みなさ~ん、テレビドラマ見てますか? 見てない? ま、そうですよね、仕事は忙しいし飲みにも行かなきゃなんないし、朝と夜のニュース見るので精一杯。わかるわかる。でもね、現実逃避の手段として、ドラマを見るのって意外と悪くない。なんせこちらが何も考えなくても、どんどん恋愛していくし、どんどん謎は解明されていくし、どんどん悪者は成敗される。今どき、こんなに楽させてくれる娯楽ってそうないですよ。ってことで、今回から始まったこのコラムでは、テレビの連続ドラマにまつわるあれやこれやをご紹介していきます。ドラマチックな話はないけれど、以後お見知りおきを。

2008年1月スタートの連続ドラマリスト

放送スタート日時 放送局 タイトル 主なキャスト 内容
1月8日(火)21:00 フジテレビ系 ハチミツとクローバー 成海璃子、生田斗真、原田夏希ほか アニメ化、映画化もされた人気コミックのドラマ化。美術大学を舞台にした青春群像劇だ
1月8日(火)22:00 フジテレビ系 あしたの、喜多善男~世界一不運な男の、奇跡の11日間~ 小日向文世、松田龍平ほか、小西真奈美ほか 島田雅彦の『自由死刑』を原案とした異色ヒューマンサスペンス。連続ドラマ初主演の小日向の演技に注目したい
1月9日(水)22:00 日本テレビ系 斉藤さん 観月ありさ、ミムラ、佐々木蔵之介ほか "KY"なんてくそくらえ、悪いことは悪いとはっきり言う主婦・斉藤さんが息子を守るために戦う姿を描く。脚本は人気劇作家の土田英生が担当
1月10日(木)21:00 テレビ朝日系 交渉人 米倉涼子、筧利夫、陣内孝則ほか 事件現場で犯人と直接交渉するネゴシエーターの活躍を描く刑事ドラマ。主演の米倉が髪をばっさりと切り、体当たりで挑む演技が見もの
1月11日(金)22:00 TBS系 エジソンの母 伊東美咲、坂井真紀、谷原章介ほか 小学校の女性教師が天才少年に振り回されながらも、才能を伸ばそうと奮闘するコメディー。脚本は大森美香、原案は山口雅俊という、ドラママニア要注目の作品だろう
1月11日(金)23:15 テレビ朝日系 未来講師めぐる 深田恭子、勝地涼、船越英一郎ほか 満腹になると他人の未来が見えてしまうというヒロインが、ジタバタするというコメディー。脚本は、宮藤官九郎。地井武男、田口浩正ら個性派俳優も多数出演
1月12日(土)21:00 日本テレビ系 1ポンドの福音 亀梨和也、黒木メイサ、小林聡美ほか 亀梨が扮するボクサーと黒木メイサが演じるシスターが織り成す"スポ根"ラブコメディー。原作は高橋留美子のコミック
1月14日(月)21:00 フジテレビ系 薔薇のない花屋 香取慎吾、竹内結子、釈由美子ほか 今回の"月9"は野島伸司脚本によるヒューマンラブストーリー。香取と竹内の初顔合わせが楽しみだ
1月15日(火)22:00 日本テレビ系 貧乏男子 ボンビーメン 小栗旬、ユースケ・サンタマリア、八嶋智人ほか 貧乏学生がポジティブに生きる姿を描く社会派コメディー。プロデュースはヒットメーカーの櫨山裕子。小栗の人気も手伝って、ヒット間違いなし、か
1月17日(木)22:00 フジテレビ系 鹿男あをによし 玉木宏、綾瀬はるか、多部未華子ほか 奈良で高校の講師を務める男が、鹿とコミュニケーションしていくというファンタジードラマ。原作は直木賞候補にも挙がった万城目学原作の小説
1月17日(木)22:00 TBS系 だいすき!! 香里奈、平岡祐太、余貴美子ほか 知的障害のあるヒロインが恋愛・出産・子育てを通じて成長していく物語。不振のTBS木曜22時枠を打開できるか
1月18日(金)21:00 テレビ朝日系 4姉妹探偵団 夏帆、吉沢悠、中越典子ほか 赤川次郎のミステリーをドラマ化。本格的な謎解きと、コメディータッチの演出が見もの
1月20日(日)21:00 TBS系 佐々木夫妻の仁義なき戦い 稲垣吾郎、小雪、小出恵介ほか 勢いで結婚してしまった弁護士夫婦が、壮絶な夫婦げんかを繰り広げるというコメディー。夫婦のあり方や愛情とは何かを問う作品となっている

さて、2008年1月期の新ドラマ。フジテレビ系の『ハチミツとクローバー』、日本テレビ系の『1ポンドの福音』と、相変わらずマンガ原作ものはあるけれど、今回は作家さんの原作ものも目立っている。万城目学の同名小説を原作としているフジの『鹿男あをによし』とかね。前クールで『ガリレオ』が当たったから、ってわけでもないんでしょうが、それだけでちょっと大人っぽいドラマが多いクールにみえてきます。ジャンル的にもお子様向けの単純な青春ラブストーリーや学園ものはなさそう。特に異色系は大人好みの作品が多いです。こんな時は、どの作品が数字(視聴率)を取るのかが一番読めないんですよね。

『1ポンドの福音』(1~4巻 完結)集英社刊 各530円

『だいすき!!』(1~5巻)講談社刊 各429円

『斉藤さん』(1~4巻)集英社刊 各480円

『ハチミツとクローバー』(1~10巻 完結)集英社刊 各420円

月9は香取慎吾&野島伸司で独走狙う - 『薔薇のない花屋』

と、分析を投げ出してしまうのもアレなので、いくつかのドラマをピックアップして個別に見ていきましょう。まずは香取慎吾主演の月9『薔薇のない花屋』。野島伸司脚本で中江功監督といえば、かつて木村拓哉が「メイビーメイビー」と言っていた『プライド』(2004年)を作ったチーム。でも、今回は香取くんと彼の娘役の女の子を中心としたヒューマンラブストーリーになっているので、きっとああいうおもしろ台詞はないんだろうなー、残念。孫悟空になって「ウッキー!」なんて言ってるイメージが強い香取くんのアンニュイな一面をオープンにしてしまうとしたら、そのチャレンジ精神は賞賛したいところです。アイドルがパブリックイメージを覆すっていうのは、すごく勇気がいるだろうから。がんばれ、悟空!

寅次郎の期待度は…☆☆☆

野島脚本が、どれだけ香取くんの意外な一面を引き出すかに期待。

小栗旬は日テレが抑える! - 『貧乏男子 ボンビーメン』

今や人気・実力とともにナンバー1のポジションを獲得しつつある小栗

いま一番波に乗ってる小栗旬を主演に持ってきたのが日本テレビ系の『貧乏男子 ボンビーメン』。思いっきり「イケメン」を意識したタイトルはいかがなものか、と思いますが……。人がよすぎて借金まみれの大学生役なんだそうで、安易にイケメン路線を踏襲しない選択をしたなら、タイトルももうちょいなんかあったんじゃないすかねぇ……。八嶋智人やユースケ・サンタマリアら、芸達者な俳優さんと小栗くんがどうからむのかがポイントかな。

寅次郎の期待度は……☆☆

王子じゃない小栗くんがファンのニーズに合ってるのか、ある意味楽しみ。

クドカンワールドと金曜23時枠はぴったりハマる!? - 『未来講師めぐる』

富豪刑事に続く、深田のコメディー路線。"クドカン"とのタッグは吉と出るか?

クドカンこと宮藤官九郎脚本で深田恭子主演の『未来講師めぐる』はテレ朝金曜23時枠ってことで、ちょっとマニアックなおもしろさを好む層向けか。これまでにも『時効警察』シリーズ(2006年、2007年)や『特命係長・只野仁』シリーズ(2003年、2005年、2007年)というちょっぴり尖がった作品を生んだ枠なので、深キョンがどれだけジタバタするか、コメディエンヌとしての力量が問われるんすかね。個人的には地井武男が見られるだけでこのドラマは"アリ"。『ちい散歩』(テレビ朝日 毎週月~金 9:55~10:30)欠かさず見てます。

寅次郎の期待度は……☆☆☆

クドカンワールドに深キョンが引かないか心配しつつ、星3つ!

苦戦の日曜劇場、稲垣吾郎投入でも状況は変わらない? - 『佐々木夫妻の仁義なき戦い』

SMAPのメンバーとの共演が多い小雪。『僕と彼女と彼女の生きる道』(2004年)、『エンジン』(2005年)とヒットが続くが……

このクールはSMAPから2人、ドラマ主演が出てるんだけど、もう一人が稲垣吾郎。彼が主演するのはTBSの伝統の枠、日曜劇場の『佐々木夫妻の仁義なき戦い』。稲垣は小雪と夫婦そろって弁護士の役だそう。で、神経質な旦那と大雑把な嫁がいっつも喧嘩してる、と。ねえ、それって見たいかなぁ? 相手をいかに言い負かすかっていう口げんかマニュアルとしては参考になるかもしれないけど……。

寅次郎の期待度は……☆

この枠は引き続き苦戦しそうな予感。もう家族でドラマは見ない時代だからね。

記録ではなく、記憶に残るドラマ? - 『あしたの、喜多善男~』

バイプレイヤーとしては評価の高い小日向だが、連ドラの主演でどう転ぶか

さて、いろんなドラマがある中で、筆者が一番注目しているのが小日向文世主演という捨て身の攻撃に出たフジテレビ系の『あしたの、喜多善男~世界一不運な男の、奇跡の11日間~』。『結婚できない男』(2006年)なんかの地味だけどドラマらしいドラマを作るのに定評がある関西テレビ制作のこの作品は、原作が島田雅彦っていう意外な路線なんですよ。11日後に死のうと決めた男が主人公で、そこにいいやつ悪いやつが入り乱れて関わっていくという、異色のヒューマンサスペンスドラマ。まずこの「何がおもしろさなのか見ないと判断つかない」感がワクワクさせるじゃないですか。予定調和が幅を利かせるドラマの世界で、こういう打ち出し方はぐっとくる。数字には期待してませんが……(笑)。ただ、関西テレビさんには数字を気にせず、最後まで心意気を貫いてほしい。そうすれば絶対放送終了後も語り継がれる作品が出来るはず。がんばれ、悟空! いや、関係ないか。

寅次郎の期待度は……☆☆☆☆

意外とこういうところに新しい鉱脈があるんじゃないだろうか。

ということで、1月の新ドラマ。気になるものはありましたか? はじけた印象のドラマは少ないものの、こういうときは前評判とはまるで違ったものがじわじわ人気が出たりするもの。皆さんも久しぶりにテレビの前で1時間を過ごすという贅沢を味わってみてはいかが? それでは、4月にまたお会いしましょう。

寅次郎

大学卒業後、日本中の飲み屋を放浪。赤羽の一杯飲み屋で隣の席に座った出版社の社長と話が合い、出版の世界へ。記者を経てエンタメ系雑誌の編集に携わり、現在は某誌副編集長。好きな番組は『ちい散歩』。