コロナ禍では“密を防げる移動手段”としてバイクの人気が高まりました。新たに免許を取って乗る人だけでなく、若い頃に乗っていた中高年のリターンライダーもずいぶん増えたようです。
2022年のゴールデンウィークや夏休みは3年ぶりに行動制限のない連休となり、行楽地は多くの観光客で賑わいましたが、気兼ねすることなく遠距離のツーリングを楽しんだ方も多かったのではないでしょうか。感染状況によっては再び行動制限が求められる可能性もありますので、感染予防を心がけつつ、ツーリングを楽しみたいものですね。
連載で紹介している「1,000人のマイナビ会員ライダーがおすすめする各地のツーリングスポット」、今回は群馬編です。
【1】鬼押・万座ハイウェー
「浅間・白根・志賀さわやか街道」に属し、「嬬恋村」を縦走して長野県につながる自動車専用道路が「鬼押ハイウェー」と「万座ハイウェー」。「鬼押ハイウェー」は、西に標高2,568mの「浅間山」を見ながら走る直線基調の走りやすい道です。また、浅間山麓は1955年に国産車の性能向上を目的に行われたオートバイレース「浅間高原レース(浅間火山レース)」の開催地でした。つまり、高性能で世界を席巻した日本製オートバイの発祥の地といえる歴史名所ですが、現在は「浅間牧場」の敷地内にひっそりと跡地を残すのみになっています。
「鬼押ハイウェー」を北上すると、標高1,800mの「万座温泉」まで駆け上がる「万座ハイウェー」に入ります。それまでの直線とは打って変わり、山岳道らしく約60ものカーブを持つワインディングで、全長は20kmもあるのでコーナリングが大好きなライダーにはたまらないルートでしょう。「万座温泉」を「白根山」に向って東に進めば長野の「志賀高原」と「草津」をつなぐ国道292号線に合流します。ここを右に進めばさらに「草津」まで続くワインディングを楽しめますが、まずは左の「志賀高原」方面に向って標高2,172mの日本国道最高地点「渋峠」に立ち寄るのもおすすめです。
【2】金精峠
「金精峠」は群馬県北東部の「片品村」から栃木県の「中禅寺湖」や「日光」に抜ける国道120号線にある県境の峠です。ロードバイクのヒルクライムとしても人気のコースで、その標高は2,024mもあり、頂上のトンネル内は夏場でもひんやりとしています。周囲を「白根山」や「男体山」などの高山で囲まれており、全国屈指の透明度を誇る「菅沼」や「丸沼」の景色も抜群。湖畔にはキャンプ場や宿泊施設のほか、「日光白根山ロープウェイ」もあり、山頂駅では足湯も楽しめます。
「金精峠」や「丸沼高原」を南下して「片品村」まで戻り、国道401号から北上すると、国民的愛唱歌「夏の思い出」でもよく知られる「尾瀬国立公園」への道になります。「尾瀬」の大自然の美しさはいうまでもありませんが、過去には幾度も開発の危機にさらされ、多くの人たちの努力で自然の姿が保たれてきたという歴史があります。そのため、マイカーやバイクで立ち入ることはできませんが、トレッキングシューズに履き替えて日本屈指の湿原を散策してみてはいかがでしょうか。
【3】吹割の滝(吹割瀑)
「片品村」から国道120号線を10kmほど南下したところにあるのが沼田市の「吹割の滝」。ここは“東洋のナイアガラ”とも呼ばれる名勝で、日本の滝百選にも選ばれています。一般的に滝というと高い所から流れ落ちる姿を想像しますが、「吹割の滝」の高さは7mほどしかありません。しかし横幅は約30mもの長さがあり、まるで大地の裂け目のような滝つぼをもっています。これは岩盤の柔らかい部分が水に浸食されて形成されたという非常に珍しいものだそうですが、ここから荒々しく飛散する水しぶきの姿と音は迫力満点です。
「吹割の滝」の周辺には、高さ15mの「鱒飛の滝」や、ユニークな形をした「般若岩」、「獅子岩」のほか、川底の石が水流で回転して掘り下げられた「甌穴」などがあり、ダイナミックな渓谷の姿を十分に楽しめます。また、沼田市は名だたる戦国武将たちが争奪戦を繰り広げた土地でもあり、ここを治めた真田氏ゆかりの史跡や文化財も多く残されています。
そのほか、おすすめのツーリングスポット
群馬県には国内で有名な温泉が数多く存在します。県西部の「草津温泉」は兵庫の「有馬温泉」、岐阜県の「下呂温泉」とならび、日本三名泉のひとつに数えられる名湯で、自然湧出量は日本一。温泉街のシンボルでもある湯畑の景観は、夜間にはライトアップされて観光客をさらに楽しませてくれます。強酸性で殺菌力が高い草津の湯は『恋煩い以外は治す』といわれていましたが、最近では草津町と群馬大による研究で『新型コロナウイルスの不活性化に効果がある』という実験結果が発表されて話題になりました。
「伊香保温泉」のある渋川市は、トヨタ・ハチロクの人気を再沸騰させた某人気マンガの聖地として知られており、街中の風景が作品内でも見ることができます。主人公達のホームコースだったワインディング「秋名山」は「榛名山」。飛ばし過ぎには注意ですが、主人公がライバルと死闘を繰り広げた連続ヘアピンやダウンヒルを見に行くのも面白いのではないでしょうか。
まとめ
本州のちょうど真ん中に位置する群馬県には海がありませんが、そのかわりに県西・県北地域に2,000m級の山地や丘陵地をもっており、その面積は県土の3分の2を占めるといわれています。本州最大の湿原地「尾瀬国立公園」のほか、スキーや登山、紅葉見物など、ダイナミックな自然を満喫できる観光スポットは多数あり、これらの名所をつなぐ山岳道は、コーナリングが大好きなライダーにとっては充分に満足できるワインディングロードを構成しています。
また、「浅間山」、「草津白根山」、「日光白根山」、「赤城山」、「榛名山」という5つの活火山があるため、関東随一の温泉大国としても知られています。有名な「草津」や「伊香保」、「万座」、「水上」以外にも、四万」、「妙義」などの名湯がいくつもあり、首都圏からも約2時間ほどと近いため、ワインディングと温泉が大好きなライダーにとっては絶好のツーリングスポットといえるでしょう。
調査時期: 2022年4月7日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 1,000人
調査方法: インターネットログイン式アンケート