皆様こんにちは、マネックス証券の益嶋です。「目指せ黒帯! 益嶋裕の日本株道場」第25回をお届けいたします。本コラムでは、「これから投資を始めたい」「投資を始めてみたけれどなかなかうまくいかない」といった方向けに、投資家としてレベルアップするための色々な知識をお伝えしていきます。今月もまずは最近のマーケット動向を簡単にご紹介します。
米中関係の改善が期待され日経平均は一時2万2,000円を回復!
この数年間、マーケットはずっと米中貿易摩擦に振り回されています。貿易交渉が進展しそうになると株高、交渉が停滞すると株安になります。ゴールデンウィークにトランプ大統領が中国への追加関税を表明すると2万2,000円を上回っていた日経平均が急落し、一時は2万円近くまで下落しました。
その後しばらく株価は低迷を続けていましたが、香港の逃亡犯条例撤回やトランプ大統領が米中交渉に融和的な姿勢を示したことなどが重なり、9月に入って日経平均は大きく上昇しました。日経平均は10連騰して2万2,000円を回復するなど、一気に市場は前向きな雰囲気となりました。
この原稿を書いている9月27日時点で日経平均は2万2,000円をやや割り込んでしまいましたが、依然としてマーケットの雰囲気はそれほど悪くありません。ただこれまで同様トランプ大統領が突如、対中姿勢を硬化する可能性ももちろんありますし、さらにトランプ大統領に対する弾劾問題が出るなど引き続き警戒が必要な局面と言えそうです。
過去10年、10月に9割の確率で上がった株とは?
さて、今月も本題に入っていきましょう。
投資の世界には「アノマリー」という言葉があります。アノマリーとは「理屈では説明できないがなぜかよくある事象」を指しています。例えば「クリスマス効果」や「掉尾の一振(とうびのいっしん)」といった言葉で知られる年末にかけて株高が起きやすい事象や、「セル・イン・メイ」という5月以降は株価が下がりやすいといった事象がアノマリーとして知られています。
これらの事象は基本的に理屈ではなかなか説明がつきませんが、投資の世界に身を置いていると本当によくある事象なのが実感できます。今回ご紹介するのもアノマリーに近い話なのですが、色々な銘柄で過去の10月の株価動向を調べていくと、なぜか10月に株価が非常に上昇しやすい銘柄もあります。今日はそんな銘柄をご紹介します。
過去10年間の個別銘柄ごとの月次リターンを集計してみました。過去10年間の株価データを取得できた2,237銘柄について9月末と10月末の株価を比較したところ、過去10年すべてで10月に上昇した銘柄はありませんでした。
しかし、10年のうち9年で上昇した銘柄が11銘柄ありました。もちろん今年も過去の傾向通りになるとは限りませんが、参考にしてみていただければと思います。比較的時価総額の大きい有名な銘柄が多く入っていますし、株価をウォッチしていただけると面白いかもしれません。
今月も最後までお読みいただきありがとうございました。それではまた次回!