米国の金利が高い水準にあるなか、米ドル定期預金の金利も高くなっています。ただし、外貨預金では金利だけでなく為替の動きも受取額を左右します。年4%で運用しても、1ドル=150円から約6円円高になると、金利による利益がほぼ消える計算です。※サムネイル画像:PIXTA

◆米ドル定期預金には年4%の商品も

日本の預金金利が上昇していますが、米ドルの預金金利はさらに高い水準の商品があります。

例えば、楽天銀行では、2026年9月時点で円普通預金から預け入れる米ドル定期預金の7日ものに、年4.00%(税引前)の金利を提示しています。

ここで注意したいのは「年4%」という表示です。7日ものなら、実際にもらえる利息は7日分です。100万円を預ければ4万円もらえる、という意味ではありません。

◆年4%でも円高になれば元本割れする

為替の影響を見るため、仮に100万円を1ドル=150円で米ドルに替え、年4%で1年間運用できたとします。

100万円は約6667ドル。1年間の利息は税引前で約267ドルです。

満期時も1ドル=150円なら、利息の円換算額は約4万円です。一方、1ドル=140円まで円高になると、元本と利息を合わせた約6933ドルを円に戻しても約97万1000円。4%の金利があっても、円換算では元本を下回ります。

◆損益分岐点は1ドル=約144円

同じ条件で、約6933ドルを100万円に戻せる為替レートを計算すると、1ドル=約144円です。150円でドルに替えた場合、約6円の円高で年4%の金利による利益がほぼ消えることになります。

実際には利息に20.315%の税金がかかります。楽天銀行では米ドルの預入時と払戻時に、それぞれ1ドルあたり25銭の為替コストもかかるため、実際の損益分岐点はこれより円安側になります。

年4%という金利差より、為替が数円動く影響の方が大きくなることもあるわけです。

◆円預金とは仕組みが違う

円の定期預金なら、通常は満期まで保有すれば円ベースの元本は変わりません。米ドル定期預金は、ドルベースでは元本が維持されていても、円高になれば円に戻したときに元本割れすることがあります。

また、外貨預金は預金保険制度の対象ではありません。同じ「預金」という名前でも、円預金とはリスクの中身が異なります。

◆分岐点から先は為替次第

米ドル定期預金は、日本の円預金より高い金利を受け取れることがあります。

ただ、今回の試算では1ドル=150円から約6円円高になるだけで、年4%の金利による利益はほぼなくなりました。為替相場では十分に起こり得る値幅です。

数年以内に円で使う予定のお金を預ける場合は、金利だけを見るのではなく、円に戻すときの為替レートまで考えておきましょう。

※楽天銀行の米ドル外貨定期預金7日ものは、2026年9月時点で円普通預金からの預入時に年4.00%(税引前)が提示されています。金利は年率表示です。本文の試算は為替変動の影響を示すため、「年4%で1年間運用できた」と仮定した概算です。実際の受取額は適用金利、為替レート、税金、為替コストなどによって異なります。

文:田代 昌之(金融文筆家)

新光証券(現みずほ証券)やシティバンクなどを経て金融情報会社に入社。アナリスト業務やコンプライアンス業務、グループの暗号資産交換業者や証券会社の取締役に従事し、2024年よりフリー。ラジオNIKKEIでパーソナリティを務めている。

文=田代 昌之(金融文筆家)