ストレスフリー? な「シストレ」

最近よく「シストレ」という言葉を聞くようになってきたのは、多種多様な投資手法がある中で、システムトレードの有効性が個人投資家の間でも認められるようになってきたからだと思う。

「シストレ」とはシステムトレードの略で、「売買条件(ルール)を組み合わせてコンピューターでシステムを構築し、そのシステムに従って機械的(自動的)にトレードを行うこと」を言う。つまり買い時、売り時のサインを出すシステムを作り、その通りに売買するということ。その定義は分かったとしても、パソコンそんなに得意じゃないし、大体なんか複雑で難しいそう、と引き気味になってしまうのは私だけではないだろう。

いくら身近になってきた感がある「シストレ」でも、まだ大半の人が、個人の相場観に従ってトレードを行うディスクレッショナリー(自己裁量)トレードを行っている。しかし、投資の世界では柔軟かつオープンマインドな姿勢が収益チャンスを拡大してくれる。今まで、自分の勘や判断だけで良い成績を上げられなかった人も「シストレ」を考えてよいかもしれない。だったら、ちょっと勉強してみるか「シストレ」。

「シストレ」の最大の特徴は、なんといってもトレードストレスからの「解放」という点にあると思う。相場観を一切持たずにトレードできるため、相場観が原因となる精神的な圧迫から解放される。よく有り勝ちな、利食いや損切りのタイミングで悩んだ挙句、後でいずれにしろ多かれ少なかれ後悔することからも解放される。

「シストレ」は安定的リターンを目指す

「シストレ」の根っこに有る考え方は、次のトレードでいかに収益を上げるかではなく、結果の統計値(トレードを数多く重ねた結果の損益の通算値)を最大かつ安定させることで、大きく儲けるよりも、長期的に安定的なリターンを上げることを目的とする。トレードをルール化して、毎回同じスタイルや条件で一貫性を持たせて実行するのはそのためだ。以下、「シストレ」の主なメリット:

■システムトレードの主なメリット

  1. 恣意的な判断の排除で、精神的な圧迫から解放され、トレードに一貫性を持たせられる。
  2. 過去のデータで優位性を検証したシステムなので利益が上げられる可能性が高い。
  3. トレードに関わる時間(売買判断も含め)を短縮できる。

「シストレ」も万能ではない

世の中に完璧な投資手法がない以上、「シストレ」にも欠点はある。まず、コンピューターが運用するとは言え、要となる「売買プログラム」の部分は人間が設定した売買ルールが基本となるため、ここでは人間的な判断が必要になるし、このことが成績の良し悪しに大きく影響してくる。また「シストレ」のトレード自体を続けるかどうかも人間の判断になるので、心理的な影響を全く受けないわけではない。

また、思ったようにシステムが機能してくれない時や負けが続いた時に、どこまで耐えられるかといった問題が起こる。システムの出すサインどおりに売買しても、あまり成績が芳しくない時があって止めてしまったり、自分の相場観ではこれから上昇局面だと思っていてもシステムが売りのサインを出すこともあり、そういう時にサインを無視して自分の判断で売買してしまったら、そもそも「シストレ」をする意味がなくなってしまう。

ルールに従うことが、自分の意思を殺すという非人間的な行為であるため、ルール通りに売買することは、実は心理的に大変難しいことなのかもしれないが、「シストレ」ではあくまでも、ルールに従うことが勝つための鉄則である。また、長期で安定的な利益を出すことが目的である以上、ひとつのシステムを使い始めたら、1年程度は様子を見てみなくてはそのシステムの有効性の確証が得られない。以下、「シストレ」の主なデメリット :

■システムトレードの主なデメリット

  1. 「シストレ」自体を続けられるかどうか。(心理的影響を全く受けないわけではない)
  2. 過去に無い相場やめったに発生しない局面でのリスクに脆弱。
  3. システム構築時の不備に気づかないまま運用し損失が出る可能性。

「完全自動売買ツール」を利用する

基本的に「シストレ」の売買プログラムは、ローソク足、移動平均線、MACD、 RSIといったテクニカル分析を元に作られる。「シストレ」をやっている人に訊いてみると、それほど高度なパソコンや数学の知識がなくても作成できると言うが、一からシステムを作り上げることに自信のない人や面倒くさがりやの人には、完全自動売買ツールを使うという手もある。最近話題となっている、FXCMが提供しているシステムトレードツール「らくちん FX」は売買のサインを出すだけでなく、売買までしてくれる。次回はこの「らくちん FX」をデモトレードしてその使い勝手をレポートしたい。果たして「らくちんFX」は本当にらくちんなのか、そしてその戦績はいかに?