グルメ番組でたびたび紹介される高級魚ノドグロ。プロテニスプレーヤーの錦織圭選手が帰国後、「ノドグロとかあったら食べたい」と語ったことで、さらに人気が高まったそうです。
「ノドグロは産地じゃないと食べられないイメージがあるけど、今では缶詰になって出ております。それも干物の缶詰なんですぞ!」
漁港内で製造
脂乗りがよく、「白身魚の大トロ」などと呼ばれている高級魚ノドグロ。日本海側や西日本が本場で、錦織圭選手が生まれた島根県も産地として有名であります。
その島根県の浜田漁港内で、地の利を生かして干物作りをしているのがシーライフという会社だ。2018年から缶詰事業も始めていて、この連載でも第231回で「今朝の浜」という缶詰を紹介している。
今回の「干物缶 のどぐろ・塩」は、同社の本業である干物を缶詰にした意欲作。干物のプロが手掛けたのだから、期待大であります。
塩分少なめ
ところで、干物を食べると塩分の摂りすぎになるんじゃないかと懸念する人もいる。試しにこの缶詰の栄養成分表示を確認してみよう。食塩相当量が100g当たり0.99gとある。
この缶詰の内容量は50gだから、単純計算すると約0.5gになる。1日当たりの摂取上限量が5~6gといわれているから、少なくともこの缶詰に関しては塩分は少ない。もっとも、醤油をかけて食べちゃうと台無しだけど。
脂が乗った匂い
いよいよ開缶! ひと口大にカットされた切り身が重なっていて、汁気がまったくない。もし水分に浸っていたら煮魚っぽくなってしまうから、干物らしさが失われないように工夫しているわけだ。
匂いも干物のそれに違いないが、それよりも脂がたっぷり乗っていると思わせる匂いがある。具体的にどんな匂いなのか説明できないんだけど、確かにそんな匂いがしている。
焼いてないけど焼いたよう
気にあったのが、皮目の様子だ。香ばしく焦がしたように見えるではないか。きっと直火で焼いてから缶に詰めたのだと思ったけど、シーライフの缶詰担当専務・河上さんは「焼いてません!」という。
「水分を可能な限り取りのぞき、焼いたような食感に仕上げました」
マジですか。何それ、すごい技術だ。
品のいい脂
かくのごとし。約1/2の量を皿にのせて、冷酒のアテにすることにした。湯せんで温めることもせず、薬味を添えることもせず、ただ缶を開けて盛りつけただけ。なんと楽チンなことよ。
ひと切れ頬張ると、身肉はしっかりとした舌触りがあり、かむたびにうま味をともなった脂が口中を浸していく。と同時に、香ばしい匂いが鼻から抜けていくが、そこに臭みがまったくない。
飲み込んだ後は、品のいい脂がいつまでも口に残る。そこを冷たい清酒で「すっ」と流してやる。ぜいたくなひと時が味わえますぞ。
缶詰情報
シーライフ/干物缶 のどぐろ・塩 50g 1,080円
同社の直販サイトで入手可。