投資の初心者が知っておくべきこと、勘違いしやすいことを、できるだけ平易に解説しようと思います。昨年7月に「騙されない投資家になるために」の連載を開始して1年以上が経過し、連載回数も50回を超えました。たまに時事ネタを取り上げることもありましたが、基本的には金融の常識を初心者の方にも理解できるようにお伝えしてきたつもりです。
金融の常識を身に付けて無駄な損失を回避する
この間にも、投資の初心者の誤解を招きかねないような、あるいは意図的に誤解させようとする、都合の良い部分だけを強調した金融商品や投資関連商材の広告が溢れていたように思います。幸か不幸か、そうした広告の存在が連載を続ける力を与えてくれました。
投資では判断根拠がいかに論理的であっても失敗することはあります。その意味では運に左右されるのは避けられません。ただし、正しい知識を身に付けていれば、運とは無関係の、あり得ない判断や怪しげな取引手法によって失敗することは避けられるはずです。
大学1年生を相手にした講義
さて、金融の常識、言い換えれば金融リテラシーを学ぶのに年齢は関係ありません。ただ、若い時から始めるに越したことはないでしょう。常々そう考えていたところ、ある大学で講義をする機会をいただきました。
相手は大学1年生なので年齢は10代が中心。金融以外の専門分野に進むことがほぼ決まっている学生たちなので、どれぐらい興味を持ってくれるか大いに不安でした。また、90分の講義で伝えられることはたかが知れています。
それでも、宝くじの還元率や、投資のリスクとリターンの関係、長期投資のシミュレーション、円しか持たないリスクなどの話を興味を持って聞いてくれたようです。まあ、中にはチンプンカンプンだったのか深い眠りに落ちている学生も見かけましたが……もちろん、起こすほど無粋ではありません。
今後もこうした機会があれば、読者や聴講者が少しでも金融や投資に興味を持ったり、金融の常識を身につけたりできる手助けをしたいと考えています。
最後に、学生の感想文から一部を紹介しておきましょう。(カッコ)内は私の心の声です。
Aさん「私は投資について全く知らなかったので、この講義を受けてとても勉強になりました。投資広告を安易に信じてはダメで、十分に知識を身に付けてから投資を始めようと思いました。お金は簡単に得られるものではないと改めて実感しました」(あなた達には時間が十分にあるので、少しずつ知識と経験を身に付けてくださいね)
Bくん「およその還元率を知って、宝くじや競馬でなく、パチンコやカジノで稼ぎたいと思った」(間違ってはいないけど、そういうことを伝えたかったわけではなく……)
Cさん「投資は自分には関係ないと思っていましたが、これから投資をするかどうかは別として、投資を身近なものに感じることができました。今回が『投資は儲かります!』のような話だったら不信感が増したと思いますが、『安全な投資はない!』という言葉で、かえって安心できました。将来、余裕があれば投資という選択肢を増やしてもいいなと思いました」(今はそれで充分だと思います)
「騙されない投資家になるために」シリーズは今回をもっていったん休止します。今後も投資に関連したコラムを週一回ぐらいのペースで投稿する予定です。