メルセデス・ベンツが「electric GLC」を発表|伝統を再解釈した新世代EV SUV

メルセデス・ベンツ日本は10月28日、GLCとして初めての電気自動車となるモデル「electric GLC」を発表した。GLCは2016年にSUVが、2017年にクーペが日本市場へ導入されて以来、メルセデス・ベンツの主力SUVとして成長してきたモデルである。スタイリッシュなデザインや扱いやすいボディサイズ、高い安全性能が支持され、2020年と2021年には同ブランドのSUVとして全世界で最も販売されたモデルとなり、日本市場においても高い人気を維持している。

【画像】メルセデス・ベンツGLC、初の電気自動車が登場(写真16点)

新型electric GLCで注目すべきはパワートレインの電動化だけではない。デザイン面において、メルセデス・ベンツがブランドの伝統とEV時代の表現をどのように融合させたのかという点にも見どころがある。

electric GLCのフロントフェイスにおいて象徴的なのがフロントグリルだ。メルセデス・ベンツによると、このデザインは300SELなど歴史的モデルにも通じるブランドの象徴的要素を再解釈したものだという。

内燃機関車の時代の機能的な要素であったフロントグリルは、EVにおいては機能的には不要となる。そのため多くのメーカーが従来型グリルに代わる新たなフロントフェイスを模索している。一方でelectric GLCは、フロントグリルそのものをブランドアイデンティティとして再定義するアプローチを採用したといえるだろう。

グリル部分には942個のバックライト付きドットを備えたイルミネーテッドパネルを採用。中央のスリーポインテッドスターやグリルフレーム部分とあわせて発光し、従来のグリルとは異なる存在感を演出する。さらにピクセルグラフィックによるアニメーション表示にも対応するという。内燃機関車時代には機能部品であったフロントグリルを、EV時代にはデザインとブランド表現の中心へと進化させた形だ。

また、スターモチーフを採用したヘッドライトやリアコンビネーションランプは昼夜を問わずメルセデス・ベンツならではの個性を演出し、デザイン上の特徴的なアイコンとなっている。

インテリアでは、現代的なエレガンスと洗練されたデジタルテクノロジーが融合した、没入感のある空間体験が生み出された。10.3インチのコックピットディスプレイと14インチのセンターディスプレイ、助手席ディスプレイを統合したMBUXスーパースクリーンを標準装備。オプションでは39.1インチのMBUXハイパースクリーンも設定される。

electric GLCにはメルセデス・ベンツが独自開発したMB.OSを採用。インフォテインメント、運転支援、車両制御、充電機能などを統合的に制御するシステムとして機能する。Googleの地図データと交通情報を活用した新世代ナビゲーションシステムも採用され、充電ステーションへの立ち寄りを組み込んだ、EVならではのルート計画機能も組み込まれている。

GLC 250 electricは260kW(354PS)、505Nmを発生し、一充電航続距離は642km。GLC 300 4MATIC electricは310kW(421PS)、800Nmを発生し、一充電航続距離は618kmとしている。バッテリー容量は85.5kWh。後輪駆動モデルと4輪駆動モデルを設定し、最大100kWのCHAdeMO急速充電に対応する。

メルセデス・ベンツは今回、EV専用プラットフォームや独自OSによる知能化を進める一方で、ブランドを象徴するフロントグリルというデザイン要素をあえて継承した。electric GLCは伝統的なブランドアイコンを現代的に再解釈することで、EV時代のメルセデスらしさを表現したモデルといえるのではないだろうか。