第一ライフグループは9月15日、ねんきん定期便の確認状況と老後資金準備の実態についての調査結果を発表した。調査は2026年5月21日、20~59歳の男女で、会社員・公務員・団体職員などの現役就業者(厚生年金の加入者)400名を対象にインターネットで行われた。

「ねんきん定期便」を内容まで確認しているのは約3割

年金加入者にとって、最も身近な年金情報源といえるのが「ねんきん定期便」。年金加入者に対して、日本年金機構から年に1回、誕生月に送付される通知書で、これまでの保険料の納付状況や年金加入期間に加え、将来受け取れる年金の見込み額が記載されており、老後の生活設計を考えるうえで重要な手がかりとなる。しかし実際、その情報はどれほど活用され、老後資金準備の行動に結びついているのか。

  • 直近で受け取った「ねんきん定期便」を見ましたか?

    直近で受け取った「ねんきん定期便」を見ましたか?

まず、直近で受け取ったねんきん定期便を見たかを尋ねた。その結果、「内容まで確認した」と回答したのは33.5%にとどまった。「金額だけ確認した」は15%、「受け取ったが、ほとんど見ていない」は20.25%、「受け取ったか覚えていない」は31.25%という内訳だった。「ほとんど見ていない」(20.25%)と「受け取ったか覚えていない」(31.25%)を合わせた51.5%が、記載されている年金見込み額を十分に確認できていない状態にある。

  • 【年代別回答】直近で受け取った「ねんきん定期便」を見ましたか?

    【年代別回答】直近で受け取った「ねんきん定期便」を見ましたか?

年代別に見ると、確認度には明確な差があった。「内容まで確認した」と回答した割合は、20代16%、30代31%、40代39%、50代48%と、年齢が上がるにつれて段階的に高まっている。老後が近づくほど、年金を自分ごととして受け止め、定期便にしっかり目を通すようになる様子が読み取れる。一方で、20代では「受け取ったか覚えていない」が49%と約半数に達した。

年金見込み額を「正確に覚えている」のは約1割のみ

  • ねんきん定期便に記載されていた将来の年金見込み額を覚えていますか?

    ねんきん定期便に記載されていた将来の年金見込み額を覚えていますか?

次に、定期便に記載された将来の年金見込み額を覚えているかを尋ねた。「正確に覚えている」と回答したのは10.5%にとどまり、「ざっくり覚えている」が30.75%、「見たが覚えていない」が30.25%、「そもそも見ていない」が28.5%という結果になった。

  • 【年代別回答】ねんきん定期便に記載されていた将来の年金見込み額を覚えていますか?

    【年代別回答】ねんきん定期便に記載されていた将来の年金見込み額を覚えていますか?

年代別では、「そもそも見ていない」が20代40%、30代40%と若年層で突出して高くなった。前の設問と同様に、若い世代ほど年金との心理的な距離が大きいことがここでも確認できる。一方、老後が目前に迫る50代でも「正確に覚えている」はわずか7%にとどまった。

ねんきん定期便を見ても約6割が「特に何もしていない」

  • ねんきん定期便を受け取った後、老後資金について何か行動しましたか?

    ねんきん定期便を受け取った後、老後資金について何か行動しましたか?

続いて、ねんきん定期便を見た後に老後資金について何か行動したかを尋ねたところ、「特に何もしていない」が63%と最多になった。具体的な行動を見ても、「貯蓄の計画を見直した」16.25%、「保険や個人年金などを検討した」14.25%、「老後の生活費を試算した」13%、「家族と話し合った」10.5%と、いずれも低水準にとどまっている。

定期便を手に取り、見込み額を目にしたとしても、それが具体的な準備行動につながっている人は少数派だった。確認はしても、そこから一歩を踏み出せていない"確認止まり"の状態が、数字としてはっきり表れている。

では、なぜ行動に移せないのか。「特に何もしていない」と回答した252名にその理由を尋ねた。

  • 老後資金の準備に関する行動をしていないのはなぜですか?

    老後資金の準備に関する行動をしていないのはなぜですか?

「特に不安を感じなかったから」が40.08%で最も多く、次いで「何をすればよいかわからないから」が26.59%、「見込み年金額だけでは判断できないと思ったから」が13.49%となった。

この結果からは、行動しない背景が大きく2つに分かれることが見えてくる。最も多い「特に不安を感じなかったから」(40.08%)は、そもそも危機感を抱いていない層といえる。一方、「何をすればよいかわからないから」(26.59%)と「見込み年金額だけでは判断できないと思ったから」(13.49%)を合わせた約4割は、不安は感じつつも、何をすればよいか分からずに行動の手前で立ち止まっている層だ。備える意思はあっても、その方法が分からないために動けずにいる人が一定数存在することがうかがえる。

年金額だけで老後生活費を「まかなえない」と感じる人は約5割

  • ねんきん定期便に記載された見込み年金額だけで、老後の生活費をまかなえると思いますか?

    ねんきん定期便に記載された見込み年金額だけで、老後の生活費をまかなえると思いますか?

ねんきん定期便に記載された見込み年金額だけで老後の生活費をまかなえると思うかを尋ねたところ、全体では「不足すると思う」が54.25%と過半数を占めた。「わからない」が23%、「十分まかなえる」「ある程度まかなえる」と回答した層は合計でも22.75%にとどまっている。

  • 【年代別回答】ねんきん定期便に記載された見込み年金額だけで、老後の生活費をまかなえると思いますか?

    【年代別回答】ねんきん定期便に記載された見込み年金額だけで、老後の生活費をまかなえると思いますか?

年代別に見ると、「不足すると思う」と答えた割合は40代で70%、50代で69%と約7割に達した。これは20代の36%、30代の42%と比べて2倍近い差であり、老後が現実味を帯びる年代ほど、年金だけでは足りないという危機感を強く抱いていることが分かる。

老後資金の備え、関心トップは「投資」約4割

  • 老後資金の不足に備える方法として、今後関心があるものは何ですか?

    老後資金の不足に備える方法として、今後関心があるものは何ですか?

最後に、老後資金の不足に備える方法として今後関心があるものを尋ねた。最も多かったのは「新NISA等の投資」で36%、次いで「預貯金」34.75%、「働く期間を延ばす」19.5%、「個人年金保険」19%という結果になった。また、「わからない/備えることに関心がない」と回答した層も19%存在した。個人年金保険への関心が19%にとどまり、投資(36%)や預貯金(34.75%)に差がある。