こんにちは。会社のトイレの鏡で、自分の頭にキラリと光る糸のようなモノを発見してしまったイチイです。

それは目のごまかしようもないほど、太くて立派な1本の白髪でした。始めはあったことよりも、今までその存在に気付かなかったことにびっくりしたくらいです。しかしよくよく考えてみると、昔の人ならとっくに嫁に行って子供のひとりふたりいる年齡だし。生物学的には、肉体のピークは過ぎちゃったのかもしれません。白髪くらいあってもおかしくないのか。とさみしくなっちゃいました。

年をとると肉体だけでなく精神的な変化も多々あるでしょう。新しいことにチャレンジしたくなくなったりだとか。

自分を例に出して見ますと、自転車の乗り方です。最近自転車(ママチャリ)通勤をしているのですが、スカートだとサドルにまたがるときに足が大開きになってパンツが見えてしまい大変キケンなことになります。だからスカートのときは周囲に人けがないことを確認してから乗らねばならないのです。(そういう問題じゃないだろとつっこみがきそうですが。)

おばちゃんがママチャリに乗る時など、片足だけペダルに乗せて車輪を前進させつつ、スムーズにもう片方の足でまたいで座るという、独特の乗り方がありますよね。あれこそパンツを見られないためのエレガントな自転車の乗り方! と常日頃から憧れていました。しかし、実際に自分でやってみようとすると、意外にできないのです。運動神経が良いとは明らかに言えないご婦人達がさっそうとやり遂げているのに、若さも体力も勝るイチイができないのはどーして!? とくやしくもなります。

でもその理由はわかってます。すでに習得している人達は、おそらく子供の頃からそういう乗り方をする習慣がついているからです。大人になってから慣れ親しんだスタイルを変えるというのはなかなかできるものではありません。新しいものを受け入れがたくなっいるんですね。そのコンサバな意識が、技術的な限界よりも大きな制約になってしまっているのだと思います。こりゃヤバい。コンサバになるわ白髪も生えちゃうわで。この乗り方をマスターできることが、自分の若さへの挑戦だと思い日々チャレンジしています。

さて今回は、鉄道マニアによる旅をテーマにしたマンガ、『鉄子の旅』です。鉄道マニアといえば、前クールの鉄道恋愛ドラマ『特急田中3号』がありました。また各旅行会社のリーフレットをながめていても、「スペシャル列車に乗れる」という点を全面に押し出したパッケージが載っていたりします。このムーブメントがにわかな鉄オタブームなのか、それともブームにしようという動きなのかはわかりませんが、今ちょっとした波が来ているのは確かです。

この「鉄子の旅」のストーリーは、女性のマンガ家キクチが、筋金入りの鉄道好きのトラベルライターに、ローカル線全駅上下車などの電波少年的な旅に連れ回されるというもの。毎回1つのテーマで完結する1話完結スタイルで、毎回「第○旅」とつけられています。 タイトルから、鉄道に興味のある女性が、途中下車をしながら列車の旅を楽しむものなんだろうと想像されます。しかし、中身は予想以上にハード。まずマンガ家のキクチは鉄道にまったく興味がありません。列車の旅をテーマにしたマンガを描けると聞き、最初は食事や景色も楽しめる通常の「旅」を想像して胸ときめかせます。しかし、やってきたトラベルライター横見は、鉄道以外はまったくアウトオブ眼中。大好きな鉄道にできるだけたくさん乗るために、コンビニで買える100円で1リットルのお茶パックを容器に移して飲むなど、通常の人が持っている「旅」を楽しむ感覚はゼロなのです。

そこでキクチはがっかりしてしまいます。基本的に、横見に連れて行かれて楽しそうじゃありませんし。駅舎を見て異常に喜ぶ横見を、いつも冷ややかな目で見つめています。しかし1話完結の終わりの方になってくると、「何かちょっと楽しいかも……」と感じたり、次の列車に間に合うために我を忘れてダッシュしたりと、少しだけ鉄道マニアの世界に染まっている様子が見て取れます。そのキクチの姿はツンデレ的ですらあります。

このマンガの魅力は、鉄道マニアがガイドする鉄道の知識を身につけられることはもちろん、まったく鉄道に興味のない登場人物、つまり私たち読者に近い立場の人が、鉄道という新しい世界にふれてじょじょに打ち解けていく様子を楽しむことができるということにもあります。

鉄道の魅力を伝えるマンガとしても良い出来だと思います。地上に出るまでに10分以上かかる日本一長い階段の駅、青春18きっぷで乗れる列車、廃線になっても民家の脇にレールを残している場所などなど、列車や駅にまつわるマメ知識も満載。取材ものならではの臨場感もあり、楽しく読めます。

マンガは第48旅で終了していますが、興味がなかったのにいろいろと連れ回されて、大変だったのかもなぁ。しかし、イチイは勝手にこう推測します。回数を重ねることにより、むしろ本人が「鉄化」してしまって新鮮味がなくなることを恐れたのではないかと。つねに新しいことにチャレンジし続けるということは、難しいものですからね。

「鉄子の旅」

著者:菊池直恵/横見浩彦
出版社:小学館
価格:各294円
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