JRに長野電鉄、しなの鉄道が乗り入れる県内最大のターミナル駅・長野駅。北陸新幹線も開通し、乗客の往来も日増しに増えてきている大きな駅だ。さすがは信州そばの本場とあって長野駅には立ち食いそば屋が多く、改札内外合わせると8つのそば屋がある。それぞれ店舗やメニューに特徴があるのが面白く、食べ比べるのも楽しい。

  • 長野駅には改札内外になんと8つのものそば屋がある

    長野駅には改札内外になんと8つのものそば屋がある

唱歌「故郷」の故郷ゆえに

長野県の駅にある立ち食いのそば屋で興味深いのは、ゆで時間が3分かかる生麺の「特上」と、さっと湯通しする茹で麺の「駅そば」が選択できる店が多いことだ。急いでさっと食べたい時には「駅そば」、じっくり味わいたい時には「特上」と、メニューを選べるのもそば処の長野ならではだ。

  • 「駅そば 裾花郷」では特上3分、駅そば1分。長野の多くの駅では、それぞれ麺が選べる

    「駅そば 裾花郷」では特上3分、駅そば1分。長野の多くの駅では、それぞれ麺が選べる

そんな駅そば天国の長野駅で、ひときわ個性的な立ち食いそば屋がある。飯山線のホームにある「駅そば 裾花郷」は、赤と黒を基調とした洒落たツートンカラーの外観の立ち食いそば屋だ。店に入ると、なぜか壁という壁に貼られたうさぎ柄の2円切手が出迎えてくれる。その数はなんと2万2,000枚。なぜ2円切手が貼られているのかというと、実はあの有名な歌がモチーフとなっているのだという。

  • 裾花郷の外観は黒と赤が基調

    裾花郷の外観は黒と赤が基調

  • 店内には壁一面、うさぎ切手が2万2,000枚

    店内には壁一面、うさぎ切手が2万2,000枚

「うさぎ追いしかの山~♪」のフレーズで始まる唱歌「故郷」を作詞した高野辰之が、このそば屋のある飯山線の沿線にある中野市出身ということで、店内をうさぎグッズで飾ることにしたのだという。この切手壁紙以外に、昭和26(1951)年に発行された元祖うさぎ柄の年賀切手や、島根県にある鵜鷺郵便局のハガキなどマニアックなグッズが展示してあり、うさぎグッズを見ながらそばが食べられるのだ。

  • どこまでも続く切手シート

    どこまでも続く切手シート

"特上"でもワンコイン以下

店には「信州鹿肉そば」(特上720円、駅そば680円)や「かもそば」(特上500円、駅そば460円)など、長野らしいメニューもそろうが、今回はそばの風味を楽しめる「特上もりそば」(430円)を注文。のどごしのいいコシのある麺と、醤油の利いたつゆの相性は抜群で、この価格で本格的なそばが楽しめる。

  • 店内ではうさぎを眺めながら、本格的なそばが味わえる

    店内ではうさぎを眺めながら、本格的なそばが味わえる

故郷に帰る人、故郷を離れる人。この立ち食いそばで、うさぎに温かく見守ってもらいながら故郷を想い、そばをすすってみてはどうだろうか。

※価格は税込