「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。
今回のテーマは、「Web3(暗号資産、NFT、ブロックチェーン技術、メタバース)の基礎知識と投資意義」。連載内シリーズとして、何回かに渡ってご紹介します。
高級アパレルブランドもNFT事業に参入
NFTというとデジタルアート系のNFTが有名ですが、他にもドルチェ&ガッバーナのようなハイブランドもNFT事業に参入しています。ドルチェ&ガッバーナ初のNFTコレクション「Collezione Genesi」の落札額は、約565万ドル(当時約6億4000万円)となり話題を呼びました。
ファッションNFTでは、スニーカー投資×NFTで当時流行っていたスニーカー投資と掛け合わせたものもありました。スニーカー投資自体は廃れたとも言われていますが、「売れ筋スニーカーのインデックス」のような金融商品に近い投資も可能になるかもしれません。
エンタメ系NFT
NFTは、アイデア次第で可能性は無限です。イベントチケットをNFTにすることで、イベント記念品として、例えばビートルズのライブチケットの半券のように、保有し続ければいつか高い価値が出るかもしれません。もちろん、ただのデジタルゴミで終わる可能性もありますが。
チケットNFTを持っている人だけに、イベント会場内で軽食やドリンクのサービスを提供したり、特定のチケットNFT保有者だけに別のNFTを配布したり、イベントのプレミアムNFTを発行し、バックステージへの招待や限定グッズの購入権にすることもできます。またスポンサーにはスポンサーNFTを発行し、スマートコントラクトを使い、イベントの収益をNFT保有者に自動的に分配することも可能です。仲介者は不要で、手数料は安くすることができるでしょう。
音楽NFTでは、音楽イベント会社のLive Nationは、人気NFTトレーディングカード「NBA Top Shot」のように、音楽でも「モーメント(貴重な瞬間を捉えた短い動画)」をコレクターズアイテムにしたいと考えているようです。
また、音楽の原盤をNFT化し、数量限定NFTとしてナンバリングし、原盤を分割保有してストリーミングの配当として収益を受け取ることもできます。同じ楽曲を毎日レコーディングしてそれぞれNFTにし、どのテイクが人気が出るか投票するなど、活用方法はいくらでも考えられるでしょう。
アセット系NFT
エンタメ系NFT以外にも、NFT不動産(バーチャル不動産)のようなアセット系NFTも話題になりました。リアルな不動産ではなく、メタバース上に不動産を生み出すことができますし、ディセントラランド、ザ・サンドボックス、クリプトボクセルズなど、土地に上限を設けているメタバースもあります。メタバースで活動する人口が増えれば、メタバースの土地に仮想のビルを建て、仮想の会議場として貸し出すようになるでしょう。人がいればそこでビジネスが生まれ、ビジネスが生まれれば、仮想の土地とは言え価値がついていくと思われます。
不動産の他にも、「NFT担保融資」のような金融サービスも増えていくかもしれません。NFTfi(NFT金融)でNFTを担保にし、現金を借りることができます。NFTは流動性を高めるために分散化され、証券に似たものになるでしょう。
ID系NFT
NFTは世界で一つだけのトークンですので、IDとしても機能します。SNSアカウントをNFTと結び付けて管理すれば、アカウントの所有を証明することが可能です。他にも、大学の卒業証書NFT、住民票のNFTなど、改ざんされては困る情報であれば相性は良いでしょう。改ざんされても良い情報はないと思いますが。
ヘルスケアの領域でも、NFTで病歴や治療歴などの医療情報の機密保持、医薬品のサプライチェーン・トラッキングの強化などに活用されるようになるかもしれません。ここまで普及すると、「NFT」というわかりにくい名称は消え、もっと親しみやすいものになっていると思います。
コミュニティ系NFT
チケットNFTやID系NFTと似ていますが、コミュニティNFT、会員証としてのNFTも今後普及するかもしれません。NFT保有者だけが参加できるコミュニティで、NFTアートやNFTアンティークの展示をコミュニティ限定で行うイベントも増えるでしょう。
クレジットNFTでは、クレジットスコア(信用スコア)が個々人と紐づくNFTに記録され、信用度・信頼度やオンライン上の評判、知識、スキル、経験などの無形資産が数値化されていく可能性もあります。監視社会のようで好ましくない部分もありますが、それだけガラス張りな姿勢が求められるのかもしれませんね。