この6月に育児・介護休業法が改正され、令和4(2022)年4月1日から段階的に施行することが決定した。改正育児・介護休業法では男性の育児休業取得促進や、育児休業を取得しやすい雇用環境整備、育児休業の分割取得、育児休業の取得の状況の公表の義務付けなどの施策を通じて、子育て環境のいっそうの拡充を目指している。
そこで今回は、子どものいるマイナビニュース女性会員250人を対象にアンケート調査を実施。「パートナーが育休を取得してよかったと思うか」などを聞いた。
Q.あなたのパートナーは育休を取得されたことがありますか?
「はい」(29.2%)
「いいえ」(70.8%)
パートナーに育休取得経験がある女性
Q.パートナーが育休を取得してよかったと思いますか?
「はい」(93.2%)
「いいえ」(6.8%)
Q.その理由を具体的に教えてください(自由回答)
■「パートナーが育休を取得してよかった」
・「自由になる時間が少し取れたから」(50歳/その他/専門サービス関連)
・「少しでも自身の睡眠を確保できた」(45歳/通信関連/事務・企画・経営関連)
・「一番手のかかる時期に手助けになったから」(41歳/サービス/クリエイティブ関連)
・「心身ともに安心でき、心強かった」(45歳/その他/その他・専業主婦等)
・「これからの『育児』に力を入れてくれるきっかけになりました」(38歳/教育/専門サービス関連)
・「貴重な時間を過ごせたし、家族の思い出ができた」(30歳/広告・出版・印刷/クリエイティブ関連)
・「育児を1人に任せるのではなく、共同で協力し合うと責任感が生まれてくる」(47歳/その他/その他・専業主婦等)
・「産後大変でしたが、サポートしてもらえたし、後からなんでも頼みやすく、できる事が増えた」(33歳/その他/その他・専業主婦等)
・「付き添い入院が必要だったため、夫に一緒に入院してもらえ、精神的にも支えてもらえた」(31歳/その他/その他・専業主婦等)
■「よかったとは思わない」
・「家に居ても遊んでばかりいた」(32歳/その他/その他・専業主婦等)
・「邪魔しかしない」(49歳/その他/その他・専業主婦等)
・「家事をするわけでもなく、ただの自分の休みのような過ごし方だったから」(35歳/その他/その他・専業主婦等)
パートナーに育休取得経験がない女性
Q.次、もしパートナーに育休が取れる機会があれば取ってほしいと思いますか?
「はい」(63.3%)
「いいえ」(36.7%)
Q.その理由を具体的に教えてください(自由回答)
■「機会があれば取ってほしい」
・「産後や子育ては大変な事が多いので、1人ではなく一緒に育てたいので取れるなら取って欲しいです」(46歳/その他/その他・専業主婦等)
・「産後は疲労感が暫く何日も続くので、少しでも家事や育児をサポートしてくれたら助かる」(43歳/その他/その他・専業主婦等)
・「産後は母体が出産のダメージでガタガタなので、食事の準備や皿洗い、洗濯などルーチンの家事をやってくれる人が必要だから」(39歳/その他/その他・専業主婦等)
・「里帰り出産だったら少しは楽だと思うが、違う場合は育児だけでも大変なので、育休でサポートしてくれたら凄く有難いと思う」(48歳/その他/その他・専業主婦等)
・「自分達の両親はサポートしてくれないので、夫に育休を取ってもらえると本当に助かる」(40歳/教育/公共サービス関連)
・「両家の親に全く頼れず、退院後から全部自分でやったので大変だったから。産後の肥立ちが悪いと先生に言われたので、やはり無理はいけないのだなと感じました。夫にも家事や育児を手伝ってもらったら少しは身体を休められるので、休めるなら休みを取ってもらいたいです」(50歳/その他/その他・専業主婦等)
・「産後、里帰りをしたのでなんとかなりましたが、里帰りができない状況を想定すると、夫にはお休みを取ってもらってもサポートして欲しいから」(33歳/食品/営業関連)
・「子どもが2人いるが、主人は忙しい仕事でほぼ母子家庭状態で子育てをしていた。もし3人目があるなら、ちゃんと夫婦で子育てしたい」(45歳/その他/その他・専業主婦等)
・「2人目になると上の子の面倒を見ながら赤ちゃんの面倒は、とてもじゃないが一人では見きれないから」(32歳/教育/事務・企画・経営関連)
・「次は3人目になるので、流石にパートナーの助けも必要になると思う」(32歳/その他/その他・専業主婦等)
・「産後3カ月は、精神的にも肉体的にも本当にキツいから。色々してもらえる事は勿論助かるが、家にいてくれるだけでも、頼れる家族が一人いると思えて心強い」(41歳/その他/その他・専業主婦等)
・「時代は変わってきてるので、男性も育児の大変さを知ったり、子どもの成長に関わる期間を設けた方が良いと思う」(45歳/その他/その他・専業主婦等)
・「家事育児に期待というより、赤ちゃんと一日過ごすということがどういうことかわかってほしいから。これからの時代、男性も育児の経験に価値を見出さないといけないと思う」(39歳/アウトソーシング/営業関連)
・「乳児の育児は24時間休み無しですし、子育てのうち新生児の期間は短いので、両親共に経験できるのは貴重」(48歳/医療用機器・医療関連/事務・企画・経営関連)
・「子どもの可愛い時を一緒に苦労しながら育てていく、その一生に一度しかない感覚が親の感性を育てると思う。そして、その後の良好の夫婦関係を築けると思うから」(45歳/教育/公共サービス関連)
・「女性も男性ももっと自由に休暇が取れる世の中になってほしい。とくに産後は大変なので。私の旦那はとてもよく手伝ってくれたので、皆の家庭がそうであればいいと願います」(34歳/その他/その他・専業主婦等)
■「取ってほしいとは思わない」
・「子どもだけではなく、夫の世話もしなくてはならないから手間が増える」(48歳/その他/その他・専業主婦等)
・「夫の食事の世話をする負担があるから。自分だけのペースのほうがまだやりやすい」(34歳/その他/その他・専業主婦等)
・「いきなり育休を取ってもきっと何していいかわからないし、夫がいて余計に大変」(47歳/その他/その他・専業主婦等)
・「育児休暇なのに育児のサポートなどをせず、自分の好きなことをしてかえって手間がかかりそうだから」(41歳/サービス/事務・企画・経営関連)
・「逆にカリカリして当たってしまいそう。週休2日の休みに居てくれれば十分!」(37歳/その他/その他・専業主婦等)
・「子どもがまだ赤ちゃんだった時の休日の姿を思い返すと、大変なことはたいしてやってくれず、小さな事を少し手伝ったら俺はやっているよアピール。手のかかる事はこちらがやって当たり前のような感じだったので、家にいないほうがまだ気が楽です」(43歳/その他/その他・専業主婦等)
・「いても何の役にも立たないばかりか、余計に時間を取られる。世話をする対象が増えて、気を使う時間が増えて、手間が増えてストレスにしかならない。一人でやるほうがよっぽど効率が良く段取り良く物事が進む。育休取っても家でゴロゴロされたり、遊びに行かれるくらいなら家にいないでほしいし、目に見えるところにいないでほしい」(44歳/教育/公共サービス関連)
・「育休を取るより、稼いでもらったほうがいい」(38歳/その他/その他・専業主婦等)
・「主人の仕事は手伝うことができないのに育児は2人で協力するというのは、男性がかわいそうだと思います」(33歳/その他/販売・サービス関連)
全回答者
Q.改正育児・介護休業法の成立で男性が育休を取りやすい環境が整備される見込みです。次のうち、あなたの視点からうれしいと感じる制度はどれですか?
1位「育児休業の取得状況の公表義務付け」(25.6%)
2位「育児休業の分割取得(育児休業(出生時育児休業を除く)について、分割して2回まで取得することが可能)」(24.0%)
3位「男性版産休の創設(子どもの出生後8週間以内に4週間まで取得することができる出生時育児休業。分割取得や休業中の就業も可能)」(22.8%)
4位「環境整備や周知・意向確認措置の義務付け(男女問わず、事業主から個別に育児休業制度を周知・取得の意向を確認することが義務化される)」(20.0%)
5位「有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」という要件の廃止)」(7.6%)
Q.その選択肢を選んだ理由について具体的に教えてください(自由回答)
■「育児休業の取得状況の公表義務付け」
・「公表した方が、みんな積極的に育児休暇を取得すると思うので」(30歳/その他/その他・専業主婦等)
・「国として取り組まないと変わらないと感じる」(32歳/教育/事務・企画・経営関連)
・「義務付けるようにすると、取ることが当たり前になりそうだから」(45歳/その他/その他・専業主婦等)
・「男性の育児休暇取得が当たり前の世の中になって欲しいため」(32歳/その他/その他・専業主婦等)
・「雇用者同士が、お互いに回りを気にしだして牽制し合うようになって、やがていまよりも改善されるかもしれないから」(38歳/その他/その他・専業主婦等)
■「育児休業の分割取得」
・「まとめて取るよりも、ここぞというときに単発で休んで欲しい」(48歳/その他/その他・専業主婦等)
・「分けて分割して休みが取れれば、いろいろな面で役に立つと思いました」(48歳/食品/営業関連)
・「分割して、大変なタイミングで取って自宅にいてもらえるとありがたいと思う」(34歳/その他/その他・専業主婦等)
・「産後すぐと、育児疲れで本当に疲れたときに取ってもらえると嬉しい」(42歳/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「長いよりも短いスパンの方がダレなくていいと思うから」(35歳/その他/その他・専業主婦等)
・「そのくらいのペースの方が飽きずに手伝いができそうな気がする。仕事に復帰する時期が息抜きになる感じ」(49歳/その他/その他・専業主婦等)
・「保育園の空きがない時に利用できると良い」(38歳/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「期間を分けられるのは 子どもの成長も分けて経験できるし、仕事への負担も少なくてすむ」(48歳/医療用機器・医療関連/事務・企画・経営関連)
■「男性版産休の創設」
・「取れることが明確に謳われていたら取りやすいと感じる」(46歳/その他/その他・専業主婦等)
・「法律で決めてしまえば、もっと男性が休みを当たり前として取得出来ると思う」(45歳/その他/その他・専業主婦等)
・「一度だけでなく、少しずつ育休をとれて日常的に育児に関われると良い」(49歳/その他/その他・専業主婦等)
・「仕事の分量によって分割して休みが取れるのは、ありがたいと思う」(45歳/その他/その他・専業主婦等)
・「分割で休暇を取得でき、休暇中の仕事も可能なのが良い」(47歳/繊維・アパレル/技能工・運輸・設備関連)
・「生まれた時が一番大変で、夜も眠れないし、具体的に4週間とかになっていると日数も取りやすそうだからです。分割にできるところもいいと思います」(41歳/その他/その他・専業主婦等)
・「現在2人目を妊娠中なのですが、上の子がいて2人育児を1人でこなさなければいけないと思うと不安で仕方ないので、男性版の産休制度は大賛成」(30歳/広告・出版・印刷/クリエイティブ関連)
■「環境整備や周知・意向確認措置の義務付け」
・「制度だけできても、義務化されなければ取りづらい」(41歳/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「まだまだ産休、育休が取りにくい風潮があるので」(41歳/その他/その他・専業主婦等)
・「取らないのが当然ではなく、取るか取らないか選択するようになると思うから」(36歳/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「いくら制度があっても、会社の風土で取りにくい、ということもあると思うので、会社から育休取得に向け働きかけてもらえるといいと思う」(33歳/食品/営業関連)
・「育休を取ることを義務づけるくらいでないと、男性が育休を取ることが周囲に理解されないだろうから」(37歳/繊維・アパレル/販売・サービス関連)
・「男性も取るべきという気持ちをもって意向を聞いてほしいが、本人の希望を確認することは大事なことだと思う」(37歳/教育/専門サービス関連)
・「私自身は夫に育休を取って欲しいとは思わないが、取りたい家庭が取れるようになることは重要だと思う。環境が整備されることは大切」(38歳/その他/その他・専業主婦等)
■「有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和」
・「その方が働きやすいし、自分の体や精神が保っていけると思う」(37歳/専門店/その他技術職)
・「なんとなくです。育児休暇は女性しか見たことなくてわからないですが、前の会社では一年まではお給料もらえてました」(44歳/化粧品・医薬品/販売・サービス関連)
・「復職出来なかった経験があるため」(41歳/その他/その他・専業主婦等)
■総評
調査の結果、子どものいるマイナビニュースの女性会員のうち、パートナーが育休を取得したことがある人は29.2%。7割以上がパートナーの育休取得経験がないことがわかった。パートナーの育休取得経験がある人のうち、取得してよかったと思うと回答した人は93.2%と、大多数が育休取得を評価している。
「パートナーが育休を取得してよかった」では、パートナーのサポートで育児の手間が軽減されたという理由を挙げた人が多かった。子育てには多くの労力と時間がかかり、当然のことながら少しでも人手が増えるのはありがたいことだろう。
また、物理的な側面だけでなく、「心身ともに安心でき、心強かった」「精神的にも支えてもらえた」「家族の思い出ができた」「今しかできない子育てを一緒にできた」など、精神面でのメリットを挙げる人も目立った。そのほか、「共同で協力し合うと責任感が生まれてくる」「子育てが大変だと、少しでも理解してもらえた」など、育児に対するパートナーの意識の変化を実感するコメントも見られた。
一方の「よかったとは思わない」では少数ながら、せっかく育児休暇を取得したにもかかわらず、パートナーがまったく役に立たなかったことを嘆く声があった。
またパートナーに育休取得の経験がない女性には、次に育休が取れる機会があれば取ってほしいと思うかを聞いた。ここでは、取ってほしいと答えたのは63.3%、取ってほしいとは思わないという回答は36.7%と、育休取得の否定派がやや増えている。
その理由を具体的に聞いたところ、「機会があれば取ってほしい」派では前問での回答と同様、時間や労力、精神面でのサポートを期待する声が多い。とくに里帰りができない、あるいは親に頼れないなどのケースでは、パートナーは頼りになる存在だ。また2人目、3人目の出産の場合は上の子の世話もしなければならず、家事や育児の負担はよりいっそう大きくなるだろう。
「取ってほしいとは思わない」派の意見では、なんといっても「パートナーがいることで、余計に負担が増える」というものが多い。
改正育児・介護休業法の中で、うれしいと感じる制度を聞いたところ、1位「育児休業の取得状況の公表義務付け」(25.6%)、2位「育児休業の分割取得」(24.0%)、3位「男性版産休の創設」(22.8%)、4位「環境整備や周知・意向確認措置の義務付け」(20.0%)、5位「有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和」(7.6%)と、かなり票が割れるかたちとなった。
回答者それぞれが置かれた環境により、いずれも有用な制度であると認識されているということだろう。その選択肢を選んだ理由についても、各人の制度に対する視点の違いが感じられ興味深い。
一昔前と違って、現在は「子育ては女性がするもの」という意識はだいぶ薄れてきている。ただし今回のアンケートでは、パートナーが育休を取得したことがある人は3割程度と、まだまだ実態が伴ってはいないことがわかった。
また、実際にパートナーが子育てに参加することに対しては多くの人が評価している一方で、かたちだけの育児参加の無意味さを指摘する声もあった。
今回の改正育児・介護休業法の施行を通じて、「これからの時代、男性も育児の経験に価値を見出さないといけないと思う」「男性も育児の大変さを知ったり、子どもの成長に関わる期間を設けた方が良い」「子どもの可愛い時を一緒に苦労しながら育てていく、その一生に一度しかない感覚が親の感性を育てると思う。そして、その後の夫婦関係の良好を築けると思う」といった声が、少しでも多く現実となることを期待したい。
調査時期: 2021年6月18日~2021年6月21日
調査対象: 子どものいるマイナビニュース女性会員
調査数: 250人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
※写真と本文は関係ありません