コロナ禍の2021年、密を防ぐ「通勤手段」や「レジャー」としてバイク人気が再燃しました。しかしその一方で、毎日のように事故のニュースも報じられています。バイクは爽快で手軽といえど、転倒や事故を起こせばクルマよりも大けがをする可能性が高い、ということも否定できません。
今回は、マイナビニュース会員に行ったアンケート結果から、会員達の「事故経験の有無」と「具体的な事故のエピソード」を紹介します。
事故の経験がある人はどのくらいいる?
Q.あなたはバイク事故にあった経験はありますか?
はい ―――48.5%
いいえ ―――51.5%
アンケート結果では、約半数のバイク乗りが何らかの事故を経験していました。個人の性格やライディングスキル、キャリア、毎日乗るのか、休日だけなのかといった利用状況によっても事故にあう確率は変化してきますが、“2人に1人は事故にあう確率がある”ということを常に意識しておきたいものです。
スピードの出し過ぎ、飛び出しなど、事故のケースはさまざま
停止時にバランスを崩す「立ちゴケ」程度なら笑い話で済むこともありますが、スピードが出ている乗った状態で転倒したり、ほかの車両や歩行者を巻き込んでしまうと非常に深刻なケースになります。具体的にどんな事故があったのでしょうか。
■曲がれない、操作をミスした! など
男性/41歳
カーブで曲がりきれなかった男性/47歳
スピードを出し過ぎてカーブで転倒した男性/50歳
初めてバイクに乗ったとき、ブレーキ操作を誤り、壁に突っ込んでしまったことがある男性/66歳
学生時代、野原で友達の原チャリを借りて運転練習中、調子に乗って転倒してしまいました男性/58歳
上司に借りたのですが、ギアチェンジの加速が予想以上で対向車線に持って行かれそうになり、無意識にハンドルを握りしめたらアクセルをひねってしまい、高速の橋桁に衝突
バイクの操縦でもっとも難しいのが「ブレーキ」と「コーナリング」。最適な速度まで減速して車体を傾けるテクニックが必要になります。これに失敗するとオーバーランし、対向車や障害物のある公道ではとても危険。また、アクセルやブレーキなども誤操作もパニックになりがちです。運転経験が浅かったり、別のバイクへの乗り換え時、慣れていない道を走る時などの場合、十分な注意が必要ですね。
■いつもと違う路面状況には要注意!
男性/63歳
雨でスリップして転倒した男性/56歳
路面凍結の上に砂が撒かれていて、その上を走って転倒男性/54歳
左折したときに横断歩道のラインに後輪が乗ってスリップ、転倒男性/69歳
路面電車のレールで転んだ女性/43歳
雨の日に工事で道路に鉄板が敷かれており、その上を通ったら転倒。顔面から突っ込んで顔が血まみれになった
バイクは二つのタイヤで路面と接していますが、その面積は名刺1~2枚分しかありません。一般的なタイヤはアスファルトをしっかりグリップする性能を持っていますが、雨や雪、マンホールや路面ペイント、砂利や落ち葉などの上では突発的にグリップが失われることも。いきなり「ズルッ!」と滑って慌ててしまい、急なハンドルやブレーキなどの誤った操作をするとさらに転倒リスクが増大します。悪天候時はもちろん、刻々と変わる走行ラインの状況をしっかり見極める必要がありますね。
■追突や交差点での事故
男性/51歳
前を走る車が急ブレーキをかけたので追突した男性/40歳
信号待ちで止まっていたら、後ろからトラックに衝突され10メートルくらい吹っ飛んだ男性/43歳
右折車とのサンキュー事故男性/48歳
左折車に気を取られて前方車に突っ込んだ男性/36歳
見通しの悪い交差点で出会いがしらに衝突したこと
事故の多くはほかの車両と交わる場所、つまり「交差点」で発生します。こちらが道路交通法を守っていても、ほかの車両を運転する人たちのすべてがそうとは限らないもの。また、バイクは車体が小さいため、死角に入って見落とされたり、距離感を間違われてしまうことも多いようです。バイクの事故でよく聞く「右直事故」は、右折しようとした対向車側の見落としによるものがほとんどですが、相手の過失割合が高かったとしても、バイクとライダー側は非常に大きなダメージを受けるリスクがあります。
■クルマだけではない、急な飛び出し
男性/58歳
急に自転車が出てきてぶつかった男性/38歳
急に動物が飛び出してきて衝突した男性/44歳
人をよけようとしたらガードレールに追突、転倒した男性/38歳
酔っ払いが急に飛び出してきたため、接触事故を起こしてしまった男性/59歳
横断歩道ではない場所で子供が飛び出して私は骨折、子供は膝をすりむいただけでした
公道ではさまざまな車両のほか、自転車や人も利用します。歩道が設けられている場所でも、小さな子供や自転車などが突然車道に飛び出してきてヒヤリとした経験はないでしょうか?物損事故とは違い、人身事故では刑事、行政、民事処分の対象になるリスクがあります。人の多い市街地では、スクールゾーンはもちろん、混雑する時間帯、見通しの悪い所、視界の悪くなる夕方から夜にかけても十分に気をつけなければなりませんね。
■そのほか、こんなことまで……!
男性/50歳
釣りに行った時に眠気がおそってきて海に落ちた!男性/27歳
後方で煽り運転を受け、ミラーを気にして前方不注意になり、路駐のトラックに追突した男性/67歳
突然の豪雨と雷に見舞われ、避難場所を探し走行したとき、近くに落雷して畑に飛ばされた男性/60歳
16歳で免許とりたての頃に右直事故にあったけど、相手がヤバい人たちだった。誰にも相談できずに一人で相手して怖かった思い出があります男性/52歳
下り坂で横から急に鳥が接近してきたので脇見をしてしまい、その時に大きな石のようなものを踏んでバランスを崩して転倒。鎖骨骨折などの大けがをして、バイクは廃車になった
転倒や衝突以外にもさまざまな事故のケースがあります。バイクは身体を使って操縦するのでクルマのような居眠り運転はしないと思われがちですが、寝不足や疲労が蓄積している場合、退屈な直線路などでウトウトすることも。また、後方や周辺を注意しすぎたり、ツーリング先で景色に見とれて前方不注意になってしまうことも少なくありません。何か危険を感じたら、先を急がずに休憩することも必要でしょう。
長く楽しくバイクに乗るためには「事故回避術」も重要
「事故の経験」は酒の肴として話されることもありますが、誰もが二度と経験したくないと思っているはず。中には大きなケガを負って、バイクどころか日常生活に支障が出たり、不幸にも命を落としてしまう人も少なくないからです。
バイクにはどうしても転倒のリスクがあります。低速で転んだだけなら擦り傷や打撲で済みますが、ほかの車両や構造物に衝突した場合は深刻なケースになるかもしれません。ライダーの身体は一番重要な頭部でも樹脂製のヘルメットでしか守られておらず、衝撃吸収パッドの入ったウェアでもすべてのダメージを防ぐことはできないからです。
事故は自分の運転ミス以外にも、相手の車両や歩行者、天候や路面状況など、様々な要因が重なって起きるケースがほとんどです。事故にあわないためには、道路交通法をきちんと守ることはもちろんですが、周囲の状況を確認し、早めに危険を察知するという経験則も重要になってきます。
長く楽しくバイクに乗り続けるためには、上手なライディングだけでなく、こういった「事故を未然に回避するテクニック」を身につけていくことも大事ですね。
次回は、幸いにも事故はまぬがれたものの、ヒヤリとさせられたエピソードを紹介します。
調査時期: 2021年9月3日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 1,009人
調査方法: インターネットログイン式アンケート