缶詰博士によると、宮城県産の缶詰が今、盛り上がっているそうです。
宮城県というと牛たんや笹かまぼこなどのご当地グルメが思い浮かびますが、缶詰も製造していたとは知りませんでした。今回はそんな宮城県産の最新グルメ缶詰の紹介です。
高級路線に振り切り
宮城県(岩手県も含む)の沖合は、北方からやってくる冷たい海流・親潮と、南方からやってくる温かい海流・黒潮がぶつかるおかげで、両方の海流に乗ってくる魚が獲れる。非常に豊かな海域で、世界三大漁場と呼ばれているそうな。
何となれば、各漁港付近には缶詰工場がたくさんある。「木の屋石巻水産」(石巻市、石巻漁港)、「ミヤカン」(気仙沼市、気仙沼漁港)、「気仙沼ほてい」(気仙沼市、気仙沼漁港)、「魚市場キッチン」(南三陸町、志津川漁港)などなど、この連載でもお馴染みの缶詰メーカーがずらりと揃っております。
それらの水産系缶詰が豊富だったところに、近年は畜産系の缶詰も充実してきた。中でも「酒肴の蔵66(しゅこうのくら・ろくろく)」が扱う缶詰は、高級路線に振り切ったものばかり。昨年発売された「鴨コンフィ」もその一つで、お値段なんと1,814円。
はっきり申し上げて高い。だがしかし、ウマいのだ。
和テイストの予缶
さっそく参りましょう、開缶! あらかじめ湯せんで温めておいたので、フタを取った瞬缶(瞬間)から食欲をそそる匂いが立ち昇る。主ににんにくとしょう油の匂いであります。
でも、コンフィというのは脂で煮込んだフランス料理のはず。なのに思いっきり和テイストの予缶(予感)がしている。一番上には輪切りの大根まで乗っているじゃないか。
直火で炙ってある
大根をどけると、その下には鴨肉がたっぷり潜んでいた。思わず頬が緩んでくる。しかも鴨肉には焦げ目が付いている。直火で炙って香ばしく仕上げたのでありましょう。
ちなみに、大根の上に散らばる緑色の物体は山椒の実だ。
清酒に合う
鴨肉はあっさりとしたしょう油味で、脂っこくなく、どちらかといえば上品な煮物のよう。大根はとろとろに柔らかく、しょう油味が中まで沁みている。なので、トータルの味わいはワインよりも清酒に合うと思う。
ちびちびつまんで呑んでいるうちに、思いついた。これ、白ごはんに乗っけてもいいのではないか?
茶漬けにするのもアリ
かくのごとし。鴨コンフィ丼の缶成であります。
こうして食べると、鴨肉の味のあっさり度がよく分かる。脂で煮てあり、にんにくが1片丸ごと入り、山椒まで加わっているというのに、クドさや濃さがどこにもない。
逆に、大根のほうには味がしっかり沁みているので、鴨肉と大根を一緒に食べれば、白ごはんのおかずとしてちょうどいい。
この丼のイメージは、んー、あれです。ちょいといいお店で、ひと通り食べて呑んで、最後の〆に出てくる小丼。半分ほど食べてから、濃い緑茶をかけて茶漬けにするのもアリです。
缶詰情報
酒肴の蔵66/鴨コンフィ 100g 1,814円
同社のオンラインショップなどで購入可