前回のコラムでお伝えした「目指すキャリアの選択肢を知ること」については、いかがでしたでしょうか。今回は、自分にとっての「理想の働き方」について考えていきます。

ここ数カ月でテレワークや在宅勤務へのシフトが始まり、大きくワークスタイルが変動しています。このような状況下で、キャリアだけでなく「今後の働き方」について考え出している方も多いのではないでしょうか。

自分にとっての「理想」とは

目先だけではなく、5年後や10年後を見据えたときに、今の働き方を継続できるのかといった中長期を見据えた自身のワーク・ライフ・バランスを考えてみましょう。今の働き方を継続するのが現実的ではない場合、どんな働き方なら継続できるのでしょうか。

この「理想」については、ライフステージとともに変わっていくものでもあります。そのため、将来自身に起こりうるライフイベントを予測すると、ベストな生活モデルや雇用形態から磨いておくべき技能までが見えてくるはずです。

まずは自分に近しい年齢・立場や環境にいる人を参考にするのもいいでしょう。ただし、そこだけを軸に参考にするのではなく、近しいモデルケースの人が「どういう志向で仕事やプライベートの価値観を持ち、判断しているのか」という軸で参考にすることが重要です。立場や環境だけを参考にしてしまっても、その人の仕事とプライベートのプライオリティの考え方が異なるとミスマッチとなりかねません。

たとえば「仕事と自分の目標達成のために、柔軟に時間を使いながら遂行していく」ことにやりがいを感じる方もいれば、「仕事とプライベートは完全に分けたい。業務時間外はプライベートを最優先したい」という志向の方もいます。このように自分にとっての理想を考えるうえで、自身の価値観やプライオリティについて考えることが重要です。

理想の働き方の実現に向けて

自分にとっての「理想」が明確になってきたら、現状と理想のギャップを埋めるために、将来自身に起こりうるライフイベントを見据えながら考えていきます。

・現在は子育て中のため時短勤務だが、会社の制度であと◯年でフルタイム勤務に戻らないといけない。理想の働き方はフルタイムでも週数回は在宅勤務ができる環境で、これなら子育てとの両立もできるかもしれない

・現職はフルタイム勤務で残業や出張が多い。妊娠や出産を機に退職する女性が多い職場で、理想の働き方とキャリアアップの両立はできるのだろうか

・◯年後には夫の転勤があるが、帯同したらキャリアは継続できないかもしれない。定期的に住拠点が変わる将来を考えると、在宅でも仕事ができる異職種の勉強をしてキャリアチェンジの準備をしよう

このように自分の置かれている環境と、今後起こりうるライフイベントも想定して考えていくことが重要です。こちらについては、次回のコラムでもう少し詳しくお伝えします。

モデルケースを知る

各人によって「現在の職場や職種のまま実現できる」こともあれば、「転職やキャリアチェンジも視野にいれて実現すること」もあり、それぞれやるべきことは異なります。いずれにしても「理想の働き方」の実現には、自身の価値観やありたい姿と向き合い、そのために相当な努力が必要となるのは事実です。そうしたときに、前述の自分に適したモデルケースを知ることがヒントに繋がります。今の自身のスキルでは、これからどんな努力をするといいのか、どんな可能性があるのかーー。

多様性社会において、自身や家庭環境、また就業環境など異なる環境にいるなかで、誰もが同じロールモデルを目指すという時代ではなくなっています。すべてを真似るのではなく、自身のキャリアや生き方の参考になるようなモデルケースをたくさん知り、自身に置き換えたときに参考にしたい、目指したい側面を取り入れていくと良いでしょう。

これからのポストコロナ時代において、個の幸福度の最大化に繋がる理想の働き方は100人いたら100通りあるはずです。ぜひこの機会に自身の価値観と向き合い、理想の働き方について考えてみてはいかがでしょうか。

次回は、「キャリア女性が考えるべき5つのこと」の最後のテーマでもある「将来に訪れるかも知れない壁」について考えていきます。