皆さん、お風呂は好きですか? 1日の終わりに温かい湯船に浸かれば、解放感とともに身体の芯からポカポカに。心もほぐれる、癒しのひとときですね。

最近は露天風呂やサウナがある、いわゆる「スーパー銭湯」も増えてきました。箱根、草津、別府など人気の温泉地も日本中に点在し、日本人は世界的に見てもトップクラスの風呂好き民族! でも、働き盛りの世代の方々は、忙しさにかまけて日々の入浴がおろそかになっていることも多いのでは……?

そこで、今一度「入浴」の価値を見直すべく、お風呂研究歴20年、のべ3万人超を調査した温泉療法専門医の早坂信哉氏に、その健康効果についてお話をうかがいました。

  • 入浴法に気を付ければ花粉症の症状をやわらげることもできる!?

    入浴法に気を付ければ花粉症の症状をやわらげることもできる!?

入浴の7大健康作用

「全世界、約200カ国の中でも、全国各地ほとんどの家にお風呂があり、毎日のように湯船に浸かる習慣がある国は日本だけです。その歴史も長く、入浴の健康効果は1000年以上も前から注目されてきました。週に7回入浴する高齢者は、週2回以下の方に比べて『要介護リスク』が約3割減少するという調査結果もあり、入浴は日本が長寿大国であることに一役買っていると考えられます。また、毎日お風呂に入る方々には、幸福度が高い人が多いという研究結果も出ています」と早坂氏。

そんな素晴らしい「お風呂」の効果は、大きく分けると7つの健康作用があるそうです。

1. 温熱作用
身体が温まって、血の巡りが良くなることで新陳代謝が活発に。入浴の代表的な健康効果。

2. 静水圧作用
湯船の中で水圧によって締め付けられることで、マッサージ効果が生まれ「むくみ」が解消!

3. 浮力作用
水の浮力で重力から解放され、体重が約10分の1に。関節や筋肉の緊張が緩んでリラックス!

4. 清浄作用
しっかりと全身をお湯に浸すことで毛穴が開き、汚れや皮脂が流れ出して全身くまなく綺麗に。

5. 蒸気作用
鼻や喉の粘膜にとって、乾燥は大敵。浴室内で深呼吸して蒸気を吸い込めば免疫力もアップ!

6. 粘性・抵抗性作用
水の抵抗によって、湯船の中では陸上の3~4倍に負荷が増加。これを利用すれば手軽に運動療法的効果を得ることも可能に。

7. 開放・密室作用
衣服を身に着けないことで心も身体も開放的になり、究極のリラックス効果が期待できる。

さらに、これらの健康効果をうまく活用すれば、さまざまな身体の不調を改善することも可能なのです。今回は、国民病とも言われる「花粉症」の症状を軽くする入浴法をチェックしましょう!

花粉症に効く入浴法

帰宅したらすぐに入浴を
花粉症対策の基本は、アレルゲンの除去です。帰宅したらすぐにお風呂で髪や顔に付着した花粉を取り除きましょう。決して花粉を布団に持ち込まないように。

お湯は熱くしすぎない
注意したいのは湯船の温度。42℃を超えるお湯で入浴すると、アレルギー症状を悪化させる「ヒスタミン」という物質が生まれてしまいます。

湯気をたっぷり吸い込む
入浴で血行を良くして、温かな湯気を吸い込めば、気管の異物を排出させる繊毛運動が活性化し、鼻づまりをやわらげてくれます。

普段は意識していないかもしれませんが、お風呂の温度はたった1℃の違いで効果が変わるのだそう。お風呂に温度調節機能がない場合は、お風呂用の「湯温計」を活用してみましょう。

次回は、「寝ても取れない疲れ」を解消する入浴法をご紹介します。

監修者

早坂信哉 (はやさか しんや)

東京都市大学人間科学部教授、医師、博士(医学)、温泉療法専門医。
お風呂を医学的に研究している第一人者。「世界一受けたい授業」「チコちゃんに叱られる!」など多数のメディアに出演。著書に『たった1℃が体を変える ほんとうに健康になる入浴法』(KADOKAWA)、『入浴検定公式テキスト』(日本入浴協会)、『最高の入浴法 ~お風呂研究20年、3万人を調査した医師が考案』(大和書房)など。