市販の「エビチリの素」

今回のテーマは日本でもすっかりお馴染みになったエビチリ。市販の「エビチリの素」は、豆板醤や唐辛子などで辛味を出しているものが多く、またエビチリというと赤いイメージがあるが、これは必ずといっていいほどトマトペーストやソースが使われているため。使う具材というとエビの他は長ネギ程度で、炒める程度で簡単につくることができるよう工夫されている。

東京・代々木上原の人気中華料理店「老四川 飄香(ピャオシャン)」オーナーシェフ・井桁良樹さんによると、中国ではエビチリのことを「干焼蝦仁」と表記しているのだとか。元々は、四川の漬物や発酵唐辛子と共にエビを汁がなくなるまで煮込んだ料理なのだそう。トマト系の素材は使わず、赤い色は唐辛子系由来で出ているのだとか。

それに比べて日本の「エビチリの素」は、トマトベースで甘みも強いなど、かなり味わいに違いがある。そこで今回井桁さんが考えてくれたアレンジは、なんとフランス風! トマトベースという点を生かして、トマトと相性のよいチーズを組み合わせている。チーズはブルーチーズで、さらにバターも加わってまさにフレンチのよう。エビでブルーチーズを巻いており、クルンと丸まった見た目も"上級者の一品"といった雰囲気が漂う。さらにサラダホウレン草を添えることで、ほのかな苦味を加えている。

今回も卓上コンロと1,000円フライパンで調理してもらいます

「法式干焼蝦仁(フランス風エビチリ)」

材料(3~4人分)
エビ(無頭むき身)250g / ブルーチーズ40g / 片栗粉大さじ1/ バター25g / 玉ネギ30g / 「エビチリの素」3~4人前/ サラダホウレン草適量/ サラダ油適量

作り方

1.エビは、腹側から包丁を入れて開き、背ワタを取り除く。
2.ブルーチーズをひと口大にカットする。1のエビを背側を上にしてまな板の上にのせ、その上にブルーチーズをのせる。
3.ブルーチーズを内にして、エビを巻く。
4.巻いたエビが開いてしまわないよう、またブルーチーズも外れてしまわないよう、爪楊枝でしっかり止める。
5.片栗粉をエビの表面にまぶす。
6.フライパンに油をひいて温め、5のエビを入れる。表面に焼き色がつくまで強火で焼く。焼き色が付いたらフライパンから取り出し、爪楊枝を抜く。
7.温まったフライパンにバターを入れて、溶かす。みじん切りにした玉ネギを弱火で炒め、ある程度火が通ったところでエビを戻し入れ、軽く炒め合わせる。
8.「エビチリの素」を加えて混ぜ合わせる。つや出しにサラダ油を加える。根元部分をカットしたサラダホウレン草を盛り付けた皿に、7を盛る。

プリッとしたエビを食べると、中からとろけるブルーチーズが! 深みのあるソースはまさに赤ワインにぴったり。しかもライトタイプではなく、フルボディといっしょにゆっくり楽しみたい。残ったソースはバゲットにつけて楽しむのがオススメ。

今回の調理のポイントを聞くと、メインのエビの扱いに尽きるのだとか。エビは加熱すると背の側に反るので、ブルーチーズを巻き込むときに背側に巻き込むときれいに仕上げることができる。また、最初にブルーチーズを巻いたエビを炒めているのだが、これはエビの成形の意味合いもある。加熱することでエビは固まるので、しっかり固めて形が崩れないようにしてから爪楊枝を抜くこと。こうすることで、爪楊枝をはずしても、エビはチーズを抱き込んだ形をキープしてくれる。難しそうに見えるこの料理も、実はポイントはこの2つだけ。

サラダホウレン草のグリーンとエビチリの赤。皿の上には2色のクリスマスカラーが展開し、見た目にも楽しい。ぜひクリスマスのホームパーティーでつくってみてほしい。あなたの料理評価が一気にアップするはず!

教えていただいた料理人

「老四川 飄香」オーナーシェフ・井桁良樹さん
2005年4月に東京・代々木上原に「老四川 飄香」を出店。中国での修業経験を生かしつつ、独自のアレンジを加えた本格四川料理が評判となり、連日予約で席が埋まる人気店に。店名は、"OLD四川が漂い香る"という店のコンセプトから付けた。日本人向けに、直接的ではなく香りで辛さを感じるような独自の工夫を行なっている。

「老四川 飄香」オーナーシェフ・井桁良樹さん。店舗は代々木上原駅から徒歩3,4分の場所にある

住所: 東京都渋谷区上原1-29-5 BIT代々木上原001
電話: 03-3468-3486
※店舗データは取材時のもの