「東京は物価が高いので、生活費が高い」または、「地方は物価が安いので、生活費が東京に比べてあまりかからない」と世間でよく言われていることは、本当なのでしょうか。

連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京から地方へ移り住んで感じたことを交えながらお伝えいたします。

意識して歩いていますか。

みなさんは、日々「歩く」ことを意識していますか?どちらかというと、「歩く」ことよりも「歩かない」ことを選択してしまう方が多いのではないでしょうか。

①駅のホームから改札口へ上る場合、エスカレーターと階段、どちらを使いますか?

②長く急な坂道が続いた先にある取引先への訪問の場合、タクシーを使わずに歩いていきますか?

③目的地は徒歩で20分と言われた場合、悪天候でも歩きますか?

上記の3つの質問に対して「全て歩いていく!」と言い切れない人が多いのではないでしょうか。

多くの人は、多忙な日常生活や長時間勤務などで疲労が溜まり、少しでも体を休めることができるように「歩かない」ことを選択しているのではないでしょうか。

厚生労働省の健康日本21目標値では、日常生活における歩数の目標は、男性は9,200歩以上、女性は8,300歩以上を掲げています。みなさんは、この目標値、どう思われますか?今回は、地域別に1日あたりの平均歩数を調べてみました。

都道府県別・平均歩数ランキング

下表は、都道府県別の平均歩数(歩数の平均値)になります。男性と女性に分かれており、年齢は男女ともに、20歳から64歳までを対象としています。

男性では、平均歩数の最も多い地域は、大阪府8,762歩/日、次に静岡県8,676歩/日、3番目に奈良県8,631歩/日となっています。

女性では、平均歩数の最も多い地域は、神奈川県7,795歩/日、次に京都府7,524歩/日、3番目に広島県7,357歩/日となっています。

男女によって、平均歩数の最も多い上位の地域が異なることは、興味深いデータです。逆に、平均歩数の最も少ない地域は、男女ともに高知県となっています。「男女ともに平均歩数が最も少ない地域は、高知県である」理由については、公的機関で根拠を示したような資料はありませんでした。

また、第22回のコラム(40歳になったら特定検診を受診しましょう)でも記載していますが、人口一人当たり国民医療費(平成27年度)は、高知県が最も多いという結果が出ています。つまり、「歩いたほうが、医療費はかからない」ということが数値として表れていることになります。

  • ※出典「平成28年(2016年)国民健康・栄養調査結果の概要」(厚生労働省)を加工して作成
    ※平成28年4月の熊本地震の影響により熊本県を除いている。
    ※都道府県別データを高い方から低い方に4区分に分け、色分けをして示している。なお、都道府県別データについては、差異がみられる小数点以下の桁数まで算出し、値が高い方から並べている。
    ※図の横軸誤差範囲については、割合または平均値の95%信頼区間を示している。
    95%信頼区間:同人数の標本を繰り返し抽出して調査を行った場合、95%の確率でこの範囲内の値をとる区間を示している。信頼区間の幅が狭いほど値の精度は高いといえる。
    ※年齢は、平成28年(2016年)11月1日 現在の年齢である。

終わりに

今回は、平均歩数について調べてみました。

平均歩数が最も多い地域でも、残念ながら、厚生労働省で掲げた歩数の目標値(男性9,200歩以上・女性8,300歩以上)には達していません。この結果を踏まえると、私も含めて多くの人は、「運動不足」なのかもしれません。

運動というと、スポーツジムで体を鍛えたり、マラソンをしたり、一気に汗を流すイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、近所を散策するのも1つの運動です。猛暑の日もだんだんと減るようですので、お気に入りのシューズを履いて歩いてみませんか?

高鷲佐織(たかわしさおり)

ファイナンシャル・プランナー(CFP 認定者)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/DCプランナー1級。

資格の学校TACにて、FP講師として、教材の作成・校閲、講義に従事している。過去問分析を通じて学習者が苦手とする分野での、理解しやすい教材作りを心がけて、FP技能検定3級から1級までの教材などの作成・校閲を行っている。また、並行して資産形成や年金などの個人のお金に関する相談を行っている。