
(左から)パーソナリティの宇賀なつみ、小山薫堂
◆「もっと旅にフォーカスしたい」2冊目のエッセイに込めた思い
宇賀なつみは、2023年2月に初のエッセイ「じゆうがたび」を出版。同番組では、当時も「ゲスト・宇賀なつみ」の回が放送されました。今回、小山から「『じゆうがたび』を出版した後、どんな風に思っていたんですか? またいつか書いてみたいと思ったのか、出し切ったからしばらく本はいいと思ったのか」と聞かれると、「私としては必ず続きを書きたいと思っていました」と即答。「じゆうがたび」は、幼少期から学生時代、就職活動、アナウンサー時代、そして独立してフリーランスになった時期までを綴った、いわば「半生の記録」だったといいます。
「名刺代わりのような1冊目のエッセイだったかなという風に思うんです。だから、次に出すんだったらもっと旅にフォーカスした、旅のお話をしっかり書きたいなと思っていました」と語ります。そう考えたことをきっかけに、旅へ出る頻度も増えていったという宇賀。現在はフリーランスとして、自分でスケジュールを調整しながら「大体毎月、4日から1週間ぐらいの連休を作って必ずどこかに行く」ことを、この3年間続けてきたそうです。
そんな旅の日々から生まれたのが今回の「おもうがたび」です。もともと宇賀に頼まれて小山が付けた仮タイトルは「ちきゅうがたび」。全40篇のエッセイのうち、海外が27か所、国内が13か所と、世界各地を舞台にした内容から名付けたものでした。しかし、原稿を読んだ小山は別のタイトルを提案します。
「読む前の印象としては、旅日記なんだろうと。読んだ人が『あ、ここに行きたいな』と思うような、つまり旅の情報が中心なんだろうと思って読み始めたところ、本当に1人の女性の人生観とか、生き方とか、その地で何を考えたかということが結構赤裸々に綴られていて」。そこで「ただの旅エッセイの印象を与えて終わってしまうのはもったいない」と感じ、「『おもうがたび』のほうがいいんじゃないですか?」と提案したといいます。
宇賀も「世界を舞台にいろんなことを想う、いろんな人を想うエッセイになっているので、まさにぴったり」と納得。こうして「おもうがたび」というタイトルが誕生しました。
◆「自分の本音を書きたかった」旅を通して見つめた人生
今回の本で最も書きたかったものについて尋ねると、「自分の本音をとにかく書きたかったんです」と語ります。アナウンサーという仕事柄、誰かの話を聞いたり、表舞台で活躍する人に話を聞いたりする機会は多いものの、自分自身のことを語る場面はそれほど多くありません。だからこそ、本の中では「なるべく嘘偽りなくというか、本当に思っていることを全部出したい」という思いで執筆したそうです。
「おもうがたび」には、旅そのものだけではなく、友情や家族への思い、大切な人との別れ、テレビの世界について感じていること、戦争やAIについて考えたことなど、さまざまなテーマが盛り込まれています。「旅をしながら考えたこと、思ったことを上手くまとめられたんじゃないかなって思います」。旅に出ることで「日常の生活では見過ごしがちな自分自身の本音や心に気づくことができる。旅には普段のちょっと心に残っていた、引っかかっていたことをじっくり考える時間になる側面がある」と話します。
そんな宇賀にとって、特に大切なのが旅先で見る夕日。「私は夕日が本当に大好きで、世界各国で見ているんですけど、夕日を見ていると焦る」といいます。太陽が水平線や山に沈み始めてから、完全に沈み切るまでの時間は驚くほど短いもの。「地球ってこんなに早く回っているの?」と感じると同時に「私、やり残したことだらけで死んでしまうとか思って」と、人生への焦りにも似た感情が湧いてくるといいます。
一方で、今回の「おもうがたび」を書き終えたことで、自分が本当にやりたかったことも見えてきたそうです。「旅をしたり、いろんな仕事をしたり、いろんな人に出会って感じたことを自分なりに解釈して、言葉にして伝えるっていうことをずっとやっていきたいという風にあらためて思いました。これが本当に自分のやりたかったことなんだなというところに、やっと今年40歳になって辿り着けたというのは思います」と語りました。
宇賀なつみ著書「おもうがたび」(幻冬舎)は好評発売中
◆「読むはずじゃなかった人に読んでもらいたい」
番組では、旅にまつわる楽曲として大滝詠一の「カナリア諸島にて」をオンエア。宇賀が幼い頃から「カナリア諸島ってどこだろう?」と思い続けていたというこの曲。実際にカナリア諸島を訪れた旅のエピソードも本に綴られています。スペイン領でありながらアフリカ大陸に近く、サボテンが生え、どこか砂っぽさも感じる独特の風景。「他のどの島とも違う空気感がありましたし、本当にエモい旅になりました」と振り返りました。
旅先では何度も「カナリア諸島にて」を聴き、改めて歌詞の意味を考えたという宇賀。「10代の頃に聴いていた曲に導かれて、実際にその場所を訪れる」という体験もまた、旅の醍醐味なのかもしれません。
「じゆうがたび」と「おもうがたび」を通して、宇賀自身も大きく変化したといいます。1冊目を出版したときと比べ、今回の執筆にはより時間がかかりました。「新しい記憶を呼び起こしていくのが難しかった」と振り返ります。一方、小山からは「前回以上に文章が上手になっている印象を受けました」と嬉しい言葉が。旅先の情景を描く表現が増え、「一緒に旅しているような感じで読めることができる描写が多かった」と評価しました。宇賀によれば、編集者からは「大人になった」「より厚みが出ましたね」「贅沢な内容になりましたね」と評されたと明かしました。
そんな「おもうがたび」を、どんな人に読んでほしいのか。宇賀は「読むはずじゃなかった人に」と答えます。「旅が好きとか、私のことを昔から知ってくださっている方とかは、もしかしたら興味を持って読んでくださるかもしれないですけど、全くそうではなくて、読むつもりじゃなかった人が偶然出会って読んでもらえたらすごく嬉しいなぁという風に思います」と新著への思いを伝えました。
<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY'S POST
放送日時:毎週日曜 15:00~15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/post/
番組公式X:@sundayspost1