年末になると「ふるさと納税」のことが何かと話題になります。これは、ふるさと納税をすることによって、所得税と住民税が軽減されることが理由のひとつ。税金とか節税と聞くと難しいイメージを持つ人もいるようですが、やり方が分かれば誰でも簡単にできます。ここではまだ利用したことがないという初心者に向けて、ふるさと納税について分かりやすく解説します。

  • 2021年ふるさと納税の注意点を解説

    初心者でも分かるふるさと納税の始め方

●ふるさと納税とは

ふるさと納税は、日本全国の地方自治体の中から自分が選んだ自治体に「寄附」をする制度です。

ふるさと納税制度の仕組み

私たちが納める税金には、所得税のほか住民税がありますが、これらは保育・教育・子育て支援、医療・福祉サービス、高齢者の介護サービス、地域産業の発展など、行政サービスを行うための大切な財源です。しかし、たとえば地域人口の少子高齢化が進み、高齢者向けサービスのための財源が必要である一方で、税収は少ないなど、課題を抱えているところもあります。

そこで、このような税収の地域間格差を是正することを主目的として、2008年度にふるさと納税制度が設けられました。具体的には、地域が抱える課題および課題解消に向けた取り組み、寄附金の使い道などを公表し、応援してくれる人を募ります。その内容に賛同し、応援したいと思った人はその自治体に住民税を「納税」する代わりに「寄附」という形でお金を払うというのが「ふるさと納税」です。

ところで、日本の税制では、「寄附金控除」という仕組みがあり、自治体に寄附をした場合、確定申告を行うことで寄附金額の一部が所得税および住民税から控除されます。ふるさと納税では、この寄附金控除に「特例控除額」をプラスして、所得税・住民税から控除できる金額を拡大しています。具体的には、原則として寄附額から2,000円を差し引いた全額、たとえば、3万円を寄附した場合、2万8,000円が所得税・住民税から控除(一定の上限まで)されるようになります。

返礼品がもらえるのが魅力

多くの自治体では寄附してもらったお礼として、地域の特産品や名産品などの返礼品を送ってくれるのもふるさと納税の魅力です。「返礼品」は、地域特産肉や海産物、お米や野菜、果物、加工食品、地元のお酒といった飲食料品、旅館やホテルの宿泊券などバラエティーに富んでいます。

ふるさと納税の期限は

ふるさと納税自体には特に期限がなく、いつでも、何度でも申込むことができます。しかし、前述したようにそもそもは寄附(ふるさと納税)=税額控除されるという制度です。寄附した額および控除額は、税金計算のスケジュールに従い、1年単位で計算されます。たとえば、2021年中に何度か寄附をした場合、その合計額が2021年分のふるさと納税額となり、その年の所得税および翌年の住民税から控除されるようになります。

なお、返礼品によっては数量に制限があり、年の途中で取り扱いが終わってしまう可能性もあります。特に年末は申込みの数も増える傾向にありますので、気に入った返礼品があれば早めに申し込むのがおすすめです。

●ふるさと納税の始め方

ふるさと納税をしてみたいけど、何から手を付ければ良いか分からないという人は次の流れを参考にしてください。

ふるさと納税ポータルサイトを使う

ふるさと納税は、寄附したい自治体を選んで、寄附をするというものですが、全国各地の自治体から寄附先を選ぶのは大変でしょう。そこで、ふるさと納税を始めるときにはふるさと納税ポータルサイトを活用するのがおすすめです。

ふるさと納税ポータルサイトでは、ふるさと納税(寄附)したい額や地域、寄附金の使い道、返礼品の種類などから該当する自治体を検索出来るようになっています。たとえば、お肉を送ってくれる自治体がいいと思えば、返礼品で「肉」を選ぶと該当する自治体がリストアップされます。自治体選びも簡単です。

上限額をチェックするには

次に寄附する金額を決めますが、まずは、ふるさと納税の控除限度額をチェックしておきしょう。寄附自体はいくらでもできますが、所得税・住民税から控除される額には上限があります。上限を超えた分はいわゆる「返ってこない寄附」となってしまいますので、税の軽減が目的ならば上限額の範囲内で寄附をするのが良いでしょう。

上限額は、ふるさと納税をする人の年収および家族構成、受けられる所得控除等によって決まります。自分で計算することもできますが、多くのふるさと納税ポータルサイトが提供している「上限額計算シミュレーション」を利用すると良いでしょう。

自治体・返礼品を選び、申し込む

自治体、返礼品を選び、寄附金を決めれば、ふるさと納税ポータルサイトから申込みできます。

控除の手続きをする(ワンストップ特例制度・確定申告)

実はふるさと納税をしたからといって自動的に税金が控除(還付)される訳ではありません。基本的に確定申告が必要で、確定申告後に所得税の還付と、翌年の住民税が控除を受けられます。

しかし、会社員など本来確定申告の必要がない人で、同年内にふるさと納税を行う自治体の数が5団体以内という場合には、確定申告をしなくても寄附金控除の手続きを済ませられるワンストップ特例制度を利用することができます。この場合には、ふるさと納税をした翌年の1月10日までにワンストップ特例申請手続きをするようになります。ワンストップ特例申請は自治体から送られる申請書に本人確認書類の写しを添えて、ふるさと納税をした各自治体に郵送するだけなので簡単です。

●今年はふるさと納税にチャレンジしてみよう

ふるさと納税の仕組みやメリット、ふるさと納税の始め方などについて説明しました。ポータルサイトを利用すれば、自治体選びや上限額のシミュレーションなども簡単にできることがお分かりいただけたでしょうか。また実際にふるさと納税をする場合にも、ワンストップ特例制度を使えば確定申告の必要もなく、控除の手続きも簡単です。税の軽減に加えてさまざまな返礼品ももらえるお得なふるさと納税、今年はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。