社会人になると、「もう大人なんだから経済的にしっかり自立しなければ」という決心を胸に、初めて真剣に保険を検討する人も多いもの。その気持ちを見透かすように、タイミングよく保険会社からの勧誘が入ることがよくあります。
保険は加入するとその後ずっと保険料を払っていくものです。よくわからず、勧められるがままに加入していては、これから長い間、無駄な保険料を払い続けることになってしまうかもしれません。そんな事態に陥らないように、保険の種類と加入のタイミングについて紹介します。
まずは「公的保険」について知ろう
自ら保険に加入を検討するまえに「公的保険」についてざっくりと抑えておきましょう。実はみなさんはすでに「保険料」を支払い、保険に加入しています。これを公的保険といいます。
公的保険に加入していることで、健康保険証の提示で診察や治療にかかる医療費の7割は健康保険が負担してくれたり、治療費が高額になった場合には、治療費を負担してくれたりしているのです。この保険料は給料から天引きになっているのでなかなか気づきにくいのですが、すでに公的な保険制度に加入していることを念頭においてください。
これ以外に企業からの上乗せの保障がある人もいます。つまり、民間の保険とは、国や企業からのサポート、自分の預貯金だけでは備えが充分ではないときに上乗せをして加入していくものなので、全ての人にとって必要なものではないのです。
病気やケガなどで不意の出費が必要なときに、経済的に困らないように事前対策として備えをしておくため、また万が一の死亡の場合も、遺族の生活保障が必要な場合には死亡保険金として、保険に加入することがあります。
保険の種類って?
こうしてひとくちに保険といっても、生命保険、医療保険、がん保険など、さまざまな名前のついた種類の保険があるので、ここでは「自分を守る保険」と「家族を守る保険」の2つに分けて、保険に入らなくてもいい人の例をいくつかみていきましょう。
●自分を守る保険:医療保険、がん保険など
- 貯蓄が潤沢にあって、入院費や治療費の心配がない人
- 会社の福利厚生が手厚く、病気やケガで入院したときに会社から充分な見舞金が出る人
- また、病気やケガでしばらく会社を休んでも給料をきちんともらえる人
●家族を守る保険:生命保険(死亡保険)
- 貯蓄が潤沢にあって、家族の生活費に困らない人
- 会社からの弔慰金や死亡退職金、公的保障の遺族年金で生活費の心配がない人
- 自分に万一のことがあっても、配偶者や子どもの面倒をみてくれる親や親戚などがいる人
- 独身で養うべき人がいない人
これ以外の人は公的保険や企業保障への上乗せとして自分自身で保険に加入したほうがいいでしょう。
保険に加入するタイミングを考えよう
では、どんなタイミングではいるべきか。保険は病気をしてしまうと加入できなくなったり、できても保険料が割高になったりするのが一般的。独身でも既婚でも、健康なうちに加入するのがベストなタイミングといえるかもしれません。
必要ないのに加入するのは保険料のムダになりますから、まだ守るべき家族がいない独身のうちは、疲れやストレスなどで健康に不安を感じた時や公的保障と企業保障だけで心もとなさを感じた時に「自分を守る保険」を検討してみましょう。そして結婚や子どもの誕生などのタイミングで「家族を守る保険」を検討するのがいいでしょう。
筆者プロフィール:續 恵美子
エフピーウーマン認定ライターファイナンシャルプランナー。生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。