――逆に、今田さんは永野さんをどのように見ているんですか?

すごく周りが見えている人。自分の立場だからこそできることを、「そこまで考えなくていいのに」というところまで考えていて。でも、それが心配になることもあるんです。その姿勢は、年下とは思えないくらい……。私にとっては、お姉ちゃん的な存在だったり、妹的な存在だったり、お友達でもあったり。いろいろな立場になってくれる人です。実は、芽郁は妹と同い年なんですけど、妹と同じ年齢には思えなくて(笑)。いろいろな面を持ち合わせている、本当にすごい女性です。

――演技の面ですごいと思うことはありましたか?

『3年A組』の合間では、「昨日、店員さんのオススメ品を断れなくて買っちゃった!」とか世間話をしながら、現場に入った瞬間に「茅野さくら」に変わるんです。急にボロボロ泣き出すし、そのスイッチって一体何なんだろうと……。私には絶対にないスイッチです(笑)。

今田美桜

――ということは、今田さんはしっかり集中して入るタイプですか?

正直、自分がどうなのかはまだ分かっていないところでもあるんですけど、『3年A組』ではあまり笑わず孤立感がある役だったので、裏ではどのように振る舞えばいいのか分からなかったです。普通に話していても、違和感があるというか。カメラが回っていないところで笑っても、うまく笑えないというか。芽郁は、そんなことも感じさせない。不思議な人ですね。

――ロングインタビューでは、恩人たちの言葉についても触れられていましたが、それらには「自然体で」という優しいメッセージが共通していますね。

言われてみれば、そうですね! 19歳で上京したので、オーディションを受けている時も、「絶対にこの役を獲らなきゃ!」という焦りがすごくあって。落ちるとその分すごく落ち込んだんですけど、今の事務所の社長に「8勝7敗でいい」と言ってもらえてすごく気持ちが楽になりました。それも、芽郁からもらった「気張らずに」という言葉とも共通している部分ですね。

それから、『記憶』(フジテレビ・J:COM)で共演させていただいた中井貴一さん。お話している時、私が知らない言葉がたくさんあって、そのたびに聞いてたんです。それを面白がってくれていたんですけど、クランクアップの時に「あなたは30点台。でも、そのままでいい」と言われたんです。「自分はこのままでいいんだ」と思えて、気持ちが楽になりました。

――だからこそ、今田さんは「人に恵まれている」と実感されているんですね。

なかなかそういうふうに声をかけてくださる方もいないと思うので。本当に恵まれていると思います。

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■スタイルブックを読んだ父からメール

――ご両親は大学に進学することを望み、芝居に打ち込むことには大反対。三者面談で、担任の先生が後押しをしてくれて、「同い歳のみんなが大学を卒業する22歳まで、女優としての道に可能性があるか試して、22歳の時にもう1回考えてみること」という条件で、ご両親も受け入れたそうですね。

そうですね。「22歳まで」という約束をした私にとって、22歳を迎える今年は結構大事な年で。今まで自分の言葉で振り返るようなロングインタビューがなかったので、このような本を出すタイミングをいただけて、すごくありがたかったです。

それから……最近、これを読んだという父から連絡がありました。22歳になって、そのことを話してなかったんですよね。忘れてるんだろうと思っていて。忘れてるということは、安心してくれていることなんだろうなと(笑)。でも、先日父からメールが届いて、そこには「22歳という節目を作ったのは、心配だったからでした。あなたを信じて、進んでくれてよかったです」と書いてありました。

ロングインタビューでは家族のことも話しているので、家族の中でもすごく盛り上がったみたいで(笑)。私だけではなくて、家族にとっても振り返るきっかけになりました。

――多くの転機について言及されていましたが、女優としてはどのような転機がありましたか?

たくさんあるので難しいですが……いろいろな方に知ってもらうきっかけになったのは、『花のち晴れ ~花男 Next Season~』(TBS系・18)の真矢愛莉を演じさせていただいてから。私は『花より男子』を観ていた世代で、当時学校ではドラマの話で持ちきりになるくらい。「あの英徳学園に入るんだ……」と自分の中ではファンタジーの世界に入ることのような……。そして、マンガ原作なのでファンの方の期待を裏切るわけにはいかない。何よりも、私自身が真矢愛莉が好きで。その役を演じることができるのがすごくうれしくて、がんばろうと思いました。

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――周囲の反応はいかがでしたか?

愛莉が晴を諦めて、音の味方になった第4話の放送後、急にインスタグラムのフォロワーが増えてびっくりしました。それだけの人が反応してくれたこともそうですが、ドラマをこれだけ多くの人がご覧になっているというのも発見で。

その後に反響が大きかったといえば、『3年A組』です。あの精神状態の中、同世代同士で直球の投げ合いというか、すごく緊張感があって。共演者の方やスタッフさんによって、それぞれ吸収させていただくものが違うので、転機になったのは『花のち晴れ』、吸収するものはすべての作品です。

――「新しい自分を知ることができるのが女優という仕事の魅力」とおっしゃっていましたね。今まで気づかなかった自分の一面を知ることができたことはありますか?

共演者の方々が毎回異なる中で、「こんな声出るんだ!?」とか、「こんなに口を開けたことなかったな」とか自分でも驚くことがあります(笑)。

――確かに、そこまで口を大きく開けることなんて、日常ではあまりないですよね(笑)。

つい先日、『セミオトコ』(テレビ朝日系)で驚くシーンがあって。台本を読んで、「こういう言い方にすればいいのかな」とかいろいろ考えて臨んだんですけど、大きく開いた口にびっくり(笑)。

――次の作品で、新たな自分に出会える。素敵な職業ですね。

そうですね。今回のスタイルブックには、今の自分が詰まっています。未来は分からないですが、これが今の自分。

だから、タイトルも直球です(笑)。英語のタイトルも考えたんですけど、飾りすぎて自分っぽくないなと。かといって、「いま」というもの自分っぽくない。自然体の自分のイメージに近い、カタカナの「イマ」にしました。

■プロフィール
今田美桜(いまだ・みお)
1997年3月5日生まれ。福岡県出身。身長157センチ。A型。高校2年生の時にスカウトされ、福岡で芸能活動を開始。19歳の時に現事務所の社長にスカウトされ、2016年8月に上京。これまで、『僕たちがやりました』(関西テレビ/フジテレビ系)、『記憶』(フジテレビNEXT/J:COM)、『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS)、『SUIT/スーツ』(フジテレビ)、『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)などのドラマに出演。現在は、テレビ朝日系ドラマ『セミオトコ』(毎週金曜23:15~)に出演している。