
ベントレーモーターズが先日公開した、ベントレー初の完全電気自動車「トルカル」。トルカルは、昨年お披露目された現代的な新デザインのベントレー・エンブレムをまとう初のモデルである。デザインディレクターのロビン・ペイジ率いるクルーのインハウス・デザインチームによって、ベントレーのDNAに深く根ざしながら、力強く大胆な新デザインと、低重心で流麗なフォルムを兼ね備えたSUVとして登場した。
【画像】ベントレー初の完全電気パワートレインを搭載するトルカル(写真26点)
ロングホイールベース、ショートオーバーハング、そして堂々としたフロントフェイス。これらは力強いスタンスを生み出し、ベントレーのデザイン指針である「アップライト・エレガンス(堂々とした品格)」を体現し、「エンドレス・ボンネット(どこまでも伸びやかに続くボンネット)」の原則と相まって、伸びやかな全長、圧倒的な存在感、そして一目でそれとわかるベントレーの個性が強調されている。
また、グラフィック面においては特にフロントフェイスを通じてアイデンティティと表情を確立。コンチネンタル Tをはじめとするベントレーの象徴的な名車の面影が、先進のライティング技術と特徴的なイルミネーテッド・ダイヤモンドグリルによって再解釈されている。
サーフェス(面の表現)においては、無駄なラインを削ぎ落とし、面とプロポーションそのもので独自の世界観と個性を描き出している。最も象徴的なのは、ボリュームのあるリアフェンダーの張り出しで、キャビン後方を絞り込むことでリアホイールまわりに躍動感を与え、デザインチームが「レスティング・ビースト(佇む野獣)」と呼ぶ、静かな造形の中に満ちる圧倒的なパワーと躍動感を描き出す。
ディテールにおいてもベントレーのデザイン哲学が息づいている。ダイヤモンドパターンはトルカル全体を貫く一貫したデザインテーマとして取り入れられており、ある部分では鮮明な造形として、またある部分では立体的な面やテクスチャー、繊細な模様として表現されている。
インテリアも同様だ。ダッシュボードはベントレーを象徴する「翼」をモチーフにデザインされ、シンメトリー(左右対称)が生み出す力強さと調和を表現。さらに、ダイナミックかつ洗練された面構成が、レザーやウール、ヴェニア、アルミニウムといった本物の素材が誇る質感を引き立てている。センターコンソールやステアリングホイールには、あえて物理スイッチを残すことで、触れて操作する機能に心地よい触感と確かな操作感をもたらした。
ベントレー初の完全電気パワートレインを搭載するトルカルは、最高出力888PS、ベントレー史上最高の最大トルク1,350Nmを発揮し、0-100km/h加速2.9秒という圧倒的なスペックをもちながらも、走りは常に意のままにリニアに操れるという。この絶妙なパフォーマンスレベルは、これ以上の過激な加速はラグジュアリーな快適性を損なうという知見のもと、R&Dチームにより追求された結果であるというのが興味深い。
ベントレーとして初めて採用されたフルアクティブ・サスペンションは、2バルブ式アダプティブダンパーと組み合わせることで、魔法の絨毯のような乗り心地を実現するとともに、各ドライビングモードに応じたシャシーセッティングを選択することが可能。各ダンパーは、路面やドライバーからの入力に反応して、瞬時かつ個別に上下させることが可能で、優れた乗り心地とボディコントロールを実現した。このシステムはアンチロールバーを必要とせず、反応するダンパーによってアンチロールトルクを無段階に調整する。
全長は5m。モデルラインアップの中で最もコンパクトな4ドアモデルでありながら、460Lのラゲッジスペースと90Lのフロントストレージを確保した室内空間を備えている。さらに、電子制御式オールホイールステアリングを標準装備したことで、最大5度のリアステアリング角により最小回転直径を11.1mまで縮小し、都市部でも優れた取り回し性能を発揮する。
航続距離は最大約600kmに達し、長距離移動も快適かつ途切れることなく行うことができる。欧州などでは既に導入されている400kWの充電設備を使用すれば、10〜80%までの充電を20分弱で完了。わずか7分で、約161km分の航続距離を追加することも可能だ。
「サウンド」にも注目したい。ベントレーの歴史において力強いエンジンの鼓動は、1919年に登場した最初の3リッターから現在に至るまで、変わらない存在でありつづけた。トルカルの開発チームは、単なる電子的な再現を超えた、同じように力強いサウンドによるつながりを生み出すことを目指したのである。
ベントレーV8のリズムこそがその魅力の中心にあることに着目した開発チームは、ドラム、ヴィオラ、ベースギターなどの実際の楽器を用いて「ベントレー・ダイナミック・シンフォニー」を制作したのだ。そこには、微妙な変化やわずかな不完全さも取り入れられている。アイドリング状態の鼓動からフルスロットル加速まで、人の手(演奏)によって生み出されたトルカルのサウンドトラックは、単なるエンジン音の模倣にとどまらず、車との一体感を高める聴覚的フィードバックをドライバーに与えてくれる。
重厚で力強い低音域のサウンドは、ドライバーのトルク要求量や車速に応じて精密に調整され、車両の挙動に連動した感覚的なフィードバックが向上。予測しやすい手応えによりドライバーに確信を与えることで、安定した車両コントロールをサポートする。
トルカルは、標準モデルとなる「コア」と、よりスポーティな「S」の2つのモデル構成で登場した。コアモデルは、最高出力821PS、最大トルク1,194Nmを発揮。停止状態から100km/hまで3.4秒で加速し、最高速度は250km/hだ。一方、Sモデルはさらに高い性能を備え、ローンチコントロール作動時には最高出力888PS、最大トルク1,350Nmを発揮する。0-100km/h加速は2.9秒、最高速度は260km/hに達する。
トルカル プロダクトライン・ディレクターのマーティン・ペイジ氏は次のように語っている。
「トルカルは新しい存在であり、そして唯一無二の存在です。ベントレーとしての本質を保ちながら、テクノロジーに支配されるのではなく、その魅力をさらに高めることを目指して、細心の注意を払って開発しました。ラグジュアリー、洗練、そして エフォートレス・パフォーマンスに至るまで、ベントレーを定義する要素を、これまでにないレベルへと引き上げています」