KOBAMETALが語るMETALVERSEの進化──BABYMETALとの関係、次世代を世界へ

2023年、BABYMETALのライブに「別の時空から現れた存在」として登場したMETALVERSE。現在はMIKO、SAKIA、COCONAの3人を中心に活動し、メタル、J-POP、K-POPなど多様な音楽やカルチャーを融合させながら、独自の世界観を追求するマルチバース・プロジェクトだ。その仕掛け人は、BABYMETALのプロデューサーとして15年以上にわたり、その音楽と世界観を築いてきたKOBAMETAL。10月23日には、アニメーション映画『GROTESQQQUE-グロテスク-』のオープニングテーマとなる新曲「Shoot Shoot Shoot」をリリースした。

「メロディが麺、アレンジがスープ」という独自の制作哲学、新曲誕生の意外な舞台裏、BABYMETALとは「姉妹」よりも「親戚」という関係、そして次世代の女性ミュージシャンを世界へ送り出したいという使命感まで。KOBAMETALが語る、METALVERSEの現在地とその先に描く未来。

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METALVERSEの成長と、2026年に起きた変化

―9月のSpotify O-EAST公演を観させていただきましたが、豊洲PIT公演や以前のO-EAST公演と比べて、メンバー3人のステージ運びが格段に上手くなったと感じました。フェスや対バンなどで場数を踏んできた成果なのかなと思ったのですが、KOBAMETALさん自身は、彼女たちの成長をどのように見ていますか?

KOBAMETAL:METALVERSEの出発点は、2023年1月のBABYMETALの幕張メッセ公演です。当時はまだMETALVERSEと名乗っておらず、別の時空から現れた謎の存在として登場しました。その後、4月のぴあアリーナMM公演を経て、同年のSUMMER SONICで初めて単独のステージに立ち、Spotify O-EASTでのワンマンや豊洲PIT公演へとつながっていきました。ただ、もともとマルチバースをコンセプトに掲げ、メンバー編成や演出も公演ごとに変えてきたので、2025年までは一回一回のショーが独立しているような活動だったんです。それが2026年に入って、今の3人を中心に継続的に活動する形になった。今年は夏フェスや対バンなどでライブを重ねるなかで、3人の結束が強まっただけでなく、一人ひとりの責任感やプロ意識も高まったと感じています。単に歌やダンスを披露するだけではなく、楽曲をどう表現し、目の前のお客さんをどう巻き込むか。そこを大きなテーマにしてきたので、今年の夏を通じて大きく成長したと思います。

―観客の煽り方、表情や視線の使い方など、細かい部分でも成長を感じました。

KOBAMETAL:今年に入って大きく変わったのは、一回ごとに完結していたショーが、連続したストーリーになったことだと思います。以前はSUMMER SONICやBABYMETALのステージなど、どちらかというとよその舞台にお邪魔する感覚だったと思うんです。でも今はワンマンライブを重ねるなかで、自分たちを応援してくれるお客さんの存在を実感できるようになった。それが自信につながって、「自分たちがお客さんを引っ張っていこう」という意識も生まれてきたんだと思います。

それに、今回の「Shoot Shoot Shoot」以前に配信されていた曲は「GIZA」と「OMIKUJI」の2曲だけで、ライブで披露している十数曲のほとんどは未発表曲なんです。自分たちのワンマンなのに、お客さんが知らない曲が半数以上を占めている。9月の公演でも新曲をさらに2曲披露しましたが、初めて聴くお客さんをどう盛り上げるかというのは、かなりのスキルが求められると思うんです。でも彼女たちは、そういう状況でも「絶対につかんでやろう」という気持ちで臨んでいる。以前よりもずっとモチベーションが高まっているのを感じました。

―LuckyFesやSUMMER SONIC、対バンイベントの『VERSE BY VERSE』など、ワンマン公演とは違うステージを数多く経験させることにも、KOBAMETALさんの意図があったのでしょうか?

KOBAMETAL:そうですね。ホームはホームで、応援してくれる方がほぼ100%という環境のなかで、どうライブを作っていくかということがあります。ただ、フェスになると全然違いますよね。初めて観るお客さんから自分たちのファンまで、本当にいろいろな方がいる。戦い方が違うんです。しかも持ち時間も短い。そのなかで、何十、何百というアーティストが出演するなか、どうやってインパクトを残していくのか。そこはすごく大切だと思っています。逆に、そういうぶっつけ本番のような環境ですごく鍛えられるんです。ワタクシ自身、BABYMETALをやってきたなかでも、フェスは本人たちが鍛えられる場所だと感じていたので、METALVERSEにもぜひチャレンジしてほしいと思っていました。

―以前、METALVERSEの3人はまだ自分たちの武器を探しているという話をしてくれましたが、SUMMER SONICや9月のワンマン公演を経た今、プロデューサーとして、3人が揃うことで生まれる個性をどう捉えていますか?

KOBAMETAL:彼女たちは2000年代生まれで、BABYMETALとは育ってきた時代も、触れてきた音楽やカルチャーも違う世代なんです。J-POPもK-POPもロックも、さまざまな音楽やカルチャーに自然に触れてきた。そういうハイブリッドな感覚こそ、今の3人の強みだと思うんですね。TikTokでも海外から多くの反応をいただいていますが、これからは、そうした幅広い感性をMETALVERSEならではの音楽やパフォーマンスにつなげていきたいと思っています。だからMETALVERSEも、特定のジャンルに絞るのではなく、音楽だけでなく映像やアートも含めて、いろいろな表現を融合させていきたい。それがマルチバース・プロジェクトの肝でもあります。新しい可能性を探るためには、既成概念や、我々がこれまで作ってきたものを一度壊してみることも必要だと思うんです。彼女たちは、そういうチャレンジにすごくフィットした3人なんじゃないでしょうか。

「Shoot Shoot Shoot」の制作秘話と、音楽性の広がり

―今回の「Shoot Shoot Shoot」は、まさにそういうスタンスを象徴する楽曲なのかなと思います。これまでに配信された「GIZA」「OMIKUJI」のソリッドでダークな印象とは違って、かなりポップでキャッチーな曲ですよね。アニメーション映画のオープニングテーマという側面もありますが、まず音楽的には、どんなものを作ろうと考えていたのでしょうか?

KOBAMETAL:今回はアニメサイドからのリクエストもありましたし、ワタクシ自身も作品を観て、どんな音楽が合うのかイメージが湧いたんです。主人公はMETALVERSEの3人と世代の近い女の子たちなので、彼女たち自身が映画の中に登場するような曲になればいいなと思って選びました。サウンド面では、「GIZA」や「OMIKUJI」とは違って、昔のファンクメタルが一つのヒントになっています。例えばエクストリームの「Get the Funk Out」のような、ファンキーなリフを取り入れたハードロック。日本でいえば、B'zの一部の楽曲にも近いかもしれません。そうしたアメリカン・ハードロック的なアプローチと、最近の歌い手さん系やネット発の音楽を融合させることを意識しました。

―なるほど。エクストリーム的なファンキーなギターのフィーリングと言われると、確かにそうだなと思います。一方で、何も考えずにフラットに聴いた時には、純粋にキャッチーなアイドルソングとしても楽しめる曲だと思いました。一緒に振り付けを楽しめるような、ハロー!プロジェクトの楽曲にも通じるエッセンスを個人的には感じました。

KOBAMETAL:実は、そこはあまり意識していなかったんです。ただ、METALVERSEもBABYMETALもそうですけど、ワタクシはJ-POP的なメロディをすごく大切にしているので、無意識にそういう要素が入っているのかもしれません。最近のラウドミュージックやネット発の音楽には、複雑なコード進行や難しい譜割りを使った曲も多いですよね。もちろん、そういう音楽も好きなんですけど、ワタクシ自身はいい意味で「ベタな曲」のほうがしっくりくるんです。音楽を世の中に広めていくうえで、ポピュラリティはすごく大切だと思っていて。BABYMETALが海外に広がっていったのも、メロディの力が大きかったんじゃないかと感じています。ワタクシはよく楽曲をラーメンに例えるんですけど、メロディが麺で、アレンジがスープなんです。醤油、豚骨、味噌といろいろな味があっても、麺がしっかりしていないと美味しくならない。音楽も同じで、どんなにヘヴィでもポップでも、軸となるメロディにしっかりした歯応えや噛み応えがあることを意識しています。

―すごくわかりやすい例えですね。今回の楽曲のクレジットには、作詞にLEE LABさんとMICさん、作曲にLEE LABさん、編曲にtatsuoさんのお名前があります。どんなプロセスを経て完成した曲なのでしょうか?

KOBAMETAL:METALVERSEの楽曲は基本的にコンペ形式で、こちらからテーマを提示して曲を集めているんです。実は今回の曲には、20年以上前の縁が関わっていて。ワタクシがこの仕事を始めて間もない頃、インディーズ時代に携わっていたバンドのギタリストがいたんです。ある日、タイ料理屋さんで食事をしていたら「KOBAMETALさんですよね?」と声をかけられて。最初は???って感じだったんですが、なんとその彼だったんです(笑)。そこで久しぶりに再会して、今では著名なアーティストに楽曲を提供するクリエイターが所属する作家事務所を運営していて、驚きました。そこで「今、BABYMETALも含めて新しいことをやっているので、ぜひ参加してもらえませんか」と声をかけたことが、「Shoot Shoot Shoot」のクリエイターさんや制作につながったんです。昔は彼もまだ大学生くらいで、ワタクシも若かった。20年以上前の縁がこうして新しい曲につながるなんて、人生どうなるかわからないですよね(笑)。

―いい話ですね。

KOBAMETAL:めちゃくちゃそう思います。彼の事務所には、彼自身もクリエイターですし、誰もが知っているようなJ-POPソングを多数手がけたクリエイターもいるんですよ。本当に「こんなにすごいことになっていたんだ!」という感じで(笑)。

―そういう昔からのご縁があるということは、今回は楽曲に対するフィードバックや、「こういう曲にしたい」という意図も伝えやすかったのでしょうか?

KOBAMETAL:さっきのラーメンの例えでいうと、麺となるメロディは彼のチームから提供してもらい、スープにあたるアレンジをtatsuoさんにお願いしました。tatsuoさんはBABYMETALやゴールデンボンバー、仮面ライダー関連の楽曲など幅広く手がけていて、メタルやプログレにも精通している方です。ギターもベースも弾けるので、METALVERSEでも以前からアレンジをお願いしています。もともとのデモは日本のガールズグループやJ-POPのような、ダンスミュージック寄りの曲だったんです。それをtatsuoさんと相談して、「今回はエクストリームのようなファンクメタルのアプローチを試してみよう」と。ベースをスラップ奏法に変えたり、ギターのアプローチを見直したりして、よりバンド感のあるサウンドに仕上げていきました。

―そう考えると、麺の部分の製法も、これまでとはかなり違うというか。あえてBABYMETALと比較するなら、METALVERSEはまた別の作り方でできた麺ということになりますよね。

KOBAMETAL:そうですね。BABYMETALも、いい意味でベタなメロディが多いので、違いが出るのはどちらかというとスープ、つまりアレンジの部分だと思います。もちろん、作家陣が重なることもあって、例えば「GIZA」には、最近ですとM!LKの「イイじゃん」などを手掛けた岡嶋かな多さんと、BABYMETALやmiletさんなどを手掛けるMEGさんが参加しています。いろいろな分野で活躍するクリエイターの方々と一緒に、曲ごとにアプローチをガラッと変えていく。「こうでなければいけない」と決めつけないのが、METALVERSEというマルチバース・プロジェクトの面白さだと思います。

―KOBAMETALさんのなかでは、BABYMETALとMETALVERSEを切り離して考えるというよりも、マルチバース的な発想を体現するために、いろいろなやり方で世界観を表現しているということでしょうか?

KOBAMETAL:BABYMETALはメタルを軸に、さまざまなサブジャンルやカルチャーを融合させてきたプロジェクトで、結果として「カワイイメタル」という独自のジャンルを生み出したと思います。一方、METALVERSEは最初からジャンルやフォーマットを決めていないんです。曲によってはギターが入っておらず、ほとんどエレクトロのトラックでできているものもある。それをライブではバンドアレンジで演奏しているので、まだ音源化されていない曲については、お客さんも本来のアレンジを知らないんですよね。今後リリースが進めば、その「答え合わせ」も始まると思います。METALVERSEはBABYMETALと同じことをする必要もなければ、違うことをするためだけに存在しているわけでもない。その時々で自由に形を変え、進化していくプロジェクトなんです。

―「Shoot Shoot Shoot」の歌詞についても聞かせてください。映画『GROTESQQQUE-グロテスク-』を観てイメージが膨らんだというお話でしたが、歌詞に関してKOBAMETALさんから具体的にオーダーしたことはありましたか?

KOBAMETAL:そうですね。映画の内容も踏まえて、多少、作品に寄り添うような形で調整していただいたところはあります。ただ、基本的にはコンペで上がってきた時のものが、かなりベースになっていると思います。それぐらいピタッとハマったという印象ですね。

―SF的な言葉も散りばめられていますし、恋愛感情を描くチャーミングな一面もある。映画のキャラクターやストーリーともうまく結びついているということですよね。

KOBAMETAL:そうですね。ワタクシ自身、アニメなどの作品が先にあって、それをお題に楽曲を作るということは、あまりやってこなかったんです。今回に関しては、BABYMETALでも今まであまりやってこなかったような楽曲の作り方だったので、ワタクシにとってもすごく新しいチャレンジでした。いろいろと楽しい経験をさせていただいたなと思っています。

―ちなみに「Shoot Shoot Shoot」は、5月のO-EAST公演ですでに披露されていましたよね。9月のO-EAST公演ではオープニング曲になっていましたが、その間にもライブやリハーサルを重ねています。振り付けやアレンジを変えながら育ててきた部分はありますか?

KOBAMETAL:そうですね。5月に初披露した時は、アンコールというか、ライブの最後の曲として演奏しました。そこから夏フェスに向けて、振り付けやダンスの動き、お客さんに対する煽り方やアプローチなども変わっていったんです。そこは日々進化していますね。5月に最初に披露した時、夏フェスで披露した時、そして一番最近の9月に披露した時と、すでに三段階でいろいろなアレンジや見せ方が変わっている状況です。

―楽曲を正式にリリースする前からライブで披露して、ブラッシュアップしていくというのは、BABYMETALともまた違うスタイルですよね。

KOBAMETAL:まだ音源化されていない曲も、ライブではすでに何曲か演奏しています。リリースしようと思えばできる状態なんですけど、ライブを重ねるなかで「こっちのほうがいいね」とアレンジが変わることもある。そうして最終的な形が固まってから音源として発表するケースもあるんです。今年は今の3人でかなりライブの経験を積んできましたし、そろそろ機が熟して、そうした楽曲の「答え合わせ」が始まるのかなと思っています。

―ということは、KOBAMETALさんのなかでは中長期的なビジョンもあるということですよね。これから答え合わせが始まる、というお話も含めて。

KOBAMETAL:そうですね。来年以降も含めて、どういう形で展開させていこうかということは、いろいろ考えています。今発表されているライブは2027年2月の公演までですけど、その先も含めて考えているところですね。

METALVERSE VΛND PROJECTと、次世代への継承

―METALVERSE VΛND PROJECTについても聞かせてください。これまではASTERISMとの共演など、演奏陣を変えながらライブを行ってきましたが、今回は新世代の女性ミュージシャンを集めたバンド・プロジェクトという形になりました。その背景には、どんな考えがあったのでしょうか?

KOBAMETAL:METALVERSEが次世代のメンバーで構成されていることも大きいですが、ワタクシ自身、KOBAMETALとして活動してきたなかで、一つの使命感を抱くようになったんです。BABYMETALも15年以上活動を続けるなかで、海外の大きなステージに立てるようになりました。同じように、日本から世界へ挑戦するガールズバンドやメタル系アーティストも増えてきています。そうした流れをさらに次の世代へつなぎ、K-POPとはまた違う、日本ならではの新しい音楽やカルチャーを世界に発信していきたいという思いがあります。それはBABYMETALやMETALVERSEだけの話ではありません。日本には素晴らしい才能がたくさんいるので、ワタクシにできることがあればサポートして、世界に広めていきたい。その思いが、今回のバンド・プロジェクトにつながっています。

―9月のO-EAST公演では、KOIAIのバンドメンバーが演奏を担当していました。テクニカルなのはもちろんですが、ファンキーなグルーヴやメロディアスなフレーズもあって、演奏そのものに強い存在感があると感じました。KOBAMETALさんは、ライブバンドに演奏技術以外の部分で何を求めていますか?

KOBAMETAL:BABYMETALの場合は、屈強なメタルミュージシャンからなる神バンドを従えて3人が戦う、いわばジャンヌ・ダルクのようなコンセプトなんです。一方、METALVERSEはメタルもJ-POPもK-POPも融合させる、マルチバース的な世界観を大切にしています。今演奏していただいているKOIAIの皆さんは、テクニックが素晴らしいだけでなく、ビジュアルも華やかで、ステージ全体に華がある。METALVERSEのポップでキャッチーな魅力とも、音楽的にも視覚的にもすごくフィットしていると思います。

―実際にライブのバックステージやリハーサルでは、KOIAIのメンバーとMETALVERSEの3人が交流して、演奏やパフォーマンスについて意見を交換することもあるんでしょうか?

KOBAMETAL:まだ深い音楽的なやり取りは多くないんですけど、バンドメンバーから「この曲のエンディングはこうしたほうがいい」といった提案をいただくことはあります。そもそもMETALVERSEの未発表曲には、原曲がエレクトロ寄りのものも多いんです。「OMIKUJI」も打ち込みが中心ですが、ライブではKOIAIの皆さんが生演奏によるバンドアレンジに仕上げている。ペンデュラムやEnter Shikari、BOOM BOOM SATELLITESにも通じる、エレクトロとバンドが融合した独特のグルーヴが生まれるんですよね。9月に披露した新曲にも、もともとは打ち込み主体のドラムンベースのような曲があって、生演奏にすると人力ドラムンベースのように「こんなに印象が変わるんだ」と驚きました。ワタクシ自身、リハーサルのたびに新しい発見がありますし、そこが今のVΛND PROJECTの面白さだと思います。

―METALVERSEの3人にとっても、ここまで本格的に生バンドと一緒にライブをする経験は、大きな刺激になっていそうですね。

KOBAMETAL:打ち込みにも生バンドにも、それぞれ良さがありますが、ライブでは後ろから響く生演奏の音圧が、3人にとって大きな刺激になっているようです。本人たちもそう話していましたし、トラックに合わせてパフォーマンスする時とは違って、生バンドと一緒だとテンションが上がるみたいですね。

―次の世代への継承というお話もありましたが、若い女性ミュージシャンたちを起用したバンド編成も含めて、BABYMETALが神バンドを従えてパフォーマンスするのとは、また違う意味合いのバンド感が生まれているように思います。今まさに成長している姿が見えるというか、より等身大の魅力が伝わってくる気がします。

KOBAMETAL:BABYMETALはファンタジー的な要素が強いですが、METALVERSEはそうした世界観を持ちながら、現実の音楽シーンともつながっていくプロジェクトだと思っています。ガールズバンドやガールズグループも含めて、日本のエンターテインメントをもっと世界に届けていきたいですね。

―ちなみに、BABYMETALの振り付けはMIKIKO先生が担当されていますが、METALVERSEの場合はどなたが担当されているのでしょうか?

KOBAMETAL:実はこれも、マルチバースというコンセプトにつながるんですけど、一曲ごとに振り付けがバラバラなんですよ。MIKIKO先生が振り付けを担当した曲も1曲あるんですけど、それ以外は全部別の方が担当しています。そこもBABYMETALとはまた違う要素ですね。振付師の方々も、MIKIKO先生に影響を受けた、新しい世代のクリエイターが携わってくださっているんです。

―そう考えると、新しい才能を積極的に起用していこうという姿勢が、プロジェクト全体にあるんですね。

KOBAMETAL:ワタクシ自身、メタルが大好きですし、レジェンドたちの音楽を否定するつもりはまったくありません。ただ、ものづくりでは常に新しいことに挑戦していたいんです。メタルには、アイアン・メイデンやDragonForceのように、ファンが期待する「お約束」を大切にする魅力もあります。予想どおりの展開に「来た、来た!」と盛り上がる、プロレスにも似た阿吽の呼吸ですよね。BABYMETALにも、意識的にそういう要素を取り入れています。コンセプトやキャラクターとして守るべき軸を持ちながら、ときにはお客さんの予想を裏切る大胆な挑戦もする。そのバランスを常に大切にしています。

―今回のシングルの初回限定盤には、「Guitar less ver.」「Bass less ver.」「Drum less ver.」が収録されています。単なるカラオケ音源ではなく、それぞれの楽器のパートを抜いたバージョンを用意するのは、実際に楽器を演奏するファンにも楽しんでほしいという意図があるのでしょうか?

KOBAMETAL:そうですね。レーベルさんからご提案いただいたアイデアでもあるんですけど、いわゆる「弾いてみた」文化のようなものも含めて、ぜひチャレンジしていただきたいという気持ちがあります。簡単に演奏できるような楽曲ではないかもしれませんけど、例えば学校の軽音楽部で演奏していただいたり、そういう使い方もしてもらえたら嬉しいですね。そういう思いも込められています。

BABYMETALとの関係、「HUMAN SHIFT」が意味するもの

―METALVERSEは一般的にはBABYMETALの妹分という捉え方もあると思うのですが、その点はどう考えていますか?

KOBAMETAL:BABYMETALとMETALVERSEは、つながっているようで、また別の存在なんです。マルチバースという世界観のなかで、いつかまた両者が遭遇する可能性はあります。ただ、常に一緒に活動するわけではなく、それぞれが自分たちの道を切り開いていく。それが基本的なスタンスですね。オフィシャルではMETALVERSEをBABYMETALの「妹分」とは呼んでいないんです。例えばヒーロー作品のように、もっと大きな世界観の中にそれぞれ異なるヒーローがいて、時には『アベンジャーズ』のように共演することもある。BABYMETALとMETALVERSEもそんな関係で、今後はまた別のヒーローが登場する可能性もあります。だから、姉妹というよりは「親戚」に近い感覚ですね。

―2027年2月には『METALVERSE #5 – HUMAN SHIFT』というタイトルで、次のワンマンライブが予定されています。今年は『GARDEN OF EDEN』から『RE:VERSE』へと展開してきましたが、次の「HUMAN SHIFT」というタイトルも、新たな変化を示す言葉なのでしょうか? 種明かしになる部分もあると思うので、お話しできる範囲で構いません。

KOBAMETAL:今はAIをはじめ、さまざまなテクノロジーが注目される時代ですよね。METALVERSEも世界観やサウンドはどちらかというとデジタル寄りですが、だからこそ、生身の人間がパフォーマンスすることで生まれるミラクルや、人間臭さをどう表現できるのか。そこに挑戦してみたいという思いから、次の公演を「HUMAN SHIFT」と名付けました。

―そうしたコンセプトの作り方についても、BABYMETALとMETALVERSEでは違いがありますか? METALVERSEのほうがフットワーク軽く、臨機応変にいろいろなことを試している感覚なのでしょうか?

KOBAMETAL:BABYMETALは15周年を迎えて、今ではもう彼女たち自身がBABYMETALになってきて。以前は音楽やコンセプトについてワタクシが代弁することも多かったですが、最近は何も言わなくても、ワタクシが考えていることを自分たちの言葉で語ってくれる。まさに以心伝心で、それだけの経験と努力を積み重ねてきたんだと思います。一方、METALVERSEは、まだ自分たちの音楽やスタイルを作り上げている段階です。今はプロデューサーとしてコンセプトを伝える役割も担っていますが、ワンマンライブや夏フェス、ガールズバンドとの共演など、彼女たち自身もさまざまな経験を重ねてきました。そうした経験を通じて、これからは彼女たち自身の言葉でMETALVERSEの魅力を語れるようになってほしいと思っています。

METALVERSE

ニューシングル「Shoot Shoot Shoot」

配信中

11月4日(水)CD発売

映画『GROTESQQQUE-グロテスク-』オープニングテーマ

完全生産限定盤:6,600円(税込)/KSCL-3683〜4

12インチ紙ジャケット仕様、Tシャツ付き

収録曲:

1. Shoot Shoot Shoot

2. Shoot Shoot Shoot Anime ver.

3. Shoot Shoot Shoot Instrumental ver.

初回限定盤:2,200円(税込)/KSCL-3685

7インチ紙ジャケット仕様

収録曲:

1. Shoot Shoot Shoot

2. Shoot Shoot Shoot Guitar less ver.

3. Shoot Shoot Shoot Bass less ver.

4. Shoot Shoot Shoot Drum less ver.

通常盤:1,650円(税込)/KSCL-3686

収録曲:

1. Shoot Shoot Shoot

2. Shoot Shoot Shoot Instrumental ver.

※「Shoot Shoot Shoot Instrumental ver.」は11月4日(水)配信。

公式サイト:https://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/METALVERSE/ShootShootShoot/

METALVERSE

ライブBlu-ray『GARDEN OF EDEN』

11月4日(水)発売

通常盤:7,700円(税込)/VBVM-1003

METALVERSE MEMBERSHIP限定盤:11,000円(税込)/VBVM-1004

Blu-ray、B3ポスター、トレーディングカード3枚(全9種よりランダム封入)、スペシャルコンテンツ付き

収録曲:

1. Welcome to the METALVERSE

2. Crazy J

3. Si Si

4. Get Down

5. Qn

6. GIZA

7. OMIKUJI

8. Endless World

9. Naked Princess

10. KIRA☆

11. Shoot Shoot Shoot

公式サイト:https://metalverse-world.com/