前回(第98回)では、中長期的に宿泊施設に簡単に宿泊できるウェブサイトを活用して、リモートワークしながら地方暮らしを体験できる情報をご紹介しました。今回のテーマは「ワーケーション」です。

  • ワーケーションを活用して地方暮らしを考えてみては?

    ワーケーションを活用して地方暮らしを考えてみては?

ワーケーションとは?

ワーケーションとは、「Work(ワーク)」と「Vacation(バケーション)」を組み合わせた造語で、自宅やオフィスを離れて、観光地や帰省先などでリモートワークを行うことです。単純に旅行中に短時間のみ仕事をするということではなく、普段通りに日中は仕事を行い、就業終了後または週末に観光したり、ホテルや旅館でゆったりと過ごしたりしながらリフレッシュするという働き方です。

ワーケーション類型の定義

一般社団法人日本テレワーク協会が「ワーケーション類型の定義」という試案を作成されています。その内容は、下記のように記載されています。

【1】地域で働くワーケーション
地方ならではの環境で一定期間働くこと。事業創造、プログラム開発、企業合宿など場所を変えることで成果を高めることや、オフィスの移転先、移住先のお試しなどの利用用途も想定される。

【2】地方移転促進のワーケーション
企業などがより高い成果、従業員の確保や採用、地域ならではの協業、事業継続などそれぞれの目的で、オフィスを地方に設置ないしは分散すること、またはそのトライアル。

【3】移住・定住促進のワーケーション
移住や定住を希望する個人などが、二地域居住などを通じて、働きながら地方での生活の場を持つこと、ないしはそのトライアル。

【4】休暇取得促進のワーケーション
個人などが平日を含め長期休暇を取得できるよう、便宜的にテレワークを実施すること。

【1】【2】は企業や団体等向き
【1】【3】【4】は、個人事業主等、個人向き

引用:一般社団法人日本テレワーク協会「ワーケーションの定義」

上記の定義を見てみると、ワーケーションを企業が推奨することにより、生産性アップが見込めるだけでなく、社員の満足度アップにもつながり、人事採用においても優秀な人材を確保できる強いカードになるかもしれません。ワーケーションを活用して仕事に取り組むことにより、社員のストレスが軽減され、仕事のやる気や向上心にも作用し、充実した生活を送ることができるのではないでしょうか。

とはいえ、大手を振ってワーケーションを推奨している企業は、まだまだ少ないようです。そこでまずは、個人で、ワーケーションを提供している旅行代理店や鉄道会社等のサービスを利用して、ワーケーションを体験してみてはいかがでしょうか。

【1】JTBワーケーション

大手旅行代理店JTBのワーケーション専用ウェブサイトです。ワーケーションプランと題したホテルや旅館等を検索できます。宿泊施設によっては、ワーケーショングッズ貸し出し(外付けディスプレイ、テレビ会議用マイク、スピーカー、カメラ、ライト、クッション付き膝上デスク、延長コード、USBハブ)があるプランもあります。なお、「ネット予約限定」としているプランがあり、店舗や電話での予約ができないものもあるので、ご注意ください。

JTBワーケーション

【2】JREワーケーション

鉄道会社JR東日本のワーケーション専用ウェブサイトです。ウェブサイトには、ワーケーションを利用して過ごしているイメージ動画がありますので、その動画を見るとワーケーションで仕事をするイメージを感じ取れると思います。鉄道会社ならではとして、ワーケーションプランには、往復の新幹線等の交通がセットになっています。「往復JR+宿泊」、「往復JR+宿泊+現地オプション等」の2つの形式のプランが用意されています。

JREワーケーション

JTBもJR東日本も、どちらのウェブサイトにもモデルコースが掲載されていますので、ワーケーションのスケジュールを考える際に、ご参考になさってみてください。

旅行するときくらい仕事のことは忘れたいという人もいらっしゃると思いますが、旅行先に仕事を持っていくのではなく、仕事の環境をガラっと変えて、仕事が終了した後に旅行先として楽しむという気持ちで一度体験してみてはいかがでしょうか。新しい仕事の進め方や新しい時間の過ごし方を発見できるかもしれません。