
今秋のドラフト上位候補として注目される横浜高校の織田翔希投手が、10月15日に進路に関する記者会見を開く。
最速157キロを誇る右腕は、すでにプロ志望届を提出しているが、NPB入りだけでなく、MLBへの直接挑戦も選択肢に含まれている。22日に控えるプロ野球ドラフト会議を前に、織田がどのような決断を下すかに注目が集まっている。
さて、プロ志望届を提出した選手がNPBを経由せずにMLB球団と契約することは可能なのだろうか。また米国でのプレーを選択した後、日本球界入りを希望した場合には、どのような手続きが必要になるのか。
日米選択における、プロ野球の制度を整理してみよう。
プロ志望届を提出してもMLB球団と契約できる?
結論からいえば、プロ志望届を提出した高校生が、NPBを経由せずにMLB球団と契約することは可能だ。
日本高等学校野球連盟の規定では、高校野球部員がプロ球団との入団交渉や入団テストを希望する場合、事前にプロ志望届を提出しなければならないとしている。対象には海外のプロ球団も含まれており、プロ志望届の提出は必ずしもNPB入りを意味するものではない。
一方、NPB球団が高校生と選手契約を結ぶためには、原則として新人選手選択会議(ドラフト会議)で指名し、交渉権を獲得する必要がある。
NPBが示すドラフト会議の概要では、指名した選手と翌年3月末までに選手契約を締結し、支配下選手として公示できなかった場合、球団は交渉権を失うと定められている。
つまりドラフトで指名された場合でも入団が義務付けられるわけではなく、選手には契約しないという選択肢も残されている。
仮に織田がMLB挑戦を希望した場合、NPBを経由せずに米国球団との契約を目指す道は開かれている。
MLB球団との契約には年齢や契約金の制限も
MLB球団との契約には、NPBとは異なる制度が設けられている。
MLBでは一定の条件を満たす海外のアマチュア選手を対象に、国際アマチュア選手契約制度を運用している。
契約可能期間は原則として1月15日から12月15日まで。選手は契約時点で16歳以上、翌年9月1日より前に17歳になることなどの年齢条件を満たし、事前にMLBへの登録を済ませている必要がある。
各球団が国際アマチュア選手との契約に使用できる契約金にも上限枠が設定されている。
一方25歳以上で、MLBが認める海外のプロリーグで6シーズン以上プレーした選手などは、この契約金制限の対象外となる。
高校卒業直後にMLB球団入りを目指す選手も、こうした国際アマチュア選手の契約制度に従うことになる。
なおMLB球団との契約が、そのままメジャーリーグの試合への出場を意味するわけではない。通常は球団傘下のマイナーリーグ(ルーキーリーグ~3A)で経験を積み、メジャー昇格を目指すことになる。
米国から日本球界入りするには? 「田澤ルール」はすでに撤廃
MLBへの挑戦を選択した選手が、将来的にNPB入りを希望する場合にも、一定の手続きが必要となる。
かつてNPBには、いわゆる「田澤ルール」と呼ばれる取り決めが存在した。
2008年、社会人野球からNPBを経由せずにボストン・レッドソックスと契約した田澤純一投手の事例を受けて設けられたもので、NPB入りを拒否する意思を示して海外球団と契約した選手について、海外球団退団後も一定期間、ドラフト指名の対象から外すという申し合わせだった。その期間は、高校出身者が3年間、大学・社会人出身者が2年間とされていた。
しかし、この取り決めは2020年に撤廃。
現在は高校卒業後にMLB球団と直接契約したという理由だけで、帰国後3年間にわたってドラフト指名を受けられなくなるわけではない。
ただしNPBでのプレー経験がない選手が、海外のプロ球団から日本球界入りを目指す場合、原則としてドラフト会議を経る必要がある。
NPBの新人選手選択会議の規定では、外国のプロ野球組織に所属する選手や、過去に所属したことのある新人選手についても、ドラフトの指名対象となるための手続きが定められている。
具体的には会議の7日前までに、いずれかのNPB球団が選択対象とする旨をコミッショナーに通知し、コミッショナーが指名可能な選手であることを全球団へ通告する必要がある。
実際に、米国球界を経てNPB入りした選手もいる。
立教大学からNPBを経由せずに渡米した多田野数人は、2004年にクリーブランド・インディアンスでメジャーデビュー。その後、2007年の大学生・社会人ドラフトで日本ハムから1巡目指名を受け、日本球界入りを果たした。
また米国の高校から2013年のMLBドラフトでニューヨーク・ヤンキースに2巡目指名された加藤豪将も、2022年にメジャーデビューを果たした後、同年のNPBドラフトで日本ハムから3位指名を受けた。
両者とも米国でプロとしてプレーした後、NPBのドラフトを経て日本球界入りしている。多田野が指名された2007年は、田澤ルールが設けられる前年にあたる。
したがってMLB球団との契約を選んだ場合でも、所属球団との契約状況などの個別事情を確認する必要はあるが、将来的にNPB入りする道が閉ざされるわけではない。
日米の選択が注目される織田翔希
近年では、高校卒業後にNPBを経由せずにMLB球団と契約する日本人選手が現れている。
2025年1月には、桐朋高校の森井翔太郎がアスレチックスとマイナー契約を締結。日本のドラフトを経ずに、米国でプロとしてのキャリアをスタートさせた。
織田もまた、高校卒業時点でNPBとMLBの双方を視野に入れる有力選手の一人。
国内球団で経験を積んでからメジャーを目指すのか。それとも高校卒業後に直接米国でプロとしての第一歩を踏み出すのか。
ドラフト会議を1週間後に控えた15日。その決断に注目が集まる。
【了】
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