力をつけている。ノッている彼らに、結成秘話から、下積み時代、今後の抱負などを訊いてみた。

オジンオズボーンの篠宮暁(左)と高松新一
撮影:加藤浩

――コンビ結成と今のスタイルを築き上げたきっかけは?

篠宮暁(以下、篠宮) : 「お笑いやる人って普通吉本に行くんですけど、松竹に来る人は当時ちょっと変わってる人が多かったんですわ。僕的に消去法で消してって、最後に残ったんが相方(高松)だったんです」

高松新一(以下、高松) : 「それは後から聞いた話で…(笑)。僕はとりあえず誰でもいいからコンビは組んだ方がいいな? ぐらいの感覚で。篠宮から言われて"まっ、いっか~?"ぐらいの感じでしたね」

篠宮 : 「松竹の養成所に入り、しばらくすると月一回のライブがあるんです。それに出るために養成所でネタを見せて、ネタがOKやったらライブに出れたんです。それが1年半ぐらい続きました」

高松 : 「当時もそうでしたけど、未だに僕らは1回も手応えないですね(笑)」

篠宮 : 「強いて言うたら、その月イチとは別のライブがあって、当時は今出てはるTKOさんとかアメリカザリガニさんとかいてはって、そのライブに出られた時に行けるんかな? という手応えはありましたね」

高松 : 「最初から今のような動きを取り入れてやろうと決めてた訳じゃないです。ただ、そういうネタが好きなだけですね。動くのは基本相方なんですけど。多分、彼の感性なんですね。別に動かんでええところで動いてたりすることが多々あるんですよ。いや、いらんだろ? その動き、とか……」

篠宮 : 「じっとしてるのが不安なんです(笑)」

高松 : 「ごまかそうとしてるの?」

篠宮 : 「突っ立って喋りながら滑ったら、ツンとなっちゃうんで、動いてるとテンションが高いからいいかな? と……(笑)」

――デビュー当時は、どんなアルバイトをしましたか?

篠宮 : 「高校卒業して『魚民』(居酒屋)でバイトしました。慣れた頃にドリンク担当を任され、杏酒の空いたボトルにウーロン茶を作り、ウーロン茶のテープを張って冷やしとくんです。杏酒とウーロン茶の色は全く一緒で、シールを貼らんと見分けがつかんのですよ。僕の前の人がシールを張り忘れ、ウーロン茶ってオーダーが来て僕は杏酒を出してもうたんです。ほんなら喉渇いてるサラリーマンのおっちゃんがグワッ~と飲み、ウワッ~何じゃこりゃ~言って、店長ぶわ~来て、誰じゃ~これ出したん! で首になりました……」

高松 : 「僕はひたすらコンビニのバイトをしてまして、今はないと思いますが、いわゆる廃棄のお弁当とかをバカスカ食うて…。夜中の12時にお弁当とパン、お握り、ほんで朝型に蕎麦とかウドンを食べるんです。ほんで朝6時ぐらいに仕事が終わり、眩しくて寝れないからお酒とおつまみ食べながらその日は寝る、っていうのを繰り返したら15キロ増……」

篠宮 : 「そりゃ太るやろ(笑)」

高松 : 「ほんま僕はずっと長いことやってて、店長まで上り詰めるぐらいの勢いだったんですけど、治安の悪いところで、色んなお客が来ましたね。一番分かりやすく言うと、夜中の3時4時ぐらいにヤンキーみたいな子らが、一斉に30人ぐらい入ってきたんです」

篠宮 : 「それ、分かりやすくないよ。なかなかないって(笑)」

高松 : 「いやいや、簡潔に言うと(笑)、30人ぐらいが一斉に入店してきたんですよ。僕レジに立ってて、うわ~みたいな感じやったんですわ。彼らは万引きがしたいんですね。30人が一斉に散らばって、誰が何取ったのか全然わからなくて、それに30人もおるし怖かったですね。VTRでチェックしたらパクられてたんですが、それはもう止めようがなかった……」

篠宮 : 「でも、店長にならへんかって言われたことがある芸人さんは、芸人やらん方がいいと思うんですよ。だってそっちで行けるんですもん。どこにも就職できなかったりとか、どこでも落ちこぼれみたいになる人が結局みな芸人になるんですよ」

高松 : 「そんなことない! 頭賢い人でも芸人になってる人おるしやな」

篠宮 : 「いや、中にはね。でもそういう人は芸人やらん方がいいと思う。他の方が食えると思う」

高松 : 「こっち(お笑い)来んといてくれと?」

篠宮 : 「そうそう。他の仕事出来るからそっちでやって下さいと(笑)」

――今後の抱負は?

篠宮 : 「海外進出! だいぶ先の話で、日本で売れんとまず全然無理なんですが……。まあ、もしくは日本で売れなくても海外で珍しいな~みたいな感じで、海外で売れてそれから逆輸入で日本に…。韓国とかでやりたいですね」

高松 : 「ハリウッドとかラスベガスじゃないの?」

篠宮 : 「ホームシックが半端じゃないから」

高松 : 「そうなの?」

篠宮 : 「韓国だと帰りやすいやん。それと毎日仕事がしたい(笑)」

高松 : 「そうなったら休み欲しいって言うよ、絶対(笑)」

篠宮 : 「それと夜は、お笑いじゃないミュージシャンの方たちとお酒を飲んで、『今度ライブ行くよ~』みたいな会話して、明日仕事行かなきゃあかんから1時2時に帰るみたいな、そんなのがしたいですね」

高松 : 「成金の芸人バージョンみたいやな(笑)。僕は、同年代はもちろんですけど、年上の方たちを笑わせたいです。特におじ様たちを。この前居酒屋で横のサラリーマンたちが、ちょっと札数えて~って言って、ナベアツ(渡辺あつむ)さんの"イチ、ニ~、サ~ン"って言うてましたわ。そういう酒の席で、酔っ払ってるサラリーマンに真似してもらえるようになりたいな~」

篠宮 : 「じゃあ真似してもらいたいフレーズ言うとけば?」

高松 : 「え~? じゃあ、ちょっと用事してて待っといて欲しいときに言うフレーズ………"ちょっとマッチョメ~ン!"」

篠宮 : 「………(苦笑)」

高松 : 「これ、脂肪の多い人とかね、マッチョメンみたいなこと言って希望があるから! みたいな。これが流行るんじゃないかと……」

篠宮 : 「補足しますと、これギャグじゃなくて単なるフレーズですから。不採用で!」

高松 : 「今日も不採用か……。エドはるみさんの"グゥ~"とか、小島よしおさんの"そんなの関係ねぇ~"が凄く流行ってますけど、子供がやるのはちょっとわかりますやん? だからこれは、酒の席で大人が若干滑りながらやって欲しいと……。そういうことをちゃんと考えております!」

新ギャグ?「ちょっとマッチョメ~ン!」を初披露

オジンオズボーン プロフィール

篠宮暁
1983年2月8日生まれ。京都府出身。O型。スピード感のある動きとパワフルなキャラクターで見る者を笑わせるボケ担当。その端正なマスクから、女性にも大人気。しのみや音楽堂でブログを更新中。
高松新一
1980年11月21日生まれ。千葉県出身。B型。ボケる篠宮を大きく通る声や派手なリアクションで突っ込む突っ込み担当。慣れない関西弁も篠宮に教わり、千葉県出身とは思わせないほどの上達ぶりだ。
出演情報
7月25日に単独ライブ「ヨロコビジャッカー」。会場・新宿SPACE107 時間・18:30開場 19:00開演 チケットは6月28日からチケットぴあより発売開始。問い合わせ先・松竹芸能東京支社 TEL:03-3545-1544